読了。
2025年本屋大賞第5位の作品。
青山美智子氏の作品は、2021年本屋大賞2位「お探し物は図書室まで」、2023年本屋大賞5位「月の立つ林で」、2024年本屋大賞7位「リカバリー・カバヒコ」と読んでおり、どの作品も物語がそれぞれゆるく繋がっている連作短編集である。本作品も同じようなスタイル。
まだ2022年2位の「赤と青のエスキース」は読んでいないが、青山美智子氏の作品は毎年本屋大賞にノミネートされているようだ。
人魚が逃げた (著)青山美智子
SNSで「人魚が逃げた」という言葉がトレンド入りした。
歩行者天国の銀座で、おとぎ話の王子様のような扮装をした男性が人魚姫を探しているという。
その時、銀座を訪れていた5人の男女の物語である。
第1章「恋は愚か」は、12歳年上の女性と交際中の元タレントの24歳の会社員が主人公。
忽然と銀座に現れた「王子様」。そして、元タレントの24歳の男性会社員があれこれ恋愛に悩む…うーん、これは所謂「若い人」の読む物語なのかな…と読み進めて第5章を読み、「エピローグ」にビックリ。
本書に「最後までわからないものですよ、物語というものはね」(太字部分は本書からの引用)とあったが、その通り。小説は途中で止めず最後まで読まなくては、と思った。
さすが本屋大賞ノミネート作品である。楽しめた。
いくつか覚えておきたい言葉があった。メモ。
第2章「街は豊か」の主人公は50代主婦。
大学の「準ミス」に選ばれた経験もあり、夫は商社マン。
私からするとキラキラしている感じだが、結婚後、家事、育児に専念し、その娘がニューヨークで就職することになり、育児は終わり。それでは、その後、何をしよう…と考えた時に、
「人が見ていないときに、やってしまうこと。それが本当にやりたいこと」を悟る。
…私が「人が見ていないときに、やってしまうこと」は何だろう。昼寝?ゴロゴロしながら読書することか?
第4章「夢は静か」の主人公は文学賞の選考結果を待つ作家。
この人は、思いついたこと、気になったことなどをメモ帳に記録する。
「本屋やラーメン屋の女店主を「おふくろ」とは呼ばない。男店主は「おやじ」で通るのはなぜだ。父親でもないのに」
「逃」という文字も気になったようだ。「逃げる」は自分なりの解釈で納得したが、「兆」の語源が気になったようだ。「兆は、亀の甲羅を焼いたときにできる形というような説が多かった(中略)そんなもん、誰がどう決めたのだろう」。
なるほどねえ、作家になるような人は、気になる点がこんな感じなのかなあ…。
主人公が選考結果を待った喫茶店「カフェーパウリスタ」。ここは芥川龍之介など文豪が愛した喫茶店とのこと。
1階はレトロ調で、2階は少しカジュアルで、主人公は2階が好きだそう。コーヒーが美味しいが、ケーキも絶品とのことで、ある人物に「チョコレートがお嫌いでなければ、オペラがお勧めですよ。コーヒーにも合います」と話している。
うわっ、行ってみたい。
そして、主人公は家族から「木挽町よしや」のどらやきをお土産に買ってくるよう頼まれる。
「木挽町」といえば、永井紗耶子氏の直木賞受賞作品「木挽町のあだ討ち」を連想。あの、「木挽町」?!
「木挽町よしや」を検索すると、おお。東銀座にある老舗の和菓子屋さんで、どらやきは折りたたまれた半月型。予約したほうが良い感じ。
読書していると、物語にリアルなお店が登場する時がある。
そうすると行きたくなるものである。
2017年に「東京會舘とわたし 上 旧館」、「東京會舘とわたし 下 新館」を読み、当時、東京會舘は建て替え中だったため、2019年の新装オープン時に予約を試みたが、かなりの激戦で、訪れたいと思いつつ、そのままに…。
ふと思い出して調べてみると、有楽町の交通会館にある「東京會舘 銀座スカイラウンジ」のランチに"東京會舘とわたし"コースなるものを発見!ということで訪れた。
アミューズ
鱧をフレンチでいただくとは…。
東京會舘伝統のダブルコンソメスープ
びっくりするくらい美味しい。
こんな美味しいコンソメスープは何年ぶりだろうと思ったくらい。
舌平目の洋酒蒸 ボンファム
窓の外はこんな感じ。遠くに皇居の緑が見え、すぐ下にJR線有楽町駅が見える。
視線を動かすと東京駅も見え、鉄道ファンも楽しめると思う。
ミニマロンシャンテリー
ミニサイズの「マロンシャンテリー」
こっちの写真だと小ぶりな感じが良く分かるかも。
「東京會舘とわたし 上 旧館」には「栗と生クリームといういたってシンプルな素材(中略)栗のクリームは、丁寧な二度の裏ごしをした後に、あえて粗い目の裏ごし器を使って空気を含ませる」と書かれていた。
最後に、粗い目の裏ごし器が使われていることが大変良く分かった。感動。






