kyupinの日記 気が向けば更新 -4ページ目

電子カルテとOSのことなど

精神科病院の電子カルテの普及率は、一般の病院に比べかなり低い。現在、精神科病院で41.8%、一般病院は65.6%程度と言われている。

 

中核病院のような大規模病院ではほとんどの病院が導入しており、個人の医院では、時々紙カルテが使われていると言う僕の印象である。ただし流行っている内科の個人病院でも紙カルテが使われていて驚くことがある。

 

これは院長の年齢も関係していると思う。僕の世代では、インターネットに馴染んでいる人とそうでない人の差が大きい。ある知り合いは、未だにガラケーを使っているくらいである。

 

電子カルテの導入率は病院の規模が大きいほど高い。その理由はランニングコストがバカにならないからである。そのような理由もあり小規模病院ほど導入率が低くなる。

 

しかし、2030年をもって電子カルテがほぼ義務化され、診療報酬にも反映するため、やがては全て電子カルテに移行すると思われる。

 

電子カルテ義務化へ 2030年目標

 

電子カルテはウィンドウズのOSがバージョンアップする度に移行に費用が掛かる。そのようなことから、OSのサポートが終わっても古いパソコンがそのまま利用されていたりする。

 

ところで、マイクロソフトは定期的にOSをバージョンアップするが、Windows10が出た時、もはや新しいバージョンは出ないと思っていた。しかし、なぜかWindows11が出ると言う話になった。僕は仕方なくWindows11のノートパソコンを購入し、Windows10のパソコンは2台を除いて全て売却した。ところが、Windows10は土壇場になって延命したのである。以下はGoogleAIから。

 

Windows 10の個人向けサポートは、2025年10月14日の終了後、特定の条件を満たすことで2026年10月13日まで1年間無料で延長可能です。機能追加はなくセキュリティ更新のみ提供される「拡張セキュリティ更新(ESU)」

 

Windows10はワードやエクセルを使うには十分なスペックで、業務上、Windows11はあまり必要がない。古いパソコンのWindows10は検索してバージョンアップ?すれば簡単に使えるようになった。

 

マイクロソフト社が新しいOSを発表し以前のOSのサポートを終了するのは商業主義的な面がかなり大きい。一応、セキュリティを理由に挙げているが、お金儲けがすべてだと思う。個人はあまり対象にしていないので、直前に無料で1年間延命させたのだと思う。

 

さて、僕がリエゾンに行っている病院では、WindowsXP、 Windows7いずれもOSのサポート終了後もかなり粘って古いパソコンが使われていた。古すぎてキーボードのアルファベットが読めなくなりブラインドで打たないといけないとか、キーボードのアルファベットの部品が取れてしまい、金属部分に触れて入力しなくてはならない古さである。なお、入力時、指で金属部分に触れるとピリっと来るが、感電するほどではない。

 

電子カルテのメリットは、コンピュータのようにコピペで文章が移せることが挙げられる。ずっと以前から、それだけは便利な点だと思っていた。あと、いかなる悪筆の人のカルテも読めること。僕は人のことは言えないが。

 

OSのサポートが終了したパソコンだが、電子カルテのパソコンをインターネットにつながないようにしておけばハッキングリスクはかなり低いと思う。

 

しかし全国的には、ランサムウェアによる被害が報告されている。例えば以下のような事件。

 

 

岡山県精神科医療センターがサイバー攻撃を受け、電子カルテをはじめとする院内システムがランサムウェアと呼ばれる身代金要求型コンピュータウイルスに感染し、法人内の診療所を含む全カルテが閲覧できなくなるなどの大きな被害が生じました。

 

電子カルテがウィルスに感染して閲覧できなくなるのは、病院にとって大惨事である。海外の企業では、身代金要求型ウィルスに感染した際、身代金を支払う率が50%前後もあるらしい。身代金を支払ってもトラブルが解消しないこともあるが、それくらいしか復旧に良い方法がないからである。

