北朝鮮は今年3月末に韓国軍哨戒艦を潜水艦で撃沈していて、このブログでもそのことはとりあげた(→リンク)。
そこで私は、金正日はすでに軍を統制できなくなっており、軍が暴走して哨戒艦攻撃をしたのではないかと述べた。今もその考えは変わっていない。
金正日が元気なときは「金政権>軍」の関係だったが、「金政権=軍」と拮抗したときに起こされたのが3月の潜水艦からの攻撃である。
それでどうなったかというと、力関係が逆転し「金政権<軍」になり、政治的な命令系統が軍主導になった。それを示すのが今回の砲撃だというのが、私の考えである。軍は金正日が入院しているあいだに影響力を大幅に拡大し、すでに金正日は軍の言うことを聞かざるをえない状態にあるのではないだろうか。
今回の砲撃は用意されたものである。というのは、米韓軍事演習に抗議すると同時に、北朝鮮がすでに高い核技術を持っていることをアメリカにほのめかせた上での砲撃だったからである。
先に「反撃すると北朝鮮が核攻撃してくるかもしれない」という恐怖を植えつけた上で砲撃すれば、心理的に反撃しにくくなるからだ。「ほかの国ならともかく、北朝鮮なら核を使うことがありうる」と認識されているのだから、なおさらのことだ。
北朝鮮はすでに国家の体をなしていない。経済制裁によって国内は疲弊しきっており、頼みの農業すらまともに成り立っていない。
では、なぜ人民軍はこの時期に攻撃を仕掛けてきたのか。おそらく「背に腹は代えられない」というのが近いだろう。
朝鮮半島は米韓主導で統一に向けて着々と進行している。このままいけば朝鮮半島が統一させるのは時間の問題である(と言っても相当かかるだろうが)。
しかし、軍はそれでは困るのである。北朝鮮があってこそ、自分たちの存在意義があるのであり、統一されれば当然、旧韓国軍の下に組み入れられ、現在の幹部はほとんどが粛正されるのは火を見るよりも明らかだ。
そこで、軍は3月の潜水艦攻撃で国内政治の主導権を握り、次に今回の砲撃で後継者である金正恩を傀儡化することをねらう。
ポイントはもちろん中国。よれよれの北朝鮮がいまだに国家として存続しているのは、中国が後ろ盾になっているからにほからならない。
なぜ中国が北朝鮮を保護しているのか?それはアメリカ側へのクッションの役目である。ごく乱暴に言うと、自分以上の嫌われ者を作ることで、自分たちが嫌われにくくしている。もちろん「後ろ盾」なのだから、北朝鮮は中国の意に沿わないことをやれない。
ただ、中国は表だって北朝鮮を援助できない。もしあからさまに軍事援助などされれば、「テロ国家支援」である。「中国・北朝鮮」とひとくくりにされると、中国は一挙に孤立化する。だから、ひたすらリップサービスによる政治的な保護のみで、表だって援助はできない状態にある。
そうやって考えていくと、今回の北朝鮮の砲撃は、アメリカに向けられたものではなく、むしろ中国をより意識しているのではないかという考えが出てくる。
続きます。
