「ラーメン発見伝」をレビューするシリーズ、第3回になります。
第1期:イントロダクション(1巻・2巻)
第2期:芹沢への挑戦期(3巻~6巻)
第3期前半:芹沢対藤本の構図に変化(7巻~8巻)<今回>
芹沢の過去が明かされる「番外編」を所収
第3期後半:ラーメンマニアキングへ(7巻~10巻)
藤本がテレビ番組で「ラーメンマニアキング」へ。一方で芹沢から新たな課題を与えられる
第4期:芹沢との拮抗期(11巻~15巻)
芹沢との「大地」新作コンペでは互角の戦いを見せる。勤務先では上司が変わり、ラーメンテーマパークを企画へ
第5期:全国遠征期(16巻~20巻)
テーマパークとの関連で全国のご当地ラーメンを探訪し、その流れで地元の人たちと勝負。
第6期:芹沢との全面対決期(21巻~26巻)
芹沢率いるラーメンテーマパークとの全面対抗戦。そして夢だった独立開業へ
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ラーメン発見伝(7) (ビッグコミックス)
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「あの頃はオレも青かったな。うまいラーメンは誰にとってもうまいはずだなどと信じてたんだから…」
(7巻,p203)
特に7巻は、これまで完璧な先行者として描かれていた芹沢が、これまでにない一面を見せる事になる。
藤本が勤めるダイユウ商事が、「らあめん大河」を地下街に開店。ところがそこに、芹沢がプロデュースする「麺朱雀」が現れ、「大地」での協力関係とは一転、ここでは競合関係になる。客席と厨房の広さのアンバランスでつまづいた「大河」だったが立て直し、「朱雀」が香味油を使った7種類のラーメンを出して藤本たちをたじろがせるが、最後には「朱雀」オーナー猿田の暴走で終了する。(最後に芹沢が猿田を連れてリニューアルを予告するが、本編中でリニューアルは描かれず、猿田はその後、コンサルタントに転職している)
その時のドタバタでも、これまでの芹沢にはなかった面が見られるが、最大のポイントは番外編「スープが冷めた日」が収録されている事。これはスペリオールの「ビジネス増刊号」に掲載された作品で、藤本らは出演せず、芹沢が「清流房」を開業した1996年の出来事が掲載されている、いわば「エピソード・0」。ラーメン好きで清流房に通う信金マン斉木と、ラーメン屋の原価計算をやり取りした後、1巻で触れられた「油をぶちこんだ濃口らあめんが大ヒット」の経緯が描かれている。
芹沢の味を否定する言動をした客に、「二度と来るな」と思いながら出した、ラードを入れまくったラーメンがまさかの好評。それを基にした「濃口」の大ヒットで店は一気に持ち直したが、芹沢は鮎の煮干しが分からないスープに納得していない。そこに、清流房の味を理解しているはずの斉木が訪れたが、分かるはずのない「鮎煮干しの味」を大絶賛したので、芹沢は笑うより他なくなってしまう。ここで笑ったことが、芹沢を芹沢たらしめていると思う。その光景を5年経っても夢で見た芹沢が一人ごちたのが、冒頭の引用部。「ラーメンは味が全て」と思っていた当時を懐かしみながら、それではやっていけない。その思いを、藤本との勝負にぶつけているんだなぁと感じるわけです。
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ラーメン発見伝(8) (ビッグコミックス)
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7巻を語っていたら熱くなりすぎました(笑)。8巻ではネット炎上したラーメン店の話や、テレビ業界がラーメンをどう扱っているかといった、リアリティのある話も掲載。それはそれとして、テレビ業界にかぶれて業界人っぽくなった「はなわ亭」の片山店主は、この後どんどん「トレンドに流されて失敗する店主」という役を演じ続ける事になります(笑)
そして、芹沢は藤本と夏野菜ラーメンのコンペを行い、野菜のエスプーマを乗せただけのラーメンで藤本に完勝。7巻までの話を胸に入れていると、このセリフを述べている時の表情は、自らへ言い聞かせているようにも見えます。

第3期として10巻まで語ろうと思っていましたが、長くなりすぎました。9巻と10巻は次のエントリー「第3期後半」としてまとめます。