 

ところで、2030年までに国が全ての病院に対し電子カルテに移行するようアナウンスしている理由は、病院の診療状況の曖昧な部分をなくし、全てが見えるようにしたいからだと思われる。

 

例えば、精神科では最低5分は診察時間を取らないといけない。電子カルテはいったん書き込むと消せないため改ざんできない。もし1時間に13人診察していたとしたら、おかしいのが明瞭になる。それどころか、ある患者さんの診察時間が、例えば9時15分から9時23分までとか具体的に記録されるのである。

 

また、精神科の療養病棟には特定の精神科医師が常駐しないといけないルールだが、そのため常駐医師の1週間の外来の診察日数が制限される。これも電子カルテなら明確になる。それ以外にもいろいろあるが、とにかく電子カルテは精神病院にとって日常診療が窮屈になる面が大きいのである。

 

例えば、ある療養病棟の常駐精神科医の外来患者さんが悪化し、決められた診療日以外に来院したとしよう。その際に、担当医が院内にいるのに診察できない。もしかしたらできるのかもしれないが、ルール的にはできない。精神科急性期病棟の医師も同様な窮屈さがある。(この辺りは厚生局の担当の人の裁量次第)

 

なお、最近できた心療内科精神科クリニックはほとんどが電子カルテだと思う。単科精神科病院に比べ、クリニックは電子カルテによるデメリットはあまりない。

 

精神科も全ての病院で電子カルテ化するのは、時代の流れで仕方がないと思っている。

ネコのトイレハイとクン活

野良猫がカリカリを食べる様子

 

ノラネコがトイレをした後、猛ダッシュで走り出すのを時々見る。特に若いネコ。最初に見た時、あれはなんだろう?と思っていたが、なんと名前がついており、「トイレハイ」と言うらしい。上の写真はトイレハイとは全然関係がないが、ネコおばさんからカリカリを貰い、綺麗に一列に並んで食べているところ。なお、年寄りネコはあまりトイレダッシュしない。

 

トイレダッシュは写真ではわかりにくいし、なかなかビデオ撮影できない。

 

上の写真で、一番手前がよく写真をアップする鍵しっぽのネコだが、おそらく他のネコのうち白ネコ以外は兄妹と思う。それぞれ性格が異なるが、鍵しっぽのネコが最も人懐っこい。

 

地域猫がカリカリを食べる様子

 

いつのもの鍵しっぽのネコ。以下は、トイレハイのGoogle先生の説明。

 

ネコの「トイレハイ」は、排便・排尿前後に突然猛ダッシュしたり、大きな声で鳴いたりする、主に若〜成猫に見られる一時的な興奮状態です。野生の名残で危険な排泄場所から逃げる行動、スッキリした爽快感、排泄中の緊張解放などが理由と考えられています。多くは正常な行動ですが、病気のサインの可能性もあります。

 

黒白ぶち猫が石垣の前で座っている

 

このブチは、一番上の写真の一番奥のネコと同じと思う。ハチワレになっているので。

 

黒白の鍵しっぽ猫が地面に座っている野良猫たちがカリカリを食べる様子

 

こう言う風に、人の目の前で向こう側を見るのが、警戒感ないと言うか、地域猫っぽい。

 

猫のクン活:肛門の匂いを嗅ぐ地域猫

 

これは他のネコの肛門の匂いを嗅いでいる写真。この習性もよく見る。つまり、それくらい地域猫が多い。以下はGoogle先生の説明。

 

猫が他の猫の肛門の臭いを嗅ぐのは、挨拶や個体識別を目的とした情報収集(クン活)です。肛門周辺の「肛門腺」から出る分泌液には、年齢、性別、発情の有無、健康状態などの詳細なデータが含まれており、嗅ぐことで相手を特定・認識しています。人間でいう名刺交換やプロフィール確認に該当する行動です。 

 

