【追記】
動画が来ました!
牛田くん、二次予選の本当に素晴らしい演奏をありがとうございました!本当にお疲れ様でした!
今日の演奏で一番難しいところはなんでしたか?第18回ショパン国際ピアノコンクールの2次予選の演奏後に牛田智大さんに伺いました。#ショパンコン2020 @TomoharuUshida pic.twitter.com/ADtgP7ivoX
— Chopin Institute (@ChopinInstitute) October 10, 2021
一次予選と二次予選のそれぞれのドラマ、堪能させていただきました!
一次も二次もそうなんですが、牛田くんの演奏を聴き終わると、ひとつの壮大な物語を見終わったような充足感に満たされますね。
19:30ピッタリには始まらないんだろうな、とは思っていましたが、19:30というのは現地時間のお昼なんですね(;^_^A ちょっと遅れ気味のスケジュール。
バックステージで控えている牛田くんに寄るカメラ(;^_^A ニコニコ笑顔でカメラさんに手を振ってくれる牛田くん。本番控えてあれはなかなかできないですよね!?待っている私の方が緊張していて、牛田くんの笑顔でホッとしましたけど・・・。
演奏の順番は、①バラード第4番→②ワルツ第5番→③舟歌→④ポロネーズ第6番の順番ですよ、と昨日お知らせしていたのですが、ちょっと間違っていたようで、①ワルツ→バラード→舟歌→ポロネーズという順番でしたね!
ではここから、牛田くんの二次予選の演奏について、私の個人的な感想を・・・↓
① ワルツ第5番
ショパンのワルツの中では優雅で華麗な、しかし、とても難しいワルツ。
冒頭の長いトリルの音はパステルカラーのように明るく柔らかくて、これから始まる物語に対する期待が高まります。
軽やかで、弾むようなリズムに優雅なメロディーがきちんと耳に残り、心躍るような気持ちにさせてくれる演奏でした。
テンポの緩急、音の緩急が素晴らしく、惹き込まれますね~
ピアノをすごく歌わせているな、と感じました。
最後の華やかなコーダはどんどん盛り上がっていっても、音が汚くならないんですよね。音の粒がそろっていて、力強いのに優雅さは失われず、最後まで気品を感じさせるワルツに聞こえました!
難しいテクニックが詰まっているにもかかわらず、ガンバッテマス感を全く感じさせない。最後まで聴衆に夢を見させてくれるようなワルツでした。
最後、終わり方、いいですねぇ~。盛り上がりに盛り上がって・・・最後にそっと、音を置いて終わる。「気品」を感じさせます。
ショパンが夢見た理想の明るい世界・・・なんだろう、牛田くんの演奏を聴いていると、優雅な明るさの向こうに、「切なさ」が感じられ、キュンとなりました。
② バラード第4番
ショパンのバラードの中でも、私が最も好きな曲です。
1曲目のワルツの最後、コーダで盛り上がって盛り上がって・・・最後にそっと音を置いて終わる。その余韻を引きずらせた空気間の中で、冒頭、とん、とん、とん・・・とやわらかく澄んだ光が遠くから差し込んで広がってくるように、牛田くんが音を鍵盤の上に置いていきます。
牛田くんは音に光と影をつけるようにピアノを歌わせるんですよね。牛田くんの世界に惹き込まれる冒頭です。ワルツの余韻の中で始まるようなこの演奏順はいいなと思いました。
とん、とん、とん・・・が、本当に澄んで抒情的な響き。静かに惹き込まれます。
そして始まる右手の歌に左手の和音がきちんとそろって静かに寄り添うあたり、すごく簡単に弾いているように見えますが、この右手と左手のそろった和音の絶妙なバランス感覚が素敵です。ものすごく繊細に弾きこなしていますよね!
