川原湯温泉駅|沈んだ旧駅と再生した新駅をつなぐ八ッ場の物語【吾妻線・温泉旅】 | 日本中の駅を旅する 駅と駅舎のブログ

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 日本中の駅を旅したいというあなたのために、有名木造駅舎から無名のホームだけの駅まで、1駅1駅ご紹介して、各駅下車の駅めぐりをしている気分を味わっていただくブログです。
 空旅、企画旅、鉄道クイズもあります。

山あいに湯けむりが立ちのぼる地、川原湯温泉
ここには、かつての駅が沈み、新しい駅が生まれた――そんな「時間の断層」があります。
同じ八ッ場大橋を見上げながら、過去と現在の川原湯温泉駅を歩く旅。
その風景は、静かに語りかけてきます。

 


 

平成の川原湯温泉駅 ―― 湖底に眠る、木造駅舎の記憶

 

旧・川原湯温泉駅舎

旧川原湯温泉駅舎と八ッ場大橋

川原湯温泉駅に最初に訪問したのは、今から10年以上前の平成26年の夏でした。

白い下見板張りの壁にこげ茶の屋根。昭和の温もりを残す木造駅舎が、山の懐に寄り添うように建っていました。
背景には、のちに湖をまたぐ八ッ場大橋の橋脚がそびえ、まるで「時代の境界線」を描いていたかのようです。

財産標

川原湯温泉駅 財産標 昭和18年

川原湯温泉駅の開業は、JR東日本のホームページでは昭和21年となっていますが、財産標の登録年度は昭和18年と3年の開きがあります。
開業年度と国有財産登録年度にずれがある駅は多々ありますが、 3年もズレているのは珍しいと思います。
 
ちょうど 終戦の混乱期を挟んでいるので、駅工事は終わっているのに開業が遅れたなどの理由があったのかもしれませんが、確定的な証拠をつかむことはできませんでした。
 
 
出札窓口

出札窓口と改札口がある川原湯温泉駅構内

木造駅舎らしいカウンターがある出札窓口が残っていました。当時は有人駅だったんですね。
 
改札

旧川原湯温泉駅舎の入口と待合スペース

ホームから見た改札です。
金属製のラッチが中央に、かつては乗降用に分かれたゲートになってました。
柱に隠れて見えにくいのですがしまいましたが、古い書体のホウロウの出口看板が残っていました。
 
構内(渋川方面)

川原湯温泉駅のホームと駅舎

暦の上では秋でしたが、まだ夏の光の中に、2面2線の静かなホームが伸びていました。
吾妻線の線路を渡る跨線橋を渡ると、山手からは蝉の声。
この風景が見られたのは、平成の終わりごろまでで、 八ッ場ダム建設に伴い、旧駅はその水底に沈むこととなりました。
 
ホーム待合室

旧川原湯温泉駅舎 白木造り待合室

反対ホームには、駅舎とよく似た木造の待合室がありました。
ただ、こちらは窓や出入口も木製、エアコンは設置されていませんでしたが、なぜか涼しげに感じる待合室でした。
 
 
構内(大前方面)と八ッ場大橋

川原湯温泉駅と八ッ場大橋

どこまでも高くそびえるコンクリートの橋脚。
その下を通るたびに、旅人は「この先にダムができる」と耳にしたものでした。
いま思えば、この風景こそが“変わりゆく川原湯”の象徴だったのかもしれません。
 
今は湖底に沈んだ鉄路をやってきたのは特急「草津」でしょうか?
 
駅名標

川原湯温泉駅 駅名標

地表型の標準タイプの駅名標、保存されたりはしていないでしょうね。
 

 

八ッ場ダム・資料館・吾妻湖 ―― 新しい風景に宿る記憶

 

八ッ場ダム

 

八ッ場ダムと吾妻湖、霧に包まれた山並み


 
 

八ッ場ダム湖の案内看板と背景の風景

平成の終わり、 八ッ場ダムはついに完成し、谷は 吾妻湖という静かな水面へと姿を変えました。

かつて線路が通っていたあたりには、湖をまたぐ八ッ場大橋が延び、今もその姿を旧駅跡の上から見下ろしています。

 

なるほど!やんば資料館

八ッ場ダムと資料館、駐車場、吾妻湖

湖畔に立つ「なるほど!やんば資料館」**では、移転前後の川原湯温泉街や旧駅の写真、ダム建設の歴史資料などが展示されています。
館内の展望室からは、青く澄んだ湖面を一望でき、かつて列車が走った軌跡を想像することができます。

 

そして湖畔を歩けば、旧川原湯温泉駅があった場所をおおよそ特定できる地点があります。
その目印こそが――八ッ場大橋

 