なんと、クン活という名前までついているのでした。

 

後、最近ミノムシを探すようにしているが、昔より激減しているものの、いるのはいるのがわかった。

 

ミノムシが枯れ草を背景にぶら下がっている

 

典型的と言うか、これぞミノムシと言うショット。

 

ミノムシの巣

 

このミノムシは大きさもまあまあ。

 

 

子供の服薬を嫌がる親

今回は「精神科あるある」の話。ここで言う子供とは未成年に限らず35歳くらい以下の年齢全てを指している。

 

親が精神科に連れて来ているケースでさえ、向精神薬は怖いと言う感覚を持つらしく、服薬した方が良いと医師が助言してもそれを快く思わないことがある。親が服薬を嫌がっているのは診察の時の気配でわかる。

 

これはその子供がいかなる精神疾患なのかも重要だと思う。

 

統合失調症の場合、家庭でかなり親を困らせていることもよくあり、やっと精神科病院やクリニックに連れていく流れで初診していることもある。困らせている内容だが、例えば風呂に全然入らない、外に向かい大声を出す、家族に暴力を振るうなどである。他、テレビを壊すなど器物破損や、独り言を言い続け話ができないなども含まれる。

 

このような際、親もおそらく子供が重大な精神疾患に罹患していると考えていることも多く、投薬された際に、服薬はやむを得ない、あるいはこれで症状が良くなると思うことも多い。治療に乗ったことに安心する感じである。このような際、「子供の服薬を嫌がる」ことは当初はほとんどない。

 

しかし、統合失調症の子供が服薬により多少落ち着いたとしても、多くの副作用が出て「この治療はどうだろうか?」と思うこともあるようである。今は治療薬はスマホやパソコンの検索でいかなる薬なのかわかるので、診断や治療薬に疑念を持つこともある。このような際、セカンドオピニオン的に他院に相談し薬を変更してもらう家族もいる。

 

僕はこのような時、転院して治療内容を検討してもらうのは現代風で悪くはない判断だと思う。

 

ただし統合失調症では治療を中断するのは悪い選択肢である。その理由は序盤でしっかり治療を続けないと予後不良になることが圧倒的に多いからである。真の統合失調症(中核群)は自然に良くなることはまずない上、抗精神病薬以外の治療法がほぼないこともある。

 

十分に統合失調症の症状が揃っているのに、子供に対し強制的に服薬を止めさせたり、通院を中断させるのは、ある種のネグレクトだと思う。

 

それに対し発達障害ではかなり状況が異なる。発達障害による不安障害やうつなどの二次障害では、本人が家族に言わないで初診することも良くある。厳格な診断基準の発達障害よりグレーゾーンの方が一般の社会生活をしていることが多く、一見、外からはわからず、内面の苦悩が大きいことがある。

 

このような患者さんが家族が同伴して精神科、心療内科に受診した場合、家族から見て全く問題がないように見えるのに、向精神薬を投薬されるなんてとんでもないと言う感覚になりやすい。医師もその辺りは察せられるので、急を要さないレベルでは投薬しない判断をすることもある。服薬を強く勧めるかどうかは症状の重さや希死念慮などの他の所見も判断材料になる。

 

若い患者さんが独りで受診した際、親に精神科に行くと言ったか聴くこともある。聴かないこともあるが。親に言ったという患者さんには、親からどのようなコメントがあったかも聴く。これは家族のスタンスの一部が見えるからである。

 

発達障害でも、極めて暴力的で器物破損も多く、しばしば警察官を呼んだことがある家族では、手が付けられない症状が収まるならと、服薬を歓迎することが多い。なぜならこれを放置すると生活が成り立たないからである。このようなケースでは本人に治療意欲がないことがあり、これは統合失調症の病識欠如とはまた異なると思うのだが、長期的には対応が難しい。

 