そして盛り上がりとともに段々複雑になっていく各声部、音符も和音もいっぱいですがきちんと整っていて、「語り」はしっかり聞こえてくる。
この曲は長くて、盛り上がったり盛り下がったり、和音も装飾音も続いて、我を忘れると支離滅裂になりそうですが、牛田くんは本当に曲にメリハリをつけながら、テンポのコントロールも絶妙なので、長くても聴いている人を飽きさせないですよね。
そして華麗なコーダ。とても情熱的な演奏なのに冷静。牛田くんの演奏全般にそう感じますが、曲の緩急が絶妙で、聴衆の呼吸を自分の呼吸に吸い込んで同調させてしまうようなところがありますよね。
それができるのもきっと、音の強弱、テンポの緩急、コントロール力が凄いのだろうと思います・・・。
”4番のバラードとの関連を持つといわれる「3人のブドゥリス」は前述の3つの作品(注:1-3番のバラード)とは大きく異なる、より深い意味を持つ作品です。この作品における「人生においてもっとも重要なのは財や名誉を得ることではなく、愛をもって生きることだ」という哲学はポーランドの国民性にも通じるものがあり、ショパンが主な仕事場であった華やかな社交界に対して感じていた違和感がこの作品に引き寄せられるきっかけになったのかもしれません”(牛田くんのツィート)
牛田くんのバラード第4番を聴いていたら、理想を追い求める情熱の激しさ、切なさ、希望、落胆・・・揺れ動く生身のショパンの感情と、牛田くん自身が、理想のピアノを追い求めて歩んできた道のりが重なって、胸にズンと来ました・・・。牛田くん、ショパンに励まされてここまで来たんだろうな・・・。
③ 舟歌
バラードからほぼ間を置かずに舟歌が始まりました。う~む、牛田くん、今日の四曲をやはり「起・承・転・結」のドラマ仕立てで考えてきたのかな。
「起」は優雅なワルツで始まり、最後、盛り上がって盛り上がって・・・そっと音を置いて終わり、「承」はそれを受けて、とん、とん、とん、と遠くから光が差し込むように始まり、「転」の舟歌は曲調ががらっとかわってまさに「転」ですよね。ほぼ間を置かずに始まったので、「!」という感じでまさに「転」。その「間」さえも、ますます牛田ワールドに惹き込まれる瞬間に・・・。
左手のリズムが、牛田くんが漕ぐヴェニスのゴンドラに乗せられて、気持ちよく揺られているような感覚にさせられます。
この曲、舟歌もドラマチックな物語として聞かせてくれました。
確か、牛田くんは舟歌が子守歌だったとか語ってくれていましたよね。「温かく穏やかな人生への憧れが込められたop.60」と牛田くんもツィートしてくれていましたが、この曲、長調なのにどこか物悲しい。【憧れ】ってどこか切なく、甘酸っぱく、物悲しいです・・・。
「温かく穏やかな人生への憧れ」。幼い頃、優しい家族に囲まれて過ごしていた、ちょっといたずらっ子だったショパン。ものまねや似顔絵を描くのも得意だったといいます。そんな少年がやがて激動の運命に翻弄されていく訳ですが・・・。
牛田くんの舟歌を聴いていると、ショパンの純粋な気持ち、ショパンが胸に抱いた憧れ、といったものに、近づいていくような感覚がしました。
ジョルジュ・サンドと破局し、体調も悪化していく中で作られたという舟歌です。ショパンの切ない回想、懐かしい思い出、狂おしく求めてやまない憧憬・・・
そうした一つひとつの心の情景が、波間に浮かんではキラキラと散っていくようなイメージ。牛田くんのトリルを聴いていると、そうした情景が目の前に浮かんで見えるようでした
静かに始まるゴンドラのリズムが盛り上がっていくと、その波がやがて、理想と現実に揺れ動くショパンの心の動き、心の波のように感じられますね。胸が締めつけられました。
本当にここでも、緩急が効いて、音の表情が非常に豊か。曲全体のコントロール、バランスが素晴らしくて、いったいどれほど努力してきたのかなと思わされました。
④ ポロネーズ第6番
「結」ですね。牛田くんのツィートには「祖国への誇りを描いたop.53」とありました。
