1999年から2009年にかけて、隔週刊誌の「ビックコミックスペリオール」で連載され、単行本全26巻が発行された「ラーメン発見伝」。久部緑郎さん原作、河合単さん作画で、原案協力に石神秀幸さんが参加し、連載時は「メディア初登場」のラーメン店などを紹介する1ページをスペリオール誌内で持ち、単行本にもコラムを寄稿していました。
 

 全26巻、10年に亘る連載を一気に振り返ると長くなるので、以下の6期に分けて紹介したいと思います。この分類は、作者や関係者とは一切関係なく、自分で勝手に分けました(笑)。

第1期:イントロダクション(1巻・2巻)
 主なキャラクターが登場し、主人公周辺の様々な課題を解決していく
 

第2期:芹沢への挑戦期(3巻~6巻)
 主な舞台は、藤本が勤める商事会社が運営する自然派レストラン「大地」。


第3期:ラーメンマニアキングへ(7巻~10巻)
 藤本がテレビ番組で「ラーメンマニアキング」へ。一方で芹沢から新たな課題を与えられる
 

第4期:芹沢との拮抗期(11巻~15巻)
 芹沢との「大地」新作コンペでは互角の戦いを見せる。勤務先では上司が変わり、ラーメンテーマパークを企画へ
 

第5期:全国遠征期(16巻~20巻)
 テーマパークとの関連で全国のご当地ラーメンを探訪し、その流れで地元の人たちと勝負。
 

第6期:芹沢との全面対決期(21巻~26巻)

 芹沢率いるラーメンテーマパークとの全面対抗戦。そして夢だった独立開業へ

 

「確かにオマエは巧みに"上手いラーメン"を作ることはできる。たがプロは真に"旨いラーメン"を作るんだ」
(第2巻,p83)

 今回は第1期ということで、1巻と2巻についてまとめます。主人公の藤本浩平は、「ダイユウ商事」の営業一課に勤めるグータラ社員でありながら、夜は屋台を引いてラーメン修業しているという秘密を持っている。その秘密を知るラーメン好き佐倉祥子や、上司でよき理解者でもある四谷課長らと共に仕事をしながら、様々な人とラーメンについての知見を深めていくというのがこの2巻のあらすじになります。


 「グータラ社員と若手女子社員」という組み合わせから、グルメ漫画で一番影響を与えた「美味しんぼ」を想像した人も多いかと思います。直属の上司にあたる辻井係長も、美味しんぼの「富井副部長」を思わせる。四谷課長は就任早々に自然派レストランのプロジェクトを立ち上げ、藤本たちが社内外の様々な課題に応えていくのも、「美味しんぼ」っぽさを感じます。


 その一方で、本編を通して描かれるキャラクターが順次登場していきます。中でも重要なのが、「らぁめん清流房」店主として登場する芹沢達也。理想に燃える藤本の前に幾度となく立ちはだかり、ラーメン界の本音を語っていく。自身の店に並ぶ客を評して「ヤツらはラーメンを食っているんじゃない。情報を食っているんだ」と語っていて、ネットでもこのセリフがよく引用されています。

 

 とはいえ、最初の芹沢は藤本にアドバイスをする為に勝負を仕掛けていて、2巻の「塩ラーメン勝負」では冒頭のコメントを残していきます。まだまだ藤本をひよっ子扱いしていたのでしょう。この頃の藤本は27歳、芹沢は42歳という設定ですし、行列店店主としての芹沢の動きに余裕が見られます。


 連載時期は1999年から2000年の頃。ネットでは掲示板でのラーメン情報の交換が盛んにされていた時期で、コレクターのようにラーメンを食べ歩くフリークへの警鐘を鳴らした回もありました。今の時代からみると荒唐無稽に描いているように思われるかもしれません。確かに大げさな所はあると思いますが、当時を知っている身には、それに近いような話はあったと記憶してるんですよ(笑)。