冬晴れの朝、上信電鉄の列車を降り立つと、澄みきった空気の向こうに木造駅舎が静かに迎えてくれました。
ここは上州福島駅。上信線のほぼ中間に位置する、明治30年からの歴史を受け継ぐ有人駅です。小ぢんまりとした姿の中に、どこか懐かしい温もりが宿っていました。
駅舎
駅舎全景
上州福島駅の駅舎は、今も木造の姿をとどめる貴重な存在です。外壁の下部には下見板張りが施され、年月を重ねても穏やかな佇まいを見せています。
開業は明治30年(1897年)ですが、この駅舎が当時からの建物かは明らかではありません。しかし、窓枠や柱の意匠には、古い木造駅舎らしい柔らかな線が残っています。
駅舎正面
正面の駅名看板は新調されていますが、控えめな書体と配置が風景に馴染み、違和感がありません。
さらに、窓枠は木製のガラス窓に改修され、往時の姿を生かしながら今も現役として使われています。手入れを重ねて生き続ける、まるで“呼吸する駅舎”のような存在です。
改修前の駅舎
改修前の駅舎、駅看板は黒板型で古いですが、それ以外はあまり変化がなく、現在の状態も改修したというほどのものではないのかもしれません。
駅前
駅前
駅前は狭い駅前通りに住宅や商店がが寄り添うように並び、冬の陽射しが静かに差し込んでいました。
駅前の井戸
正面には屋根付きの井戸があり、これはかつて駅周辺で暮らす人々の生活の名残といわれています。今も大切に残され、訪れる人を温かく迎えてくれるようでした。
待合室と出札
三和土
駅舎内の待合スペースは、三和土(たたき)の床が古く、歴史を感じさせます。壁や窓は丁寧に補修され、作り付けのベンチにはそろいの座布団が置かれていました。
冬の列車待ちに腰を下ろすと、木の香りと外の冷気がまじり合い、ほっとするようなぬくもりが伝わります。
営業時間帯は違いますが、平日・休日を問わず有人駅となっています。
出札口の上には沿線の鉄道写真が飾られ、左手には甘楽町「小幡」観光案内のパネルが掲げられていました。ここから南へ向かえば、かつて織田信長の次男、織田信雄が治めた小幡藩の城下町があります。
白壁の屋敷が並び、用水沿いに古い町並みが残る――そんな歴史の香るエリアが、駅から数キロの距離にあるのです。
改札と構内
改札
改札を抜けると、構内通路を渡って島式ホームへ向かう構造。
列車が風を切って入ってくる様子は、どこか昔日の旅情を感じさせることでしょう。
構内全景(下仁田方面)
構内通路から見たところ、ホームは島式1面2線です。
構内(高崎方面)
右奥が駅舎です。
外側には側線が1線見えます。ホームの奥行きと直線の線路、このあたりは田園地帯を直線的にレールが走ります。
交換風景と貨車
交換風景
上州新屋駅近くに信号場があるものの、現在のダイヤでは上州福島駅で列車交換が行われることが多いようです。構内で出会う上り下り列車は、地方私鉄ならではの時間のリズムを感じさせます。
貨車
ホーム脇の側線には、さびた貨車が1両留置されています。型式はテム1形と思われ昭和36年の製造、国鉄にも同様の形状の貨車がテム100形・300形がありました、かつてこの沿線で貨物輸送が行われていた名残です。
駅が物資の中継点として機能していた時代を物語る、静かな証人のようでした。
駅名標
地表型
吊り下げ型
駅名標は地表型と吊り下げ型の2種類。いずれにもうさぎのイラストが描かれ、地元の温かみを感じさせます。
特に「ふく」の字が少し大きく描かれており、福のある土地であることを象徴しているようです。駅の名そのものが、どこか幸福を運んでくれる響きをもっています。
車窓の浅間山
車内からの浅間山
列車が下仁田方面へ発車すると、車窓の向こうに浅間山と妙義山が並んで見えてきます。
この風景こそ、上信電鉄の“信”にあたる、信濃の山々。会社名の「上信」は、上野(こうずけ=群馬)と信濃(長野)を結ぶ構想から生まれたものです。
かつてこの鉄道は、浅間山の向こう、信濃方面まで線路を延ばす計画があったのだとか。今はその夢が形を変え、地域の足として穏やかに息づいています。
周辺の見どころ
上州福島駅からほど近いかんら野は、ゆるやかな田園と丘陵が広がる、のどかな農村風景の地。季節ごとに麦や稲の色が変わり、沿線の車窓にやさしい彩りを添えています。
一方、南の小幡地区は、織田家ゆかりの城下町。白壁の屋敷や石垣が今も残り、街並みを歩くと江戸時代の気配が漂います。
駅からレンタサイクルを使えば、20分ほどで到着。歴史と風景の両方を楽しめる小さな散歩旅ができます。
まとめ
上州福島駅は、古い木造駅舎が今も現役で息づく、上信電鉄の中でも印象深い駅でした。
窓を新しくしながらも古き良き姿を保ち、駅員さんが窓口に立ち、そして貨車が静かに眠る。
過去と現在がやさしく重なるこの駅には、「時を超えて生き続ける鉄道の記憶」がありました。
(令和3年12月訪問)
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上州福島駅情報
所属:上信電鉄
開業:明治30年5月10日
場所:群馬県甘楽郡甘楽町
形状:木造駅舎
乗換:なし
詳しい駅情報・駅時刻表は、上州福島駅|上信電鉄株式会社で
札幌駅、東京駅、名古屋駅、大阪駅、高松駅、博多駅から上州福島駅へのアクセス
札幌駅から:14時58分着 所要時間8時間58分 31,630円 新函館北斗・大宮・高崎乗換 □■■□
東京駅から:7時44分着 所要時間1時間36分 5,180円 高崎乗換 ■□
名古屋駅から:9時57分着 所要時間3時間20分 15,080円 東京・高崎乗換 ■■□
大阪駅から:10時27分着 所要時間4時間37分 18,170円 新大阪・東京・高崎乗換 □■■□
高松駅から:11時24分着 所要時間6時間49分 21,330円 岡山・東京・高崎乗換 □■■□
博多駅から:13時24分着 所要時間7時間24分 26,410円 東京・高崎乗換 ■■□
*データはNAVITIMEで検索したもので、平日、鉄道だけで最も早い時間(最速ではありません)に到達できる時間と料金です。
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