kyupinの日記 気が向けば更新 -5ページ目

ローンパイン・コアラ・サンクチュアリのコアラ

 

 

コアラの顔は皆同じイメージだと思うが、オーストラリア国内の地方により顔立ちがかなり異なる。僕は顔を見ればだいたいどの地方のコアラかわかるようになった。上の動画は、ブリスベン郊外のローパイン・コアラ・サンクチュアリのコアラである。このローンパイン・コアラ・サンクチュアリはコアラだけでなくさまざまなオーストラリアの動物を観ることができる。

 

上のように活発にユーカリの葉を食べるコアラはあまり多くないはずだが、この日は食欲旺盛のコアラが多かった。コアラはたいてい日中は寝ている。これはユーカリ葉の栄養が少なすぎるため、体力消耗を抑える面もかなりある。

 

 

ブリスベンやゴールドコーストのコアラは可愛いコアラが多い。ケアンズはもう少し色黒と言うか野生的?なコアラで、言い方が悪いがあまり可愛くない。

 

それに対し西オーストラリア、パースのコアラは大人びており?、ヨーロッパ的?な顔立ちのコアラが多い。よく言えば端正だが、あのようなコアラは好みではない。やはりブリスベンやゴールドコーストのコアラが最も可愛いと思う。

 

このような動植物園でコアラ抱っこできる州とできない州がある。クィーンズランド州では、コアラ抱っこできるが、料金がコロナパンデミックの間にかなり値上がりしていた。

 

ゴールドコーストのカランビン動植物園で偶然、日本人観光客の団体さんと一緒になった。彼らが順番にコアラ抱っこしているのを見て、一体いくらなのか聴いたところ、彼らは料金を知らなかった。彼らの団体旅行ではコアラ抱っこはコミコミだったのである。

 

 

上は過去ログにあるかなり昔のコアラ動画。これもローンパイン・コアラ・サンクチュアリのコアラ。動きも含め可愛さは歴代最高である。

 

 

心療内科クリニックの終活

ここ20年くらいで心療内科(精神科)クリニックが増加し、特に大都市部では過当競争と言って良いほどになった。現在、地方でも心療内科クリニックは増えてきており、ホームページの院長の名前を見ても全然知らない人だったりする。これは過去ログにアップした落下傘開業だと思う。

 

 

最近、最も驚いたことは、いつも行く温泉地の近郊の市に心療内科クリニックの看板を発見したこと。おそらく人口は5万人ほどと思うので、そうだとしたら破綻せずやっていけないことはない。

 

地方都市に心療内科クリニックができることは、精神科のアクセスを増やすと言う点で悪くない話だと思う。

 

人口の多い地方大都市でさえ、現在の1.5倍まで心療内科クリニック数が増えたとしてもやっていけるような気がする。ただし多くなると言うことは人気の差が出るので、良くないクリニックは淘汰されるであろう。

 

実は心療内科クリニックが新規開業する一方、廃院するクリニックも珍しくない。これは淘汰されたのではなく、院長の健康状態が悪化したために廃院したケースが多い。例えば、余命が比較的わかる癌など。あるいは、院長が突然死(自殺も含む)したため廃院したクリニックもあるが、これも健康上の問題である。

 

クリニックが完全に廃院するかどうかは、院長の健康状態も含め状況にもよる。例えば子供がいて精神科医ないし心療内科医だったとしよう。その場合、子供が後を継ぐパターンがあり得る。あり得ると記載したのは意外に少ないからである。

 

本来、心療内科クリニックは相撲の一代年寄みたいなものなので、子供が医師になったとしても、そのクリニックを継ぐインセンティブは低い。まして女性医師なら尚更だと思う。ここが有床の精神科大病院との大きな相違である。

 

