虹になった涙【第3話】 | 【大阪・梅田】ねこ店主のひとりごと

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ねこ店主のおばかさんでちょっと不思議なひとりごと。

 

その荷物の差出人は
学生時代の彼女と彼のことを

良く知る旧友で、彼のバンドの

メンバーでもあった。


届いたそのCD-Rには
小さな手紙が添えられていた。







手紙に書かれていたその内容は








彼女と別れてから、彼が立ち直る

までのことや、決して彼女を恨んで

なんていなかったこと。

持ち続けた彼女への感謝の気持ち。


彼が死に至るまで、友人として
彼の

ことを判ってあげていたつもりが…

本当は理解してあげられてなかった

ことへの後悔の念。


そして彼の死後、バンドのメンバー

さえ知らなかった彼が遺した「音源」
があったこと。

 

そして…


そこに込められた彼女への想い。


今は幸せに暮らしているであろう

彼女にこの音源を渡すことに対する

友人としての躊躇。


ただ、この音源に込めた彼の想いを

思う時、最期にしてあげられるのは
この「音源」を彼女に渡すことでは

ないのかと悩んだ結果、このCDーR

を送ることに至ったという経緯。




旧友なりの友人として出来る事を
悩んで決断した思いが…

そこには散りばめられていた。













彼女は、あれからずっと彼の傍に
素晴らしい友人がいてくれた事に


胸がいっぱいになった。













そっと、CDをデッキに入れて
再生ボタンを押し、ヘッドフォン
を

少しだけ震える両手で押えた。



苦しい胸をおさえる様に…












クセのあるコード展開を
柔らかい鍵盤のハーモニーが
これ以上なく淋しさを表現していた。






懐かしい彼の歌声。


その旋律と恋文の様な歌詞が
彼女を10数年前に引き戻す。












彼はその「音源」の中で
あの頃のままの思いで




彼女に「恋」をしていたのだ。








まだ若く、夢しかなかった頃

彼女の瞳の奥に佇んでいた「悲しみ」

を理解してあげられなかった自分の

幼さを責め、大人になった今でも

あの頃のまま愛し続けることでしか
彼女の気持ちに報いることが出来ない

という辛さ

永い時がこの思いをいつか…風化させる

のかどうかさえ見えない人生を、ただ

生きているというこの現実

自分の命が尽きるまでの十字架なのだと
背負う事で自分であり続けた戒め










彼女は言葉もなく…

 


ただ、泣き明かした。



溢れる涙が枯れ果てても

心は泣き続けていた。

 

















彼はこんなにも私のことを深く
愛していてくれていたのか…


愛し続けていてくれたのかという

驚きと

自分の中にあった確かな彼への思い。




そして

 

もう二度と彼の笑顔に触れられない
という淋しさが押し寄せてきた。















あれから、この「音源」を聞く度に

自分も彼の元に行きたいという念にかられ

自分の命に対する執着が薄らいで行くのを
感じずにはいられなかった。










自分が自分でなくなっていく毎日。








このままでは良くないと自覚しながら

カラダの半分はあの世に置いている

気がしてならなかった。









そんな時、あるメールが彼女を
現実に引き戻す。











それは…

彼女の勤める専門学校の
ある生徒が昨晩






















自殺したというメールだった。












つづく