八ッ場大橋

八ッ場大橋と吾妻湖の風景

過去の写真と同じ角度から眺めると、橋脚の位置や山の形がぴたりと重なり、かつての駅舎のあった場所を静かに示してくれます。

現在の川原湯温泉駅は、この八ッ場大橋を渡った対岸奥にあり、旧駅とはやや離れた位置に設置されました。

失われたものは多いけれど、それを受け止めて新しい風景をつくり出したこの地の力強さを感じずにはいられません。

 


 

現在の川原湯温泉駅 ―― 再生の丘に立つ新しい玄関口

 

現在の構内(大前方面)

 

現在の川原湯温泉駅ホーム

旧駅と異なり、構造は島式の1面2線となりました。
左山手に駅舎があります。
 
現在の構内(渋川方面)

雨の日の川原湯温泉駅ホームと吾妻線車両

 

現在の川原湯温泉駅は、湖を見下ろす高台に移転し、モダンなデザインの駅舎になっているそうですが、残念ながら新駅は通過しただけ、交換待ちの間にホームに降りただけでした。
 

駅名標

川原湯温泉駅 駅名標
旧駅の面影をそっと残すように、駅名標には変わらず「川原湯温泉」の文字。

そして、すぐそばには新しい温泉街が息づいています。

駅前には、地元住民の手で再建された笹湯があり、旅人にも人気の立ち寄り湯となっています。
泉質は昔ながらの
弱アルカリ性単純温泉**。肌にやさしく、湯上がりはつるりとした感触が残ります。

また、駅前広場にはカフェや小さな直売所が並び、手づくりの温もりがあふれています。

夜になると、静かな湖面に駅の灯が映り、列車のヘッドライトがその上をゆっくりと滑るように通り過ぎていきます。
それはまるで、過去の記憶が今を優しく照らしているような光景です。

 


 

沿線の観光案内

 

  • 笹湯(駅前):移転後も地元の心の湯として営業中。朝9時から入浴可。

  • やんば見放台:ダム全景を見下ろす展望スポット。湖と新駅(新駅は距離がありあまり良く見えません)を一望できます。

  • やんば茶屋:地元野菜を使った定食やダムカレーが人気。テラス席から湖が一望。

  • 吾妻渓谷遊歩道:春は新緑、秋は紅葉が絶景。遊歩道入口は駅から徒歩10分ほど。

  •  

温泉・鉄道・ダム」が共存するこの地域では、旅のテーマを自由に組み合わせられるのも魅力です。
温泉で癒され、ダムを巡り、そして列車に揺られて帰る――。
そんな“川原湯時間”を、あなたもぜひ味わってみてください。

 

かつての駅が眠る湖を見下ろしながら、列車は今も走り続けています。

それは、過去と現在が手を取り合うような、静かな風景です。


 

✨ まとめ

 

川原湯温泉駅は、過去と現在が静かに交わる場所。
旧駅が沈み、新しい駅が立つ――その物語の中に、人と鉄道と自然の共生が見えてきます。
八ッ場大橋を見上げるたび、あの木造駅舎の姿が心に浮かび、ダム湖に映る光が、未来への希望のようにきらめくのです。

鉄道は、時代を越えて“記憶”を運ぶもの。
そしてこの駅は、今もなお、川原湯という名の物語を静かに紡ぎ続けています。

 


 

 

(平成26年9月訪問・令和6年8月訪問)
 

**********

 

川原湯温泉駅情報

所属:JR東日本高崎支社
開業:昭和21年4月20日
場所:群馬県吾妻郡長野原町
形状:鉄骨平屋駅舎
乗換:なし

詳しい駅情報・駅時刻表・構内図・バリアフリー情報は、JR東日本駅の情報(川原湯温泉駅)から

 

札幌駅、東京駅、名古屋駅、大阪駅、高松駅、博多駅から川原湯温泉駅へのアクセス

札幌駅から:16時41分着 所要時間10時間41分 29,600円 新函館北斗・大宮・高崎・新前橋乗換 □■■□□

東京駅から:8時42分着 所要時間2時間14分 5,590円 高崎乗換 ■□

名古屋駅から:11時59分着 所要時間4時間18分 15,270円 東京・高崎乗換 ■■□

大阪駅から:11時59分着 所要時間5時間24分 18,140円 新大阪・東京・高崎乗換 □■■□

高松駅から:11時59分着 所要時間7時間24分 21,300円 岡山・東京・高崎乗換 □■■□

博多駅から:14時14分着 所要時間8時間14分 25,940円 東京・高崎・新前橋乗換 ■■□□

 

*データはNAVITIMEで検索したもので、平日、鉄道だけで最も早い時間(最速ではありません)に到達できる時間と料金です。

*記事作成時点の情報で(記事公開日とは異なります)、検索条件によっては異なる結果になることがあります。

 

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