読者の方はピンと来ないと思うが、精神科医になろうとする時点で、それなりに必然性があるので、精神科、心療内科医の子供が精神科を選ばないことは普通にある。それに対し、有床の精神科大病院は医師の跡継ぎがいないと病院が他人に渡ってしまうような感じになるので、子供もそれがわかっていて、精神科医になることがほとんど全てである。しかし、子供が3人とかいて、長男は精神科医だが、他の子供は内科や外科医になるケースはある。

 

これはあくまで印象だが、このような跡継ぎの精神科医は、元々ありがちな必然がないので、わりと普通に見える人が多い。これは以下の記事の「プラスアルファ」がないからだと思う。

 

 

 

もちろん、プラスアルファは遺伝しやすいので、凄く?プラスアルファのある人もいる。これは真に精神科医になりたかった人より、精神科医にやむを得ずなった人の方が普通の人?がむしろ多いというブラックジョークというか皮肉になっている。

 

さて、院長が診療を中止せざるを得ない時、例えば子供が医学部生とか医師になったばかりくらいの年齢だと普通に廃院しやすい。なぜならクリニックはビル診のことが多いし、基本家賃を払っているからである。この際に最も気になることは、診療している患者さんをどうするかであろう。これは近辺に単科精神科病院があれば、彼らにとって患者さんを譲ってもらうことは大歓迎なので、患者さんさえ了解すれば完全に転院手続きが終わる。

 

ただし、どうしても単科精神科病院は嫌と言う人もいる。これは単科精神科病院はそれなりに従業員が多いので、地方だと特に知り合いに会ったり、受診を知られたくないと言う理由がある。このような際は市内のクリニックに紹介するのであろう。近年はクリニックが増えたのでこのような対応もしやすい。

 

僕はこれまで近郊の心療内科(とは言え実質精神科)クリニックが突如、廃業し、患者さんをまとめてもらった事が2度あるが、2度ともバタバタだったためか碌に紹介状がなかった。これは紹介状を書く余裕もなかったためと思う。

 

2度目はクリニック院長が同門の先輩だったこともあり、健康上の理由で紹介状も碌に書けず申し訳ないが、これらの書類を参考にして下さいと簡単な記載があった。その書類とは自立支援法や精神障害者保健福祉手帳の診断書のコピーだが、これらでも初診日がわかるのであるかないかでは大違いである。

 

1度目は書くのも苦痛だが、そのクリニックは、落下傘開業で突然開業し数年して風のように消えた。患者さんが通院しようとしたら既に閉院していたらしい。過去ログに少し触れているが、紹介状の記載が精神科医とは思えなかったので、おそらく他科の医師が開業したのだと思う。

 

このような廃院で最も困るのは、患者さんが将来、障害年金を受給しようとした際に、受診の証明(特に未成年)が出来ないことだと思う。

 

最近、増えたのは、心療内科精神科クリニックを他の患者さんごとクリニックを他の精神科医に譲るケースである。これは引き受ける方も患者さん付きで経営的にリスクが少ないので大歓迎だと思う。少なくとも落下傘より遥かに良い。患者さんも転院しなくても良いことや、診療録が失われるリスクがなくなるので、共にメリットが大きい。

 

また、このような廃院危機のクリニックを単科精神科病院が買取り、サテライトクリニックにすることも増えている。精神科病院がサテライトクリニックを作ったり、既にあるクリニックを買い取るのは、ここ20年くらいの入院患者数の減少と関係している。これは強制的に入院させると言う意味ではなく、今の精神病院は入院しても入院期間が短いので、ある程度外来患者数がないと経営的にやっていけないからである。

 

地方ではビル診もあるが、普通に内科や歯科のように一戸建ての診療所を建てていることもあるので、このような院長交代は無駄がないと思う。精神科は診療録の継続性というか、記録が残ることは重要である。

 

そのような視点では、未成年の場合、心療内科精神科クリニックにマイナンバーカードを保険証として使うのは非常にメリットが大きい。受診歴や処方内容までデジタルで保存されるからである。突然の廃院のリスクが多少は避けられる。

 

 

