ヌーヴォーの功罪 その2
前回の記事で、『ヌーヴォーと普通のワインは違う』
『何より造り方からして違う』ということをお伝えしました。
今回はその辺の続きから。
ボージョレ・ヌーヴォー(以下ヌーヴォー)は「その年の
ブドウから造られた新酒」ですので、その性質上お酒造りに
費やせる期間がとても短くなってしまいます。
使われるブドウ種(ガメイ)の収穫時期は、年にもよりますが
8月下旬~9月上旬くらいです。それからワインを造って
11月の第3木曜日には日本で飲まれるわけです。
とはいえ、今年も11月3日にはヌーヴォーが日本に到着した
というニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091103-00000021-maip-soci
が来たりしていますので、実質的には収穫からたった2ヶ月
程度でワインを造って出荷しなければならないことになります。
従って、おのずと通常のワインよりも早く造れる手法を
採ることとなります。
この手法はMC(マセラシオン・カルボニック:炭酸ガス浸漬法)
と呼ばれるものです。自然発酵により発生する炭酸ガスを利用
するのか、人工的に炭酸ガスを注入してしまうのかといった
違いもあったりはするのですが、要は「炭酸ガスの力を借りて
ワインの色と旨味を短時間で抽出させる」という方法です。
結果として、色づきがよくて渋み(タンニン)の少ない
とてもフレッシュな味わいのワインができます。
これがヌーヴォーです。
対して、通常のワインはもっと時間をかけて熟成したりして
から出荷するものが多いです。また、ヌーヴォーに使われて
いるガメイという品種は、ワイン造りのブドウ品種としては
あまり高級な部類とみなされないことが多いです。
ガメイから造ったワインは明確な甘酸っぱさがあったりして
個人的には「駄菓子屋のアンズ菓子」「梅酢」
「まだ青いイチゴ」といったようなイメージがあります。
※それはそれで個人的には好きなんですけどね。
そういったことから、ワイン好きの人にはヌーヴォーを
敬遠してしまう人も少なくありません。
ですので、普段あまりワインを飲まない人がヌーヴォーを
飲んで「ワインってこんなものか」と思われてしまうのは
色んな意味で口惜しい、という想いがあります。
なので、個人的に願うことは
『「ボージョレ・ヌーヴォー」はイベントである』
と思って頂ければということ。
例えば、日本には「初物(はつもの)」という言葉があります
よね?「女房を質に入れても初鰹(カツオ)」なんて言い方も
あったりしますが、特に日本では「初物」つまり時期の最初に
出てくるものを好む傾向があると思います。個人的には
ヌーヴォーの盛り上がりが国際的に見ても日本で異常に高い
のは、この辺の国民性も絡んでいるのではないかと思ってます。
でも、考えてみたらその食材の時期、つまりは「旬」の初めに
出てきたものよりは、その「旬」の最高潮の時のものの方が
美味しいですよね?前述のカツオにしても、「初カツオ」より
丸々太って脂の乗った「戻りカツオ」の方が美味しい、という
声もあったりしますし。
ですので、日本で「初物」を楽しむのと同じような感覚で
ヌーヴォーもまずは楽しんで頂ければと思うのです。
その上で、この延長線上にこれから出てくるであろう
他のワインへの想いを馳せて頂けたりすればいいのかなあと。
続いてお伝えしたいのが、
「されど、ヌーヴォーといえど、良いものは良い」
ということです。
何か前述とは真逆のことを言っているようですが、
ヌーヴォーといえど、短期間で造ったものといえど、
ガメイという一般的には高級品種とは言い難いものを使って
いるとはいえど、良いものは良いんです!
ですので、「ヌーヴォー」という言葉だけで敬遠されている方
には、「ヌーヴォーにも失望しないで欲しい」と思います。
良いヌーヴォーというのも結局は造り手によったりするの
ですが、1つ区別する目安を。
ヌーヴォーの中には
「ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー」
(Beaujolais Villages Nouveau)
と名のついているものがあります。Village(ヴィラージュ)
とは「村」の意味ですが、より限定された区域から取れた
ブドウのみを使っているため、味わいが良い傾向があります。
ヌーヴォーを購入される際には、もしできれば
この「ヴィラージュ」という言葉のついているものを
買われた方が良いかと思います。
また、ヌーヴォーというと「その年限りのもの」という
イメージが強いと思いますが、良いヌーヴォーは翌年以降も
飲めるどころか、年を経たほうが熟成して美味しくなったり
するものもあるんです!
ヌーヴォーの大半はその年に消費されたりしてそれ以降は
あまり市場に出てこなかったりもするのですが、もしも
美味しいワインを出されている(=個人的に信頼度の高い)
ワインショップやレストランで過去のヌーヴォーが出ていたり
することがあれば、「え~、ヌーヴォーかあ」などと思わず
できれば是非一度味わってみて下さい。
そういったところが出す過去のヌーヴォーであれば、きっと
新酒の頃とは全く違った味わいを見せてくれるはずです。
それこそ、通常のワインとは異なり「最初はとても若々しい
(あるいはそうだったと思われる)ワインが、こんな味わい
になっているのか」という、人間の若者の成長にも似た
感覚を味わえることもあるかと思います。
いかがだったでしょうか?
