比叡山を越える徒歩旅の先に現れたのは、静かな森に佇むレトロ駅舎・坂本ケーブル延暦寺駅。
昭和の香りが残る内部を歩くと、山岳鉄道ならではの味わい深い空気が漂います。
琵琶湖を望む眺望やクラシックな装飾――歩いて来たからこそ出会えた特別な風景でした。
前回までのお話
前回は、東塔バス停から延暦寺には立ち寄らず、そのまま徒歩で進み、ついに坂本ケーブル・延暦寺駅に到着したところまでのお話でした。
延暦寺駅 駅舎内部
駅舎
この延暦寺駅、外観からしてレトロ感たっぷりの雰囲気です。建物全体がクラシックで、山岳鉄道らしい静けさと趣が同居しています。私は一目で気に入りました。
待合室
古い木製ベンチがずらりと並び、自動販売機も控えめで景観を壊しません。
天井
天井を見上げると柱と梁が連続して伸びていく構造がとても特徴的で、角の装飾もステキです。
窓口
自動券売機もありますが、右にあるのは有人窓口?ではなくそのさらに右に小さな有人窓口があります。
この有人窓口だけでしか買えない普通乗車券があるのですが、そのお話はまたのちほど(^_^)
それより、公衆電話がこんな目立つ場所にあるのが…昭和の名残を感じさせますね。
展望
気を取り直して、駅舎の外に出て景色を堪能します。
駅舎出口
駅舎の出口は独立した動線になっていて、繁忙期に人の流れをコントロールできる設計。観光地の山岳交通らしい工夫が見られます。
ただ、現在も使われているかどうかは分かりませんでした。
延暦寺駅からの眺望
う~ん、ここまでのルートからの眺望の方が良かった気がします。
「たぶん、2階からならもっと見えたはず……」と自分に言い聞かせます。
改札口
全体的にクラシックな色合いで、時代を重ねても古びた印象が少ない、とても綺麗な駅でした。
延暦寺駅 構内
いよいよ構内へ入っていきましょう。
木製の駅看板
かなり文字が薄くなっていますが、まさに時代を刻んだ風合い。
麓から登ってきた乗客が最初に触れる「延暦寺らしさ」でもあります。
ホーム
ホームはもちろん傾斜に沿って階段状。山岳ケーブル駅ならではのレイアウトです。
駅名標
駅名標もホームの傾斜に沿って設置されていて、これもまたケーブルカーらしい個性ですね。
あら?途中駅があるんですね。
ここで、ちょっと坂本ケーブルの豆知識を。
坂本ケーブルの沿革・路線データ・特徴
開業:昭和2(1927)年
路線距離:2.025km(日本最長)
日本最長のケーブルカーとして開業。実は現在も「日本最長」の座は変わっていません。
延暦寺駅〜ケーブル坂本駅の間を約11分で結びます。
正式名称は、比叡山鉄道線です。
高低差:約484m
琵琶湖側の麓から比叡山の中腹まで一気に駆け上がる、ダイナミックな勾配が特徴。
途中駅:2駅
ほうらい丘駅、もたて山駅
通常は、途中駅は通過しますが、下車したいときは事前に申告すれば停車してくれます。
途中駅で乗車するときは、各駅に設置の直通電話で乗車する旨を申告します。
また、駅の窓口のところでお話しした有人窓口でしか変えない普通乗車券、それは、この途中駅で乗降するための乗車券のことで、自動券売機では発売していなくて、この窓口で購入する必要があります。
車両:クラシック車体(平成元年更新)
レトロ調デザインで、沿線の雰囲気に合わせて設計されています。
建築価値:延暦寺駅舎・ケーブル坂本駅舎ともに登録有形文化財
駅舎のクラシック感は伊達ではなく、建築としても高く評価されています。
では、乗車することにしましょう。
坂本ケーブルの車両
最後は、発車前の車内。
どこか洋風なバルコニー装飾のような車内の飾り付け、昭和のマンションのベランダにありそうな、でも妙に歴史のあるケーブルカーに馴染む不思議なデザインです。
こういう“装飾の寄り道”が坂本ケーブルらしさかもしれません。
次回はいよいよ、比叡山越え旅の最後の鉄道となる 坂本ケーブルの乗車編 に入ります。
ここまで歩いた分、乗った瞬間の感慨はきっとひとしおです——。
(令和5年9月撮影)
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