昨年、大学の同窓会に出た時、同窓生の子供が既に医師としてバリバリ働いているという話を聴いた。その際、精神科病院の勤務医や心療内科精神科クリニックの医師の子供たちが、しばしば精神科以外の科、例えば外科医や内科医として働いていることを知ったのである。

 

そもそも勤務医とかクリニックの精神科医は、そこまで子供に医師になることを強制しない。子供が東大や京大を卒業しているが、医師ではないと言うのもある。

 

これは今では精神科医の思考バイアスではないかと思うようになった。この精神科医の思考バイアスは、患者さんの診察でいわゆる?毒親の話を聴くので、「少なくとも自分はそうなりたくない」という思考から来ているような気がする。これらは以下の記事に記載している。

 

 

 

 

コンサータ服用時、深夜に食欲が増す理由

コンサータを服用時、深夜に食欲が増して困ると言う人がいる。コンサータを服用中の人が全てそうなるわけではなく、食欲が多少増しても問題にならない人もいる。

 

そのそも食欲が増しても本人が言わないこともあるので、コンサータ服用者のどのくらいの割合なのか不明である。

 

コンサータは日中、ノルアドレナリンやドパミンレベルを高めることにより食欲を抑制する。そのようなことから、就学期の子供では夏休みなどの長期休暇中は休薬するなど、成長期の食欲抑制に対し配慮が必要とされている。

 

単純に考えれば、深夜はコンサータの血中濃度が下がるため、その反動で食欲が増すと言ったところだと思う(約10時間から12時間食欲を抑制)。

 

これは、元々の食欲の規模が増幅されているのか?と言う疑問がある。コンサータを服用以前は深夜に何か食べたくなるなどはなかったと言う人がほとんどである。従って、何らかのコンサータによる薬理作用が影響している。

 

例えばコンサータを服用中は日中あまり食欲が湧かないため、食事を飛ばしたり食事の量も少なくなる人がいる。そのような人は日中の摂取カロリーが少ないため、コンサータの作用が下がると、より脳が摂食行動のシグナルを出しやすくなる。身体がエネルギー不足を感知するからである。

 

またコンサータの効果が切れるとノルアドレナリン、ドパミンが不足し、意欲、集中力の低下、気分がバッドになるなどが生じるが、身体は刺激物?(つまりノルアドレナンやドパミンが上がりそうなもの)を欲求しやすい。これはチョコレートなどの甘いものや炭水化物などのエネルギー源となるものである。

 

食欲に関して他の要因も考慮する必要がある。

 

食欲を抑制するレプチン(満腹ホルモン)は、深夜から明け方にかけて最高レベルとなる。レプチンは食欲を抑制し熟睡しやすくなる。ヒトにとってレプチンは摂食や睡眠に関与している。

 

コンサータにより不眠などが生じ睡眠バランスが崩れると、レプチンが深夜に上昇せず、逆に低下することもあり、深夜の食欲が増進するという奇妙なことが起こる。これらのホルモンは睡眠状態が正常であってこそ、サーカディアンリズムが保たれると言ったところである。

 

また、胃から分泌されるグレリンは、空腹感を増進させ食欲を亢進させるホルモンである。この作用から空腹ホルモンと言われる。グレリンは脳の視床下部に働きかけ、摂食行動を刺激する。下垂体から成長ホルモンの分泌も促す。グレリンは消化菅運動促進、体重増加、脂肪蓄積作用、体温調整、筋肉量の増加などの生体機能に影響している。グレリンはレプチンの概ね逆の作用があると言える。

 

グレリンは、深夜(特に睡眠中)に上昇する傾向がある。つまり相反する作用を持つレプチンとグレリンは深夜にいずれも増加する。グレリンに関しては、深夜に消費エネルギーを抑制し若い人では筋肉量を増やすなど、成長に関わっている。

 

