GDPが日本を抜いて世界第2位になる中国は、これからは日本を経済的に支え、日本から支えられる存在でもありるので、対日外交重視の姿勢を見せました。
しかし、先頃の尖閣諸島沖での漁船衝突で、この関係はもろくも崩れてしまいました。
漁船衝突は仕組まれたものなのでしょうか、偶然なのでしょうか。
経過を見ていると、全くの偶然というのは考えにくいように感じます。では国家ぐるみで仕掛けたものなのでしょうか。
私たちには中国は一見すると一枚岩に見えますが、中では激しい権力闘争が行われていることは想像に難くありません。とくに政府と軍部の関係はいつの時代も危ういものです。
これと似たようなことが、今年の3月に起こったことにお気づきでしょうか。
この3月27日に、北朝鮮の潜水艦が韓国の哨戒艦を魚雷で撃沈するという大事件が起こりました。
沈没の当初は原因がよくわかりませんでしたが、どうやら北朝鮮のしかけたものらしいことがはっきりしました。北朝鮮は激しい国際的な非難を受けます。逆に、北朝鮮は対韓全面戦争になることも辞さないと激しい口調で非難し返しました。
また、誰もが北朝鮮自身を窮地におとすようなこの行動に首をかしげます。新聞などは金正日が軍事力の誇示と三男への継承のために軍の士気を高めるためだろうと報道しました。
そんな折、5月3日に金正日は病み上がりの体調で中国を訪問します。前の訪問は2006年1月ですから、4年4ヶ月ぶりの訪問です。報道では三男の権力継承の許可と資金援助を申し入れたのではないかというものでした。
そのあと、国連安保理で北朝鮮への非難決議が話し合われます。アメリカは厳しい批判を目指しますが、中国の拒否権によって、なんと北朝鮮を名指ししない非難決議で合意しました。非難はしているけれど、誰を批判しているかわからないという骨抜き状態です。
この動きをよく見てください。
魚雷発射→金正日が訪中→中国が北朝鮮を保護
もし魚雷発射が金正日の命令であれば、病気を押して中国に行く必要などあるでしょうか。
もし魚雷発射が金日成の命令なら、中国への説明はその前になされるべきでしょう。自国の近海でそんな暴挙をなされたら、本来なら中国は怒ってアメリカと一緒に北朝鮮を非難して当たり前です。
ところが中国は、当初は反応がなく(おそらくびっくりしたのでしょう)、金正日の訪中のあとは一貫して北朝鮮を擁護しています。
そこで、こう考えればすっきりします。
北朝鮮の軍部が暴走して韓国掃海艇を沈めたと考えたらどうでしょう。つまり、金正日はもはや軍部をコントロールできておらず、軍部が勝手に動いても、その制裁すらできない状態にあるということです。
すると、金正日が慌てて訪中した理由もわかります。自分と三男を庇護してもらうためです。金正日がそれを中国側に説明したとすれば、中国が一貫して北朝鮮を擁護した理由もわかります。
まだ三男への権力継承のお膳立てが終わっておらず、みずから体調がすぐれなくても、それを押して、元気をアピールしなければならないとしたら、軍部の暴走を抑えるためというのがもっともわかりやすい説明です。
いま世界が北朝鮮を叩いて金政権を弱体化させれば、軍部が暴走する可能性があります。そうなれば、北朝鮮は内乱状態です。
一連の報道を見たとき、私にはそのように説明したほうがわかりやすいと思えます。報道では「北朝鮮は一枚岩」という前提で見ているので、それに合わせたいろんな説が入り乱れますが、逆に「一枚岩ではない」と考えれば存外すっきりします。
もしかしたら、今回の尖閣諸島での漁船衝突のあとの反日運動や、中国の日本に対する理不尽な非難もこれと似た部分があるのではないでしょうか。
続きます。
