kyupinの日記 気が向けば更新 -17ページ目

手術を受ける時は自分だけで決めず、周囲の人の意見も聴くこと

精神科の患者さんは合理的な判断が出来ないことがあり、大きな判断をする時は周囲の人の意見を聴いた方が良い。

 

もう検索できず、いつ記載したのかわからないが、「うつ病や統合失調症などの精神疾患の重い時期は重大な決断は避ける」と言う話が出てくる。重い時期は例えば入院中などである。

 

重大な決断とは、「大学を退学する」「会社を退職する」などである。離婚も同様である。

 

精神疾患の重い時期は、明らかに自らに不利益なことも判断できない。

 

精神疾患を持つ患者さんは、本人だけの判断で手術を受け、その結果、悪い経過になっていることがある。その手術の内容やそれまでの症状を聴く限り、その時点で手術を受ける必要はなかった。

 

ここで言う手術とは、例えば差し迫っていない整形外科的な手術などが挙げられる。悪い経過も幅があり、手術後、疼痛がなかなか取れないと言う奇妙な経過も精神科患者さんではある。疼痛性障害は手術が良好に終わったとしても、それがトリガーになり得るからである。

 

極端な例では、手術は無事に終わったがリハビリ中に死亡したという転帰もある。

 

交通事故の大きな外傷など、どうしても手術をせざるを得ない状況で悪い転帰が生じたのならやむを得ないが、手術をすべきかどうか微妙なケースでこれは悲惨すぎる。

 

なぜこのようなことがあるかと言うと様々な要因があり、例えば生活保護を受給していて、手術、入院費用が無料なので医師が手術を勧めやすいと言う状況もある。つまり診療報酬を上げるために手術を推奨されているのである。

 

また、これは特に重要だが、精神科の患者さんでは手術の根拠となった疼痛に実態がないこともあり得る。(疼痛性障害など)

 

他の要因として、重い精神病の人は、経験の少ない技量が未熟な医師が手術することが相対的に多いと言うこともある。

 

タイトルの周囲の人とは、主に家族であるが、精神科の主治医の意見も重要だと思う。

 

僕は患者さんから手術した方が良いかどうか尋ねられた時、「今はやめておいたほうが良いでしょう」と助言したことの方が遥かに多い。

 

これらは、一部は医療の闇でもあるが、長く精神科医をしている僕が言うのだから、そう言う傾向があることは知っておいてほしい。

ネコは塩分に弱い話

 

上は最近見るようになったネコ。ネコは多い塩分には弱く、ヒトと同じ程度の塩分を摂らせると腎臓を壊す。だからエサをやるならカリカリが良いらしい。そもそも、ネコは体が小さいので少しだけ多い塩分だとしても影響が大きい。

 

 

地域猫にエサをやっているネコおばさんたちは、そのあたりよくわかっているらしく、妙なエサをやっている人はいない。

 

 

このネコは、ここ1年以内に生まれたと思われる。まだ体が小さいが、既に仔猫を出産できる年齢である。メスネコは出生後、約半年で妊娠できるようになる。なお、妊娠期間は約2ヶ月である。上のメスネコは既に避妊手術をうけている。

 

 

このネコはずっと以前から見ているネコで少なくとも2歳以上。

地域猫は概ね縄張りが決まっているらしく、いつも同じような場所で見るが、それでもネコの密集地域とそうでない地域があり、この辺りはあまりネコがいないためか、そこそこ広い場所で見る。この石垣に登っているネコはこのネコ以外、あまりいない。

 

 

ネコおばさんが声をかけると降りてくるので、少なくともそれくらいの知能は持っている。

 

 

ノラネコはかなり多種が混血しているので、塩分に弱いとはいえ、純血種ほどではないと思う。

 

 

ネコが腎臓を壊すと減塩カリカリを食べさせるらしいが、味がないというか、旨さもないらしく、食欲が落ちている体調では旨くないカリカリはあまり食べない。食べないとますます弱ることになる。

 

まだ食べる段階だと、食べないよりは良いので、仕方なく減塩でない普通のカリカリをやっていると言う。

 

この話を聴くまで、ネコが塩分に弱いなんて知らなかった。味付けされているイリコなどはネコにやってはいけないのである。

入浴しない精神科患者

外来精神科患者さんの中に、とんでもない長期間、風呂に入っていない人がいる。そのような患者さんが診察室に入ると悪臭が取れないので、診察が終わり次第、窓を開けて換気し消臭剤を噴霧する。そうでもしないと次の患者さんを診察室に入れられない。