「寝る子は育つ」ということわざがある。子どもが眠っている間にグレリン、成長ホルモンが増え骨や筋肉の成長を促す。つまり「寝る子は育つ」ということわざには科学的根拠がある。

 

余談だが、深夜に眼が覚めた際、スマホやタブレットのブルーライトを見るとメラトニン分泌を抑制する。深夜にブルーライトを見ることは睡眠を乱し健康に良くないのである。

 

グレリンはレプチンあっての作用である。グレリンは夜間に食欲を亢進させるように見えるが、同時にレプチンの分泌が増加することで、「満腹ホルモン」作用によりそこまで問題にならないのであろう。

 

しかし睡眠不足や夜更かしはこれらグレリンの作用にも影響し、例えば深夜に起きているとグレリンレベルは更に上昇しレプチンの作用を上回り強い空腹感や過食を生じる。

 

コンサータが睡眠に悪影響を及ぼし、睡眠不足やバイオリズムを悪化させると、このようなメカニズムで深夜の食欲を増加させる。これら以外にオレキシンも関与していると思うが、長くなる上、複雑なので今回は言及しない。

 

また、そもそもADHDの薬であるコンサータはADHDの人以外には処方されない。ADHDの疾患的に衝動性、報酬感受性があり、深夜にコンサータの作用が低下すると、我慢が効かない状況になりやすい。

 

コンサータによる深夜の食欲の亢進や過食は、単に反動だけでなく、覚醒・睡眠のリズムへの影響、ADHDの疾患特性からも理解することができると思う。(深夜の食欲亢進は意志の弱さではない)

 

参考

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

健康麻雀とMリーグのことなど

 

 

近年、健康麻雀のお店が地方でもポツポツできてきている。健康麻雀店の良いことの1つは禁煙なので体や衣類がタバコ臭くならないことである。健康麻雀は大都市部はそこそこあるが、地方ではまだあまり店数がないこともありゲーム代が比較的高いのが難点。大都市部に比べ競争原理が働いていない。

 

そのようなことから健康麻雀店で遊ぶことは、プール、ジム、テニスなどをするより遥かにお金がかかる。まして健康麻雀にハマってしまうと、月あたりの課金額はかなりのものになると思う。

 

これは実際にその健康麻雀店のハンドルネームの成績表(半荘回数、平均順位、トップ率、トップ数など)を確認して言っている。驚異的な半荘回数から近い将来、収入にもよるが、破綻しかねない。スマホのゲーム課金でとんでもない金額を使ってしまう人がいるが、あれと同じようなものだ。

 

それくらい麻雀には嗜癖性がある。

 

上に挙げたリンクは、昔、外科医の先生達と麻雀をしていた時の話である。同門の精神科医の仲間内で麻雀をしていた時期もあったが、今はメンバーが集まらなくなった。従って麻雀を健康的に遊ぶには健康麻雀のお店に行くしかないのである。

 

(健康)麻雀の映像対局は古くはCS放送のMONDO TVのモンド麻雀プロリーグがよく知られており、2000年頃には既に始まっていた。当時、医局のテレビで観られたので、夕方、仕事が終わって観戦していたものだ。当時気付いたことは、麻雀は自分がしなくても観ているだけで十分に面白いことだった。

 

モンド麻雀プロリーグは今も続いているが、近年はamebaTVのMリーグが主流になっている。シーズン中は水曜と週末以外は毎日やっているし、多い時は視聴者数も100万人を超えている。MリーグはamebaTVの驚異的視聴者数コンテンツに成長し、今は中国でも放映されている。

 

なお、amebaTVのMリーグはオーストラリア旅行中は視聴できない。これはGoogleのAIによれば、

 

ABEMAが海外で見れない主な理由は、著作権やライセンス契約による「地域制限(ジオブロック)」があり、IPアドレスで日本国外からのアクセスがブロックされるためです。ABEMAは日本国内向けのサービスとして配信されており、海外からアクセスすると「この地域ではご利用になれません」と表示され、コンテンツの視聴が制限されます。

