連絡を受け、彼女が駆け付けた学校の
職員室では数名の教師達がその対応に
追われていた。
生徒の死因は
密閉した車中で練炭を焼き発生した
一酸化炭素による中毒死。
車中には他校の友人と二人
内側からガムテープで目減りされており
警察は状況的に練炭自殺と断定。
今は検視解剖の結果を待っていた。
自殺した彼はその日
母親に夕食は自宅でとるので早目に
帰宅すると告げて家を後にし
友人宅に向かっているところからみて
恐らく計画的ではなく、その友人の
自殺願望に対し衝動的に応じたもの
だったと推測された。
彼女とその自殺した生徒とは直接の
関わりはなかったのだが、学園では
マドンナ的な存在の彼女の事を
少なからず彼も意識はしていた
かも知れなかった。
自らが意識する以上に彼女には
人を惹きつける「不思議な魅力」
が備わっていた。
その証拠に、生徒達が
勉強や進路、恋の悩みなどを彼女に
相談しに来ない日はないくらい。
そのどの悩みの投げかけに対しても
彼女は全て誠実に、そして熱心に
彼等の相談に乗っていたのだ。
自殺した彼が人生の相談に来た事は
なかったそうだが、生前、彼女の元
へきっと相談しに行きたかった様に
僕は感じていた。
とにかく
彼女にとってはこの二週間の内に
周囲で二人の自殺者が出た事に
少なからず何かを感じていた。
そして、ふと彼女の脳裏に
宮にぃさんの事が浮かんだそうだ。
会いに行かなくては…と。
数日後…
サロンの玄関のチャイムが鳴り
僕は扉を開けた。
沈んだ気持ちで精一杯微笑んだ
彼女の後ろに…
少し背の高い男性の様な影を感じた。
ただその時、彼女には何も
言わないでおいた。
何故なら、彼女の影もまた…
その輪郭をはっきりとは
させていなかったからである。
僕は普段通りの笑顔で…
二人を招き入れた。
つづく