前回と今回の記事は私のヌーヴォーに対する様々な
想いが混じっていてわかりにくかったかもしれませんので
改めてまとめますと、
・ヌーヴォーは「初物イベント」のつもりで楽しんで欲しい。
・かといって、美味しいヌーヴォーもあることは忘れないで。
・ヌーヴォーといえど、何年も熟成できるものもあります。
という感じでしょうか。
何よりまずは楽しんで頂きたい、という所でしょうかね。
私も、今年のヌーヴォー解禁日はお気に入りのバーで
カウントダウンしながらその瞬間=11月19日午前0時
を迎える予定です(笑)。
では皆様も「ボージョレ・ヌーヴォー」を
楽しまれることを祈って。
Sante! (サンテ:フランス語で乾杯の意味)
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ヌーヴォーの功罪 その1
今年もはや11月に突入し、残りあと2ヶ月弱となりました。
いやあ、早いですね~。
さて、ワイン関連で毎年11月に話題になるものと言えば
何でしょう?
・・・そう、
「ボージョレ・ヌーヴォー」
です。
その年に収穫されたブドウで造られたワイン、要は新酒ですね。
もう少し正確に言いますと、フランスのブルゴーニュ地方南部
にあるボージョレという地域でその年に収穫された
ガメイというブドウ品種を使った新酒です。
毎年11月の第3木曜日が解禁日と決まっており、今年は
11月19日(木)となります。
各コンビニでも結構大々的に販売されますし、ニュースでも
放映されたりしますので、普段ワインを飲まない人まで含めて
知られているという点ではほぼ唯一と言っていいくらいの
ワイン関連のイベントではないでしょうか。
ちなみに、上記では「ボージョレ・ヌーヴォー」とカタカナで
書きましたが、フランス語表記では以下のように書きます。
Beaujolais Nouveau
Nouveau = 英語のNew なので、「ボージョレの新酒」って
ことですね。
ワインのボトルにも↑こう書かれていますが、これを日本の
カタカナで表記する際には様々な書き方があります。
ちょっと実際にいくつかの例を調べてみました。
身近であちこちにあるということで各種コンビニチェーン
のサイトでの呼び名を集めると以下になります。
セブンイレブン :ボージョレ・ヌーヴォー
ローソン :ボジョレー・ヌーヴォー
ファミリーマート :ボジョレーヌーヴォー
サークルKサンクス:ボジョレー ヌーヴォー
それぞれビミョ~に違いますね(笑)。
私がよく利用する某ワインショップでは
ボージョレ・ヌーヴォー
としていたので、今回の記事でもそう呼ばせて頂きます。
主には「ヌーヴォー」と記述します。
※新酒じゃない、ボージョレのワインもあるので。
さて、記事のタイトルを「ヌーヴォーの功罪」としたからには
ヌーヴォーの良い所とそうでないところがある、ということ
なんですが、その辺について述べてみたいと思います。
まず、ヌーヴォーの良い所、というかヌーヴォーの功績だと
私が思っていることは、
「ワインという飲み物を世に広める機会になった」
ということです。
普段はワインを全く飲まないけれど、ヌーヴォーの解禁日の
時だけは飲む、という方は結構いらっしゃるんじゃないかと
思います。実際、私の知り合いにもそういう人は多いです。
日本人はイベント好きですからねえ(笑)。
実際問題として、普段よく行くコンビニとかで結構大々的に
セールを始めたものがあれば、「試しに買ってみるか」と
手が伸ばしやすくもあるでしょう。
TVのニュースや雑誌などで扱われたりするのもポイント
ですね。メディアの力は大きいです。
どういった形であれ、ワインがより多くの人に飲まれることに
なるというのは、世にワインを広めようとしてこんなメルマガ
を書いたりしている身としては嬉しいことです♪
じゃあ、逆にヌーヴォーの「罪」にあたる部分は何かというと
普段ワインを飲まないけどヌーヴォーは・・・という人達に、
「なんだ、ワインってこんなものか」
とか、
「ワインってあんまり美味しくないなあ」
とかいったイメージを与えてしまうことが少なからずある
ということです。
つまり、ワイン飲み人口の拡大に寄与しつつも、そこで
ワインに対して失望させてしまう、というある意味皮肉な
状況が、私の言うところの「ヌーヴォーの功罪」です。
この状況を個人的には非常に口惜しく思っています。
その理由は何点かあります。
まず、ヌーヴォーを飲んでワインに失望してしまった人に
わかって欲しいのは、
『ヌーヴォーと普通のワインは違う』
ということです。
何より、造り方からして違うのです。
次回はその辺から続きを述べてみたいと思います。
※尚、あらかじめお伝えしておきますと、私はヌーヴォーは
ヌーヴォーで好きです。
野中はヌーヴォー完全否定派なのか?と思われる方も
いらっしゃるかもしれないので念のため。
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邪道なグラスのチョイス?