 

 と説明されている。僕はオーストラリア国内をカンタス航空で移動中、航空機が飛行する高度ではamebaTVのMリーグが観られることに驚いた。またJALやANAは回線が細いので動画などは観られないが、カンタス航空の機内ではなんとか視聴できることにも驚いたのである。

 

また、なぜかスペイン国内ではamebaTVのMリーグが普通に視聴できる。この辺りの国よる相違はどのようになっているのかは分からない。

 

このようなことはVPN(仮想プライベートネットワーク)を利用すればクリアできるが、これもサブスクだし、オーストラリア旅行中にMリーグを長時間観るなんて、アホそのものなのでそこまではしていない。ただし観ないまでも結果は非常に気になるので、しぶにぃチャンネルは確認する。

 

以下はMリーグの同時視聴の動画ではないが、しぶにぃによる渋川選手の麻雀団体移籍の感想動画である。今年のサクラナイツの堀慎吾と渋川難波選手の麻雀団体移籍は大事件であった。

 

 

健康麻雀の話に戻るが、行ってみて思ったことを挙げてみる。

 

1、意外に女性もいる。これは健康麻雀ならではと思う。年齢的には若い人から年配の人までバランスよく平均している感じ。若い女性でハマっている人がいるが、普段どのような仕事をしているのか気になる。

 

2、想像していたより普通の速さで打つ人が多い。初心者は意外に少ない印象。一部、長考する人がいるが多くはない。麻雀はメンツの中で1人でも打牌の遅い人がいると疲れが何倍にもなる。もし健康麻雀が打牌が遅い人ばかりだったら、疲れるだけなので行かないと思う。僕は打牌が早い方で、配牌をもらって理牌する前に高速で切る。他の人に迷惑をかけたくないからである。

 

3、思っていたより正確に点数計算ができる人が多い。一部、曖昧な人がいるが、卓に4人いれば正確に解決する。

 

4、オーラスで特大トップ目の他家が子でリーチをかけた。これは普通に考えると、役がなく待ち的に好形だったからであろう。僕は役牌2牌鳴きホンイツ聴牌で親マンが確定しており、捨て牌もそれが明瞭だった。リーチがかかってから手牌がインパチに上がった。リーチの人が放銃し逆転。僕はラス親だったので、そのまま終了。このようなことは健康麻雀ならではである。参加する人は勝ち負けより一瞬の上がる喜びの方が上回っている。

 

5、事前に思っていたより強い人もいる。若い人が比較的多いのもあり運量が高いのであろう。不思議なほど高い手を上がる。毎回のように一盃口ができているとか、四暗刻聴牌が多すぎるとか(高い聴牌だとその人は毎回手牌を開けて見せてくれるのでわかる)。メンツの中で手牌進行が遅い人がいて、終盤決着になる傾向も関係しているかもしれない。

 

6、ノーテンリーチをかける人は稀。しかしノーテンリーチをかけるような人は、既に上がっている手牌から1牌切ってリーチをかけたりもする。もちろんフリ聴である。しかも終局までそれに気付かなかった。

 

7、健康麻雀店に来る凄く上手い人だが、麻雀の経験が長く、僕と同じようにメンツが集まらない人たちではないかと。仕事も警察官や裁判所勤務あるいは教師などと想像している。表情や言葉使いなどに、普段の仕事が何なのか雰囲気が出てくるものだ。

 

健康麻雀店が地方でも増えてきたことは、麻雀と言うゲームがギャンブルを離れて競技的なものに発展しつつあるの示している。それはMリーグの理念とも一致している。

 

参考

 

 

 

ベンゾジアゼピンと逆流性食道炎

 

 

前回の「CPAPの継続率の話」は今日の記事が書きたかったため、前置きとしてアップしている。

 