 

そういえば、統合失調症の患者さんには加齢臭がないという古い記事がある。

 

 

加齢臭はなくても、ヘビースモーカーの人はタバコの臭いがあるし、入浴しない人は古い体臭と言うかゴミに近い臭いがある。あるいはタバコとゴミのごった煮のような臭気のこともある。しかし、それは加齢臭とは異なる。

 

精神科患者さんでも外来レベルの人は、臭いが酷すぎて消臭剤が必要な人は少ないとは言える。しかし酷い臭いのある人は毎回そうであり、外来患者である限り、その臭いが消えることなどない。こちらが入浴などの指導はできるが、それ以上、どうすることもできない。

 

近年は高齢化が進んだこともあり、小便や大便を漏らしたまま外来受診する人がいる。そのような人は紙オムツを使用するように言うが、鬱陶しいためか言うことを聴かない。あるいはその費用が勿体無いと思っているのかもしれない。

 

統合失調症で、入浴もせずズボンを大小便で汚したまま外来受診する人は、病院外で生活する限界地点に来ている。

 

入院患者さんの場合、半ば強制的に入浴させるため、ほぼ全員が入浴はしている。このほぼ全員という意味だが、頑として入浴しない人が稀にいることを言っている。

 

頑として入浴しない人を入浴させることはマンパワーが必要であり、毎回は入浴させられず、かろうじて1〜2週間に一度入浴させるくらいの人はいる。

 

このような人は全て男性かと言えば決してそうではなく、女性もそのように入浴を拒む人がいる。入浴を拒絶する人は男性も女性もない。少なくとも女性を入浴させることは、男性ほどはマンパワーは必要ない。

 

精神症状が悪く暴力的な男性患者さんを強制的に入浴させることは、職員の大怪我や死亡事故も視野に入るため、よほど差し迫らないとできないという事態も稀にある。

 

現代的な働き方改革の視点では、そこまで入浴しない人を、入浴させないで良いでしょう、の方が平和である。

 

この入院患者さんが入浴を嫌う根拠だが、統合失調症では頑固な妄想に由来することもある。例えば、「裸にして人身売買される」と思っているなどである。

 

しかしどちらかと言うと、入浴をここまで拒絶する理由がわからないことの方が多い。

 

入浴しない外来患者さんは、強制的に入浴をさせる方法などないので、凄い悪臭は改善することはない。

 

しかし、何かの原因で入院治療になった場合、服薬遵守させることでかなり入浴させやすくなる印象である。数えたことはないため、どのくらいのパーセントで改善するかはよくわからない。

 

服薬により、入浴にまつわる荒唐無稽の妄想が緩むことと、無為などの陰性症状の改善のため、入浴させやすくなるのでは?と思っている。

 

心神喪失による民事責任は原則として免除される

心神喪失と民事・刑事責任

 

過去ログのどこか忘れてしまったが、心神喪失の場合、刑事責任は免除されるが、民事責任は問われるような記載をしている。今回はそれは間違いなのでエントリとしてアップすることにした。以下の2つの記事も参照してほしい。これらの記事の中で記載していたと思ったら、この2つの記事の中にはなかった。

 

 

 

ただし心神喪失では民事責任は免除される原則だが、民事責任のみ生じる犯罪ではほとんど精神鑑定など行われないことは重要だと思う。つまりそのような犯罪では、心神喪失かどうかなど検証されない。

 

例えば世間を震撼させるような殺人事件があったとしよう。このレベルの大事件では、犯罪を起こした人に奇妙な言動などがあれば、弁護士が精神鑑定を行う手順を踏むことが多い。精神鑑定を行う精神科医は、普段は精神科医として精神科で働いている医師と、精神鑑定専門の医師に分かれる。精神鑑定専門の医師とは、普段は医療に携わらず大学教授などをしていることが多い。(精神科病院でアルバイトくらいはしているかもと思う)

 

このような大事件では、心神喪失の有無が決着するため、もし心神喪失ならば、刑事責任および民事責任を問われない。

 

問題は、もう少し些細な事件のケースである。精神疾患を持つ患者さんでは、昏迷状態と思われる病態で事件を起こし何らかの被害を与えることがある。

 

このような際、心神喪失かどうかなど検証されないため、その被害額を請求されて本人ないし家族が支払うケースと、被害者が損害額の請求を諦めて、何も患者さんが支払わないで決着することもある。

