彼女は毎月かかさず
メッセージ・トランスレーション
とリンパ整体を受ける為、うちの
サロンに訪れていたのだが
先月は色んな事があって、来ること
が出来なかったと詫びた。
「謝る事なんて無いよ。気にしないでね。」
彼女に笑顔でそう声を掛けて
僕はこう思った。
「約束を守る」という彼女なりの
律儀で強い思いと、親御さんから
受け継いだ「躾」という愛情から
くるものだと…
僕がこの二ヶ月間にあった色々な
バカ話をして、彼女の笑顔が少し
戻り始めた後…
彼女がぽつりぽつり話し始めた。
学生時代に付き合っていた彼が
自殺したこと。
その彼が、自分に対して沢山の思いを
遺していたこと。
自分もまた彼を亡くして初めて
感じた「彼に対する思い」を自覚して
胸にぽっかり空いた何かがあること。
その後すぐに、職場である専門学校の
生徒が自殺したこと。
溢れる様な思いのたけを彼女は「言葉」
と…そして、無自覚に「念」に換えて
僕に伝えようとしていた。
彼女の飛ばす「思い」が
ストレートに僕の中に入ってきた。
彼女は脳で考えた「言葉」ではなく
「魂」で語りかけていたからだろう。
その時々に彼女を通して
会った事も無い元彼の「嬉しい」
という気持ちが入ってきた。
しかし、それがひとつの問題を
引き起こしているのも否めなかった。
それは元彼の思いに波長があった彼女が
「この世ではない世界」に心とカラダが
ひっぱられているという事だった。
それを彼女も自覚して、理解をしていた
のは彼女自身の霊力が上がっているから
であると…僕は分析していた。
ただ、それはそばにいる
背の高い男の影が、元彼ではないことは
はっきりしている。
なぜなら…その影から感じるのは
深い愛情ではなく「後悔」や「依存」
のようなものだったからだった。
「ちなみに、今日憑いてきてるのは
恐らく自殺した生徒さんの方だよ」
と彼女に告げた。
彼女がさほど驚かなかったのはきっと
それを感じ取っていたからだろう。
まずは過去に遡り
順序立てて彼女に説明を始めなければ
ならなかった。
なぜ十数年前
彼女は彼と東京に「行かなかった」のか
いや、正確には
なぜ「行ってはいけない」と
彼女自身が思ったのか…を
つづく