精神科では逆流性食道炎のために薬を希望する人が多い。あるいは内科で既に処方されている人もいる。薬としては、ランソプラゾールやファモチジンである。ランソプラゾールについては過去ログ「タケプロンの話」で長期服用による副作用について意見を記載している。

 

 

この記事の主旨は、

 

精神科でよくランソプラゾールが併用されているのは、精神疾患を持つ人がストレスから消化性潰瘍を起こしやすいのもあるのかもしれない。また、精神科患者さんに逆流性食道炎を併発している人を診るが、食事も含む日常生活リズムの乱れも関係していると思う。そのような経過でランソプラゾールを併用処方されるのであろう。

 

過食嘔吐の患者さんとランソプラゾールの関係も興味深い。ランソプラゾールを中止すると過食嘔吐が悪化する人がいるのである。

 

ランソプラゾールは「時に思わぬような副作用が出ていることがある」、「長期に連用することは可能なら避けたい」、「一部の患者さんで精神所見を改善していることがある」

 

などである。

 

逆流性食道炎は有病率が高い疾患で、なんと日本人の10人に1人が罹患している。これくらい多いと、精神科患者さんが平均より罹患率が高いかどうか判断しにくい。

 

肥満は逆流性食道炎に罹患しやすくなると言われており、精神科の患者さんは肥満している人が相対的に多いのでリスクは高そうに見える。

 

また、古い過去ログにピロリ菌の除菌の記事がある。ピロリ菌は胃酸を出にくくさせるらしく、ピロリ菌を除菌することで逆流食道炎になりやすくなる。ピロリ菌除菌は良くなることの方が多いが悪くなることもあると言ったところだと思う。

 

 

過去ログでは、身体的な状況から睡眠時無呼吸症候群ではないかと疑い、専門医に紹介した話をアップしている。
 
睡眠時無呼吸症候群の治療でCPAPを始める際に、これを悪化させる向精神薬も中止した方が良い。筋弛緩作用を持つベンゾジアゼピンである。この患者さんについてはベンゾジアゼピン中止後、数日、背部痛と腰痛が少し悪化した程度で容易に中止できた。ベンゾジアゼピンは直接疼痛の効果はないが、筋弛緩作用により肩痛や腰痛を和らげる。ミオナールと同じような機序である。
 
その患者さんによると、ベンゾジアゼピンを中止して以降、逆流性食道炎が改善したと言う。今まで胃液が逆流していたのに、胸やけ程度に収まっていると言うのである。
 
この理由を考えている時、ちょうどピッタリの記事を発見した。この記事はプレジデントオンライン(2025年10月28日)のもので、全文見るためには無料登録が必要である。
 

 

この記事は衝撃的な文章で始まる。どこが衝撃的かと言えば、抗不安薬を処方され、良くないなら精神科を紹介されると記載があること。(←悪化要因)

 

咳が止まらない。喘息を疑い、アレルギー検査を受けたが、異常はみられない。内視鏡で胃や食道を調べたがやはり問題は見つからない。漢方薬を処方されたが効果はなく、抗不安薬を処方される。これで良くならなければ、次は精神科に行ったほうがいいと医師から言われた――。

こんなふうに困り切った表情の患者が千船病院の逆流性食道炎 診断・治療センターの北浜 誠一のところに来たことがある。「検査をしてみると咳の原因は胃液の逆流でした。手術をすると咳はピタっと止まりました」

 

この記事で紹介された北浜誠一先生のプロフィールだが、

 

北浜は兵庫県西宮市で生まれ、京都大学医学部に進んだ。もともとはがん研究の道に進むつもりだった。しかし、実習先で知り合った医師が患者に献身的に接する姿に感銘を受けて臨床医となることにした。亀田総合病院で腹腔鏡手術の経験を積み、横須賀米海軍病院で臨床を行う免許を取得したあと、アメリカに渡る。腹腔鏡手術の技術を磨くためだった。そこで出会ったのが、減量手術と逆流性食道炎の外科手術だった。

 