ワイングラスの効用については、メルマガの方では以前に
述べたことがあります。きちんとワイン向けに作られたグラス
の効用としては、総じて「ワインがより美味しくなる」という
ことです。まあ、わざわざ専用に作っている以上、当たり前
と言えばそうなんですが。
私も、全く同じワインがグラスによって全然違う味わいになる
ことを経験した時から、「ワインはやっぱりいいワイングラス
で飲むのが一番だ」と長らく思ってきました。
ワイングラスの中でもピンからキリまであるのですが、
少なくとも、こう膨れてて大っきい感じでガラスも薄めの
「ワインをきちんと味わうために作られた」というようなもの
でないと、ワインを飲む気がおきませんでした。
具体的に言えば、居酒屋で出てくるようなガラスが分厚くて
小さな「なんちゃってワイングラス」のようなものでは
飲みもせずに
『ワインが美味しく飲めないのでパスパス!』
という感じ。
しかし、最近では『いついかなる場合でも、専用のワイングラス
の方が絶対ワインが美味しく飲める、ってわけでもないのかな』
と思うようになってきました。
そう思うきっかけになったのがこちら。
以前もちょっと紹介したことありますが、スペインの赤ワイン。
●メメント・オールド・ヴァイン[2006]
最初に飲んだのはワイン会。会場にあったグラスで飲んでみた
時には、充実したまろやかな果実感がじわじわあっと広がって
いくような感じでとても美味しかったので、
「こっちのグラスならもっと美味しくなりそう♪」
と、持参したマイグラス(最初に飲んだのよりも、まあいわゆる
『いいワイングラス』でした)で飲んでみました。
「・・・あれ?酸っぱい?」
そう、予想に反して妙に酸味が出てきてしまって、
最初に飲んだ時のようなまろやかな味のバランスが
無くなってしまったんです。
その時は他にも色々ワインを飲んでいたので、
「さすがに酔って味がわからなくなってきたかな?」
と思い、隣にいた方にもマイグラスで飲んでもらったところ
「酸っぱいね。これだったら私はちょっとダメかも。」
とのお言葉。ちなみにこの方は酸味のあるワインが苦手
という人だったんですが、会場にあったグラスで
同じワインを飲んだ時は、美味しい♪と仰ってたんですよ。
その後、さらに個人的にこのワインを買って、色々な器で
飲みながら試してみて確信しました。
『このワインは、きちんとしたワイングラスで飲むと
酸味が強くなってしまう』
と。
普通のワインは逆なんです。
ガラスの分厚い「なんちゃって」なグラスで飲むと
酸味が目立ってしまって、ワインのふくよかな果実感や香りが
感じにくくなってしまうことが多いんです。
結果として、「酸っぱくて渋い」味わいになってしまいます。
でもこのワインは逆でした。ガラスの分厚い小さなグラスや
おちょこ、陶器製のビール用コップなどで飲んだ方が
ふくよかで充実した、かといって重たくはない果実感が
よく味わえました。凝縮感があるのにも関わらず、結構スルッ
と入ってしまう感じでGOOD♪
※↓こういったので飲むほうが美味しかったです。
何種類かのタイプのワイングラスでも飲んでみましたが、
こちらはどれも酸味が目立ってしまって、ちょっと
味のバランス的にイマイチな感じ。
このワインが一般的なワインと逆の傾向を見せる理由は
正直わかりません。ボバルというスペインの品種が
主成分の一つになっているようなので、それが関係している
のかもしれません。
いずれにしても、この件を通じて私が思ったのは
『ワイングラスは
「ワインを入れたらとにかく美味しくなる」
というような万能の魔法の器ではない。
あくまで他の器と同様に飲み物の
ある特性を際立たせたり
引き出したりするだけだ。』
ということです。
その後は、例えばワインをワイングラスで飲んだ時に
「う~ん、これちょっと甘いなあ」と思ったら、普通の
グラスやコップで飲んだりしてます。甘みが少なくなって
酸味が目立つようになるので、ちょうどいい味のバランスに
なったりするんですよ♪
こういうワインの味わい方は邪道と言えばそうかもしれません。
少なくとも一般的なワイン飲みの方々はあまりしないことだと
思いますしね。
まあでも、何度も言っているようにワインはお酒で嗜好品
なんですから、美味しく飲めるのが一番だと思うんですよね。
当然、どんな味が好きかも個人の好み次第かと思うので、
皆さんも機会があれば是非色んな器でワインを飲んでみて
下さい。新たな世界(?)が開けるかもしれませんよ。
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