精神科輪番では、夜間に学童期から大学生くらいの破壊的な症状がある患者さんがパトカーなどで受診することがある。普通、輪番は当日に入院させても翌日か翌々日には本人が強く要求して退院するケースも多い。

 

しかしこれくらいの症状があり、パトカーで来院しているのに、安易に退院させて翌日ないし1週間以内にまた事件を起こし輪番で受診になるのは道義的問題も生じる。このような際は本人と両親とも意見を聴き、しばらく入院させるかどうかを決める。この際、既にかかりつけ医がいるのであれば主治医にも意見を聴く。精神科は強制的な場面も生じざるを得ないが、長期的には周囲の根まわしも重要だと思う。

 

このようなパトカーが頻回に出動するレベルの患者さんも、治療がフィットすればかなり良くなるものである。N数は少ないが、輪番で初診した思春期も患者さんは全員上手くいった。統合失調症の人との相違は、彼らが良くなった時に、良くなったと判断できることだと思う。統合失調症の人は、例えば薬が良く効いていても、どれがどのように良くなったのかほとんど内省できない人もいる。

 

初診から時間が経ち、このようにパトカー出動レベルの人が、もはや服薬の必要性もなさそうに見えることがある。このような時は、「服薬は必要ないが、3か月ごとに受診してください」とだけ伝える。このような人はきりがないので、1年くらいでもう来なくて良いと言うことが多い。あるいは、進学で転居する場合は、紹介状なしで自然に治療終了とする。

 

問題は、発達障害ないしグレーゾーンで、幻聴や妄想まで発展した人たちである。彼らは、ほとんどの精神科医は統合失調症と診断する。

 

一般にドパミン過剰でも激しい興奮(暴力や破壊行為も含む)と、幻聴ではドパミンの脳への影響(ダメージも含む)は異なると言った感じである。当初は診断が何であれ抗精神病薬で治療されることが多い。

 

中核群の統合失調症と発達障害では、抗精神病薬の反応(特に副作用)が異なるように見える。発達障害の人は興奮や幻聴が激しい時も意外に薬の副作用に弱い。もう少し厳密に言えば、急性期にはわりあい薬が噛み合い副作用も少なめで済むが、落ち着いてくると薬負けして、副作用が目立つようになる。急性期から薬に弱すぎて幻聴が収まるまで増量できない(医師の判断)ケースもある。

 

家庭で治療する人では、親から見て副作用が悲惨過ぎて、タイトルとは違う意味で子供の服薬を嫌がることもある。見ていて可哀そうだからである。このような人は興奮などなく大人しくしている人も多いので、幻聴は残遺したとしてもガチガチに治療はしてほしくないと思う親も多い。外来では、その辺りで薬と症状のバランスを診ながら経過観察する。

 

このような特殊なケースではなく、発達障害の二次障害、不安障害や強迫症状、あるいは双極性2型ないしうつ状態くらいの人は、本人は服薬した方が生活しやすいと思っていても、親は服薬を否定ないし歓迎していないことも診られる。

 

これは、実は親の発達障害的な所見でもある。それは反精神医学的な思想と、いわゆる「食べてはいけない」と言う書物を妄信する延長線上にある。

 

オーストラリアの16歳未満のSNS禁止法

 

 

オーストラリアは2025年12月10日、世界で初めて16歳未満のSNS利用を禁止する法律を施行した。Instagram、TikTok、X、Facebookなど主要10サービスが対象で、違反した企業には最大約50億円(4950万豪ドル)の罰金が科される。目的は若者のネットいじめや心身への悪影響を減らすこととされている。

 

このような法律が施行された原因となる事件は多くあると思うが、ある少年がSNSで騙されて、囮の恋愛対象に自分の裸の画像を送ってしまい、それを犯人から脅されて、悩んで自殺したことが大きな事例とされている。この事件は確かにSNSがなければ起こっていないものだった。

 

最終的にメンタルヘルスに影響し、自殺という転帰になったのである。

 