大阪の千船病院が立ち上げた「逆流性食道炎 診断・治療センター」は一般では難しいさまざまな検査も行い、外科的な治療も行っている国内でもトップクラスの治療センターである。逆流性食道炎が生じる機序だが、

 

我々が咀嚼した食べ物は、喉の下に位置する上部食道括約筋を通って、食道に入る。食道は直径約2~3センチ、厚さ約4ミリ、長さ25センチほどの管状の臓器だ。食道はぜん動と呼ばれる筋肉の収縮で食べ物を下に送る。下部食道括約筋、横隔膜の穴を通って胃の中に入る。

我々の身体には「二重の門番」がいると北浜は表現する。「1つ目の門番は下部食道括約筋。ふだんはしっかり閉じていて、食べ物を飲み込んだときだけ開きます。2つ目は“横隔膜脚”という筋肉で、食道裂孔のまわりを支え、括約筋の補助をしています」

 

薬物治療では改善が難しい患者さんには、胃の上部である噴門部を食道の下部に巻き付けることで、下部食道括約筋を強化する内視鏡的外科手術を行う。噴門形成術と呼ばれる手術である。

 

このようなことから、おそらくベンゾジアゼピンの筋弛緩作用は2つの門番の緊張を緩めることで、逆流性食道炎を促進させている。だからこそ、ベンゾジアゼピンを中止することで、逆流性食道炎の症状が緩和するのであろう。

 

今の日本の高齢化社会では生活習慣病が増え、様々な要因が複雑に絡み合い、種々の症状を発生、脚色しているのがよくわかる。北浜医師の記事の中では、以下のような内容も記載されている。

 

「肥満症の方は、腹腔内圧が高くなり、胃が圧迫されるので逆流が起きやすい」

 

過食により胃が大きく膨らむと胃内圧が高まり、逆流がおこりやすくなる。これが長時間続くと“逆流防止の門番”の働きが弱まり、胃の一部が胸の方へずれて滑り込んでしまうことがある。下部食道括約筋の締め付けが弱くなってしまうんです。

 

加齢の影響もある。

「横隔膜脚の筋力は年齢と共に弱くなる。また、糖尿病の患者さんは筋力が落ちやすく、その影響で横隔膜の力も弱まりやすい。すると横隔膜の穴から胃が飛び出してくる。食道裂孔ヘルニアです」

 

逆流性食道炎を引き起こす意外な要因もあるという。

「過度な腹筋トレーニング、パワーリフティングのような運動も腹腔内圧を高める場合があります。また糖質制限ダイエットは、食事内容が高脂質になりがち。高脂質食は食道と胃のつなぎ目を緩め、消化管の動きを抑えるため、逆流の原因になります」

 

北浜先生たちは、このような状況で外科的手術が必要であれば、内視鏡的に噴門形成術を行っているのである。

 

このプレジデントオンラインの北浜先生の記事は、非常にインスパイアされるもので、日常臨床におけるさまざまな気付きの謎を解く鍵になっている。

 

参考

食道は精神科医にとっても十分に留意すべき臓器である。以下も参照。

 

 

抜粋

食道は上部3分の1はヒトが随意に動かせる。ここに分布する筋肉が随意に動かせるため、飲み込みに失敗した時に自力で吐き出せる。

解剖学的に食道上部3分の1は随意筋かつ横紋筋である。食道は下に行くほど平滑筋が多くなり、これらはヒトが随意に動かせない。

横紋筋はほとんど全て随意筋(ヒトの意思で動かせる)だが、唯一の例外は心筋である。これはヒトが自力で止めたりできない。心筋は骨格筋と同じ横紋筋ながら自由にできない筋肉である。

抗精神病薬の副作用のセオリーとして、ジスキネジアやジストニアなどの長期のドパミン遮断作用により引き起こされる不随意運動は、横紋筋のような随意筋にしか生じない。

言い換えると、自分の意思で動かせる筋肉にしか生じないのである。