「英雄ポロネーズ」という愛称で愛されてきたこのショパンの名曲は、ショパンのポロネーズの中でも一番好き!という方も多いかもしれませんね!名曲中の名曲ゆえに、たくさんのピアニストの演奏を聴く機会も多いと思います。
大曲を続けて弾いた後にこの大曲ですから、結構しんどいところなのでは?と思いましたが、牛田くんのピアノは何のその。最後まで、気品あふれる素晴らしい演奏でした。
牛田くん、あの細い体でどうしてあんな迫力のある音が出るのでしょう???めっちゃくちゃ体力の要る曲ですよね。
私も実は昔、この憧れの曲に挑戦したことがあったのですが、中間部、左手の連続弾丸オクターブで挫折しました(;^_^A
手が小さかったり、体力のない女性にはかなりキツイ曲です。ゆえに、きっとここはピアニストにとっては技術の見せ場でもあると思いますが、高速でぶっ飛ばしてカッコよく技を見せつけるような演奏は私はあまり好きではなくて、でも、牛田くんはしっかり弾いていましたね。
きっと1つひとつの音に意味がある、という哲学が、ぶっ飛ばして技術を見せつける感じにならないのだろうと思います。しっかり、聴かせてくれました。
情熱的で、誇り高く、繊細さを併せ持った力強い演奏だったと思います。
牛田くんの演奏を聴いていて、また結弦くんのスケートを思い出して、ふと、岡本太郎さんの企画展に書かれていた言葉を思い出しました。
”天才は両性具有だという。
岡本太郎の常に挑戦するダイナミックな精神は、まさに男であり、「装える戦士」だったが、その内実にはデリケートで優しい、傷つきやすい、柔い心があった。無垢な少女のような、と言いたいくらい。
そのアンビヴァレンツから、さまざまな愛の変相が生れている。ときに激しく挑み、みつめあい、心をひらき、とけあう。
そのすべてが岡本太郎であることに、おののきを覚える”
結弦くんとショパンの相性は、抜群です。
牛田くんとショパンの相性も、抜群です。
”天才は両性具有だという”
まさに、これだ、と思い当たりました。両性具有とか、今の時代、あまり使ってはいけない言葉なのかなとも思いますが、他に思い当たらなくて・・・。要するに、性別を超えてしまった幅の広さ、感情の広がり、表現の豊かさ、ということを言いたいのです。ショパンの音楽って、まさにそういうところがある、そんな気がします。そういえば岡本太郎さんもショパンをピアノで弾いていらしたんですよね。
ショパンの楽曲と、結弦くんのスケートと牛田くんのピアノは、(ちょっと今の時代、あまり男性的、女性的という言葉は使うのは適切ではないかもしれませんが・・・)男性的な力強さや激しさ、情熱、女性的な繊細さ、優しさ、切なさ・・・といった両方の・・・とても豊かな感情の幅と広がりがあるんですね。
これは勉強して得られるものというよりは、持って生まれた資質と言った方がよいのかもしれません。牛田くんはその豊かな感情を、確かな技術でバランスよくコントロールし、その上で曲の中に入り込んで、よく集中して弾いているなと思いました。
感情が豊かな人は、それをコントロールするのがまず、大変・・・。独りよがりに自分の世界に入り込んでしまえば支離滅裂になりやすく、自分に酔っているだけの表現になってしまいます。それをどうコントロールして、本番で自分の世界に入り込めるか。
去年の全日本の結弦くんはまさに、完全に自分のエネルギーをコントロールした上で、自分の世界に入り込み、完璧だったと思います。結弦くんと牛田くんを見ていて思いますが、努力する天才には敵わないなと。本当に頼もしいですね!
また後で個別の動画を公式様がアップしてくださると思いますが、とりあえず聞き逃しちゃってすぐ聞きたいという方は、2:36:26あたりから始まります↓。個別動画がアップされたら、また御紹介しますね!
0時からまた二次予選の続きが始まっています↓
本当に減りましたね!
医療関係者の皆様、今日も一日ありがとうございました。
結弦くん、牛田くん、良い練習がまた積めますように。
牛田くんのショパンコンクール二次予選通過を心から祈っています。
明日も皆様にとって良い一日となりますように。
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