オーストラリアは先進国だが、人口が少ないこともあり実験的な試みもしやすい国である。この行方を各国が現在注視している。例えばフィンランドはオーストラリアに似た法律を導入しようとしている。

 

 

オーストラリアのSNS禁止法だが、子供はともかく大人には好評のようである。

 

 

過去ログでは統合失調症の人はインターネットには相性が悪いという記事をアップしている。この記事は過去ログで見つからなかった。ある青年は外泊する度に、パソコンでインターネットに繋ぎ、その結果、妄想が重くなった。彼は元々インターネットに詳しい人だったこともかえって悪いのか、自我障害症状が悪化してしまうのである。

 

それ以外でも、ある女性患者さんは携帯電話を持つことで妄想が惹起されることが多く、しばしば入院にまで至った。家族及び本人と話し合い携帯電話を持たない生活にした。この方が抗精神病薬増やすより遥かに効果的なのである。

 

近年は、対話型AIの利用がメンタルヘルスに悪いというニュースも出てきている。いわゆるAI精神病である。

 

 

インターネットは2000年当時の牧歌的時代は過ぎ去り、各国はSNSも含むインターネット利用の落とし処を探る時代になったと思う。

 

なぜならSNS利用により、しばしば犯罪に巻き込まれたり(SNS詐欺など)、メンタルヘルスに有害な作用を及ぼすことがあるからである。

オレキシンと食欲及び覚醒

 

 

今回は上に挙げたコンサータと深夜に食欲亢進の記事の続きのような内容である。少々、複雑であるし僕本人も十分にはわかっていないため厳密な記事ではない。

 

本来、オレキシンと呼ばれる神経ペプチドは精神科であまり意識されていないものであった。オレキシンと関係が深いナルコレプシーは稀な疾患の上、他科で治療されることが多いからである。

 

ところが、ベルソムラ、デエビゴなどオレキシンの働きをブロックする新しいタイプの眠剤が発売されるようになり、精神科医もオレキシンの作用について考慮することが増えた。

 

このオレキシンの働きをブロックするタイプの眠剤は近年増えており、例えば、ベルソムラ、デエビゴ、クービビック、ボルズィなどが挙げられる。これはイメージ的には夜間にナルコレプシー的な状況を作り出すことで眠らせると言ったところだと思う。これらオレキシン受容体拮抗薬については以下の記事を参照してほしい。

 

 

精神科医がオレキシンについて考慮するようになったと記載しているが、実際のところ、考えているうちに混乱して何がどうなっているのかわからなくなる。少なくとも、僕はよくそうなる。

 

オレキシンはヒトの食欲、覚醒に深く関わっており、空腹時にはこれが活性化し摂食行動を強く促す。逆に満腹になると、オレキシン活性が低下し眠くなるのである。これが基本である。

 

ナルコレプシーはオレキシンの分泌が不足していることで生じている。つまりナルコレプシーは、オレキシンの覚醒作用が著しく欠乏する結果起こる。ナルコレプシーの人は自己免疫反応により、オレキシン産生細胞が減少することが原因であろうと言われている。

 

だから、オレキシンの作用だけを考慮すれば、オレキシンの作用の欠如ないし著しい低下により、ナルコレプシーの人は日中の眠さに加え、食欲不振傾向があってもおかしくない。オレキシン活性の不足により、常時、摂食行動を促さないからである。

 

ところが、ナルコレプシーの人は著しい体重増加や肥満を来す人が多いと言われている。例を挙げると、ナルコレプシーと言われる阿佐田哲也氏は確かに肥満していた。麻雀の闘牌中に眠っていたと言われる。

 

 

僕の患者さんについては、N数が少ないが、さほど肥満していない人がむしろ多かったような気がする。ただし、昔の患者さんは既に薬で改善しており、外来で治療している限り、本当にナルコレプシーなのかわからないところがあった。また肥満していないことについても当時はリタリンが処方されていて、薬剤的なものも影響しているのだろうと思った。