 

そもそも、その事件が明らかに心神喪失に由来しないと思われるケースでも、本人に支払い能力がないことも多くある。

 

事件内容によれば警察署で取り調べも行われるが、検事がこのような重いレベルの精神病患者を積極的に裁判まで持っていくことは稀で、結局、不起訴となり、本人にとっては無罪同然の結末になる。

 

これは検事が、本人のかかりつけの精神科医に意見書などを依頼し、検討した結末である。

 

このような際、保険会社が絡み、本人に被害額を請求するケースと、そうしないケースがあることは、ちょっと不思議である。つまり、一定した対応はしていないように見えるのである。

 

精神科医に、少しは意見を聴くなど相談してほしいと思うものだ。

 

なぜなら、時に、碌にお金を持っていない患者さんから、毎月いくらなど長期ローンのような支払いを負わせているからである。

 

 

 

 

 

CPAPとうつ、不眠の関係

 

 

CPAPの詳細は上のリンク記事を参照してほしい。今日は、うつと睡眠時無呼吸症候群と不眠の関係について。急に思いつき、iPad miniで書いているため詳細な記事ではない。

 

基本、うつ病と睡眠時無呼吸症候群はなにがしか関係があるように見える。僕が睡眠外来に紹介した患者さん3名のうち、CPAP適応と診断された患者さんは2名もいた。3名のうち1名はまだ若い20歳代の人でとても睡眠時無呼吸症候群とは思えなかったが、念の為、紹介した患者さんである。CPAP適応の患者さんはうつ病で、若い患者さんは診断もうつではなかった。

 

旧来の抗うつ剤、3環系ないし4環系抗うつ剤は肥満しやすい傾向があった。つまり、

 

うつ病発症。

  ↓

抗うつ剤投与(太りやすい)

  ↓

首周りも太くなる。

  ↓

人によれば体型的に気道が閉塞しやすくなる。

  ↓

OSA(Obstructive Sleep Apnea)

  ↓

CPAP開始。

  ↓

睡眠の質が上がる。

  ↓

間接的にうつ状態改善。

  ↓

抗うつ剤減量。

 

と言った流れである。ところが、今は旧来の抗うつ剤はあまり処方されず、主にSSRIおよびSNRIが主流である。それ以外ではトリンテリックスなどが挙げられるが、これらは薬理作用的にあまり肥満しない特性を持つ。一方、リフレックス(ミルタザピン)は旧来の抗うつ剤とあまり差がない。つまり、リフレックスはSSRIやSNRIなどの抗うつ剤よりは太りやすい。

 

うつ病は不安感やうつがヒトを消耗させる精神疾患なので、うつが改善すれば消費エネルギーが減少し、それだけで体重増加しやすい。トリンテリックスは、身体を動かせるようになる抗うつ剤なので、SSRIやSNRIよりその傾向が少ないかもしれないが、実際そうなのかは詳しくない。

 

ベンゾジアゼピン系の眠剤は筋弛緩作用があり、睡眠時無呼吸症候群には宜しくない。つまり病態を悪化させうる。そのようなことから、CPAP治療は、特にベンゾジアゼピン系眠剤を服用している人には効果が高いと言われている。

 

逆に睡眠時無呼吸症候群からうつ病が発症するパターンもある。これは、

 

OSAに伴う不眠。

  ↓

日中の眠さから来るQOL低下。

  ↓

認知機能などの低下傾向。

  ↓

うつ病発症。

 

これは書いていて眉唾物だと思う。むしろ、ナルコレプシー的になることによる学業や仕事での失敗体験の増加などから自己評価が低くなったりと、その要因でうつを来たす方が大きいような気もする。

 

CPAPをすると、初期は無呼吸の回数が減少するなどの好影響のため、実感として睡眠が良くなった感覚を持つ人も多い。しかし、多夢傾向(レム睡眠の増加)になる人は実感として睡眠が良くなったとは思わない。

 

一方、日中の眠さは減少するので、日中の生活の質の改善からCPAPの価値を評価する人もいる。

 

おそらく、単にうつ病で眠剤でよく眠れる人の方が、CPAP機器を利用する人より、眠る時の鬱陶しさを含め、睡眠の質の実感は良いのであろう。だからこそ、CPAPを開始しても多くの人がやめてしまうのだと思う。

 

うつ病そのものが、CPAP単体で劇的に良くなるわけではないと言うのももちろんある。