阿佐田哲也
直木賞作家、色川武大氏はナルコレプシーであったといわれる。色川武大は本名で、いくつかのペンネームがあるが、阿佐田哲也はギャンブル作品、色川武大では純文学作品を扱っている。一般的にいうと、たぶん阿佐田哲也のペンネームが最も知られていると思うのは僕だけだろうか?
厳密に言えば、本名は色川武大(いろかわたけひろ)であり、ペンネームは色川武大(いろかわぶだい)と読み方を変えている。色川氏はナルコレプシーの精神疾患を持ち、なおかつ、中学を中退しアウトローの生活に身を投じていたと言われている。彼の阿佐田哲也による作品では麻雀やギャンブルを扱ったものがたくさんあり、当時の生活がソースになっていたのには間違いなかった。
当時、僕が最も疑問に思ったのは、ナルコレプシーで果たしてアウトローになれるのかということであった。というのは、ナルコレプシーの人はギャンブルが弱そうなのである。
ナルコレプシーは非常に珍しい疾患であり、僕もたくさんの症例は診ていない。日本人の有病率は世界で最も高いらしいが、それでも有病率は1万人当たり16人~17人程度である。欧米では1万人に2~4人くらいと更に稀だ。ナルコレプシーの症状は主に日中の居眠りである。単調な場面ではもちろん眠くなるが、常人がとうてい眠気を起こさない状況でも眠ってしまうこともある。余談だが、犬にも脱力発作伴う遺伝性ナルコレプシーがあり薬が有効なのだという。
僕には、特にそのナルコレプシーのパーソナリティを考慮すると、あまりにもアウトロー&ギャンブラーと不釣合いに思える。ナルコレプシーの患者さんは、居眠りにより失敗や挫折を何度も味わう。次第に自信を失い劣等感を強く感じるようになる。長期間のうちに物事にこだわらない、自己主張の少ない、人のよい、親しみやすい、張りのない、諦めやすい性格が形成されるという。 これはナルコレプトイド性格と呼ばれる。日本には、ずっと以前から「なるこ会」なるナルコレプシーの人たちの会が存在するが、きっと、人の良い人たちばかりが集まっている会だと思うよ。
僕の感覚では、ナルコレプシーの人にはギャンブルは無理とは言わないが、とても弱いギャンブラーにしかなれそうにない。ただ、1つだけそれをうまく説明できるものがある。テレビで観たことがあるのだが、色川武大は多重人格だったらしいのだ。だから、色川武大と阿佐田哲也は筆跡からして全然異なるのだという。
多重人格は近年になってやっと日本でも精神疾患として認知されてきたように思う。うちの病院でも1名治療中であるが、僕は全くかかわっていない。その女性患者さんは、子供から大人まで男女幾人も人格が出てくる。ある日、本人がある人格に変わり、自分のある人格に面会に来たという不思議な現象に遭遇した。もう人格が変わっているので、自分に面会に来ているという奇妙な状況に本人は気がつかないのである。彼女は、なんだか最近すごく良くなってきたみたいで、オッサンとかが全然出てこなくなっている(らしい)。
阿佐田哲也氏もそんな風になっていたのなら、ナルコレプシーでもアウトローができるような・・
参考
トフラニール
阿佐田哲也(続き)
厳密に言えば、本名は色川武大(いろかわたけひろ)であり、ペンネームは色川武大(いろかわぶだい)と読み方を変えている。色川氏はナルコレプシーの精神疾患を持ち、なおかつ、中学を中退しアウトローの生活に身を投じていたと言われている。彼の阿佐田哲也による作品では麻雀やギャンブルを扱ったものがたくさんあり、当時の生活がソースになっていたのには間違いなかった。
当時、僕が最も疑問に思ったのは、ナルコレプシーで果たしてアウトローになれるのかということであった。というのは、ナルコレプシーの人はギャンブルが弱そうなのである。
ナルコレプシーは非常に珍しい疾患であり、僕もたくさんの症例は診ていない。日本人の有病率は世界で最も高いらしいが、それでも有病率は1万人当たり16人~17人程度である。欧米では1万人に2~4人くらいと更に稀だ。ナルコレプシーの症状は主に日中の居眠りである。単調な場面ではもちろん眠くなるが、常人がとうてい眠気を起こさない状況でも眠ってしまうこともある。余談だが、犬にも脱力発作伴う遺伝性ナルコレプシーがあり薬が有効なのだという。
僕には、特にそのナルコレプシーのパーソナリティを考慮すると、あまりにもアウトロー&ギャンブラーと不釣合いに思える。ナルコレプシーの患者さんは、居眠りにより失敗や挫折を何度も味わう。次第に自信を失い劣等感を強く感じるようになる。長期間のうちに物事にこだわらない、自己主張の少ない、人のよい、親しみやすい、張りのない、諦めやすい性格が形成されるという。 これはナルコレプトイド性格と呼ばれる。日本には、ずっと以前から「なるこ会」なるナルコレプシーの人たちの会が存在するが、きっと、人の良い人たちばかりが集まっている会だと思うよ。
僕の感覚では、ナルコレプシーの人にはギャンブルは無理とは言わないが、とても弱いギャンブラーにしかなれそうにない。ただ、1つだけそれをうまく説明できるものがある。テレビで観たことがあるのだが、色川武大は多重人格だったらしいのだ。だから、色川武大と阿佐田哲也は筆跡からして全然異なるのだという。
多重人格は近年になってやっと日本でも精神疾患として認知されてきたように思う。うちの病院でも1名治療中であるが、僕は全くかかわっていない。その女性患者さんは、子供から大人まで男女幾人も人格が出てくる。ある日、本人がある人格に変わり、自分のある人格に面会に来たという不思議な現象に遭遇した。もう人格が変わっているので、自分に面会に来ているという奇妙な状況に本人は気がつかないのである。彼女は、なんだか最近すごく良くなってきたみたいで、オッサンとかが全然出てこなくなっている(らしい)。
阿佐田哲也氏もそんな風になっていたのなら、ナルコレプシーでもアウトローができるような・・
参考
トフラニール
阿佐田哲也(続き)