 

後年、睡眠時無呼吸症候群を経験するにつれて、当時の特に肥満体型のナルコレプシーの患者さんの一部は、実は睡眠時無呼吸症候群ではなかったのか?と思うようになった。

 

睡眠時無呼吸症候群は呼吸が90秒とか止まり、SPo2が70代程度まで下がる人は、ヘモグロビン値が正常上限を超えることがある。これは、つまり血がドロドロになっているわけで脳血管障害などの事故が起こりやすくなる。なぜヘモグロビン値が上がるかと言うと、慢性的な脳の酸素不足による代償である。一方、ナルコレプシーは呼吸までは止まらないので、ヘモグロビン値まで影響は及ばない。少なくとも代償性にヘモグロビンが正常値を超えるような人は、CPAPをした方が予後は色々な点で改善すると思う。

 

なぜ、一見、食欲不振に陥りそうなナルコレプシーの人が肥満傾向になるかだが、いくつか理由がある。

 

まずオレキシンは、エネルギー代謝にも関わっており、これが不足することで基礎代謝が低下し肥満しやすい体質になること。オレキシンが不足すると(おそらく体内バイオリズムが悪化し)夜間不眠になりやすい。睡眠の質が悪くなる結果、食欲を増進するホルモン(グレリン)が増え、食欲を抑えるホルモン(レプチン)が低下しやすい。古い過去ログに、ナルコレプシーの人は意外に不眠などを訴えて初診すると言う記事をアップしている。

 

 

ナルコレプシーの人がオレキシン活性が不足しているのに肥満している人が多いのは、このような理由からだと思われる。

 

今日の記事のテーマはなぜかASD、ADHDになっている。なぜ彼らに偏食が多いかを考えていた際に、インスパイアされて今回の記事に至ったのである。

 

彼らによく見られる偏食の原因もオレキシンないし類似物質?が、多少関わっているのでは?と思うようになった。確かに彼らの偏食は感覚過敏(例えば匂いや色、舌触り)、特別なこだわりから来る部分が大きいようには見える。

 

 

上の記事から抜粋。

 

漢方薬が好きな人は問題ないが、独特な臭いや舌触りを嫌う人はけっこういる。子供は平均して漢方が苦手な子が多い。例えば、漢方ではないが正露丸の臭いや味もそうである。このような舌触りが嫌以外に、感覚の過敏性が高いことはASD的所見だと思う。例えば、

 

〇偏食が酷い。

〇魚、卵、特定の野菜、果物など匂いのきついものを嫌う。

〇親子丼など舌触りや食感の異なるものが混ざっている料理が食べられない。

 

以上抜粋終わり。

 

この感覚過敏やこだわり以外に、同じものばかり何度も飽きずに食べると言う特性が見られる。例えば、カレーやフライドチキンなどである。

 

これは特定の食物にしか報酬系が活性化しないように見える。この際、特定の食物にしかオレキシン的な食欲亢進が起こりにくくなっているのでは?と思う。これは、食行動のイントロの部分を言っている。トータルでは、報酬系だけではなさそうなのである。

 

ASDやADHD以外の人でも、「ケーキは別腹」と言ったりする。これは満腹でもケーキはお腹に入るよ、と言っているのである。これは満腹の状況でも、ケーキが目の前にあれば食欲が刺激されていることを示している。

 

正しいかどうか自信がないが、このような満腹の状況では100%報酬系と言う感じではないよね、と思うのである。

 

ASDやADHDの人たちがいわゆる向精神薬に過敏で思わぬ副作用が出やすいと同じように体内の神経ペプチドにもある意味、まだらな過敏性が生じているのかもしれない。

 

発達障害の人は、感覚過敏やこだわりだけでなく、内因性のオレキシンないしオレキシン的な神経ペプチドの反応性やバランスが悪いために偏食が生じているのでは?と考えている。