kyupinの日記 気が向けば更新 -875ページ目

SAMe

S-adenosylmethionine


非常に興味深い薬物。この薬物の主な適応は関節炎とうつ病である。他に肝臓病などにも使われる。SAMeは人体のほとんど全ての細胞に見られ、様々な生化学反応における共同因子として働き、 軟骨の維持や脳神経伝達物質などの生成に不可欠である。SAMeは通常体内で十分に生成されるが、関節炎やうつ病などの状態にある人ではSAMeのレベルが低くなっている。 また、人体の老化現象としてSAMeが減少していくことがわかっている。


SAMeは1952年にイタリアで発見された。最初、うつ病の治療薬として試みられたが、その際、偶然に関節炎も改善することに気付かれた。SAMeはイタリアの医師によりうつ病の治療の最初の段階で使用されることがある。というのは、従来型の抗うつ剤に比べ効果の発現が早いからである。SAMeは高価なサプリメントで最高量使用した場合1ヶ月に3万円近くかかってしまう。だから現実的には従来の抗うつ剤の代用にはならない。


うつ病に対するSAMeのエビデンスについて
SAMeの抗うつに関しての最初の報告は1976年になされた。それから多くの報告があり、プラセボや従来型の抗うつ剤との比較がされている。概ね有効だったという報告が多いものの、厳密な意味でのエビデンスはないと考えられる。


安全性
人や動物実験などの報告では、SAMeはほぼ安全な薬物に見える。(服用時の胃部不快感、消化不良などの副作用がある程度)しかし直接的な胃に対するSAMeの有害作用はない。
SAMeは躁うつ病患者に使った場合、躁転を起こさせることがある。躁うつ病のうつ状態に使用する場合は注意を要す。子供、妊婦、肝・腎障害の患者に対する安全性は確立されていない。他、抗うつ剤で治療中の場合のSAMe服用は、主治医のアドバイスを十分聞くように注意喚起されている。(アメリカの場合) 個人的には、慢性疲労症候群や疲労が主症状のうつ病には(関節痛にも効果があることもあり)有効かもしれないと思う。


(これは2002年頃にウエブにアップしたものです)


白い花

山の花


先日、山で撮影した白い花ですが、何という花か知っている人はいますか? 背景の紫の花も。

精神疾患の障害年金(その5)

ある時、自分の患者さんの住む町の町長さんが病院にやってきた。用件は、その患者さんになんとか障害年金を取れるようにしてほしいという感じだったが、その患者さんは受給用件を満たしておらず、病状的には可能でも受給できるはずはなかった。不正をするなら初診日を未成年の時期にスリ替えるしかない。

よくそんなことを人に頼むよと思った。

なぜ、その町長がそんなことをわざわざ言いに来ているかというと、票のためだ。それしかない。助役くらいの人が同伴してきていて、その人は、大変なこと(つまり犯罪)をしようとしているのがわかっていたらしく、なんとか町長の暴走を止めようとしている風であった。

そんなことしてくれる精神科医はいないって。

結局、強く突っぱねたが、僕が断った時の助役の安堵の顔が忘れられない・・

精神疾患の障害年金(その4)

障害年金は、精神科医から言うと、受給可能な人はすべてとってほしい。しかし病状的に嘘は書けないので、一応、「ある程度の病状」水準以上の人だ。申請する時は結構面倒だが、患者さんにとって経済的にかなり助かることなので、出す以上はアクセプトされるように書く。逆に言えば、診断書を書いても通りそうにない時はこっちから断っている。だいたいこのあたりなら大丈夫だろうという水準が頭の中にあるのだ。それでも、どうしても書いてくれと言う人も稀にいるが、その時は落ちる可能性が高いと念を押して書くようにしている。診断書料もかかるし、いったん落ちると1年半は再申請できない。この診断書料は、病院により差があるが5000円~1万円はかかる。たまにタダの病院もあるので驚く。過去に申請して落ちたことが2~3回あるが、それ以外はすべて通っているので、僕の場合通過する確率がかなり高いと思う。


診断書には現在、指定医番号を書く欄がある。今はどうなっているのだろう?

本来、精神保健指定医に限り書けるものではなかった。現在はこの欄が出来ている。ひょっとしたら、現在では原則的に指定医が書くようになっているのかもしれない。この診断書だが、書き方を知らないとおもわぬところで失敗して落とされることがある。下手糞は最初から書くべきではない。(しばらく再申請できないので大損失になるため) ある程度のノウハウが必要で、文章の書き方や、どんなところを強調するかなど戦略がある。最も重要なのはもちろん「日常生活能力の程度」なのだが、他の文面との整合性がないとリアリティがなくなるからだ。


落ちるケースは授産施設に入っているような知的発達障害の患者さんでIQが意外に高く、他の症状もあまりない場合などだ。こういうのは落とすべきではないと思う。(経済的な問題で施設にいられなくなるため)


他に、アスペルガー症候群などの特殊な疾患。アスペルガー症候群は、僕の県では過去に申請して通った例がないらしい。しかし、他県では通過することもあることはわかっていた。これは、単に審査の人がアスペルガー症候群についてよく知らないんだと思う。審査する人の年齢を考えてもw この時は県を変えて申請して、やっと通った。(このあたりが、この業界がローカルなところ)


よくわからないのが既に生活保護などを受給していて、何年もたって申請して受給できるようになる人がいること。生活保護は他法優先と言われ、障害年金などが受給できる人はまずそちらが優先されて、それでも生活が難しい時に生活保護で補充される。まず障害年金ありきなのである。だから生活保護の人は詳細に調べた結果、障害年金の受給資格がないか、年金を受けていても生活が出来ない人に限られているのだ。したがって、何年も経って何で申請なの?という感じになる。


精神疾患の障害年金(その3)

疾患についての検討(受給資格がある場合)


1)統合失調症  
病状が悪ければ受給可能。ただ病状が軽い場合は難しい。


2)知的発達障害
IQが低ければ無問題。40台後半とか50台になると落ちる可能性が出てくる。
この場合、先に書いたように他の症状が重いことが条件になる。


2)躁うつ病 
病状が重ければ受給可能。ほぼ統合失調症に同じ。


3)うつ病
感情障害でも単にうつ病の場合、受給は極めて厳しいと言わざるを得ない。なぜなら、うつ病は治る病気だからだ。うつ病でも、幻覚を伴うとか非定型精神病の色彩があるときはこの限りではない。僕の場合、過去に「うつ病」で申請したことは一度もない。


4)神経症
神経症全般は一般にかなり厳しいが、その疾患の病状により可能な場合もある。病状が重く日常生活がかなり制限されていることが条件である。強迫神経症でどうしようもなく病気に振り回され、仕事もできないような状況など。摂食障害の場合も病状がかなり重い場合は可能性がある。


5)境界型人格障害
重度のケースであれば受給可能である。診断書の書き方も大切。


6)アルコール依存症

極めて難しい。しかしアルコール関連疾患の場合で重篤とみなされる場合は受給できることが多い。アルコール関連疾患とは、アルコールによるコルサコフ症候群とか、アルコール幻覚症が遷延して統合失調症とあまり変わりがないような状態などである。


7)覚醒剤中毒後遺症、麻薬中毒による後遺症
たぶんダメだと思う。


8)認知症
若年で生じるアルツハイマー病では受給が可能である。脳出血後遺症などによる認知症の場合、精神ではなく身体で認定される場合がある。これら器質性疾患による精神病状態のため日常生活に著しい制限を受けている場合も受給できる。


9)てんかん
てんかんだけの場合は、普通は非常に難しいと思われる。なぜなら「てんかん」だけだと、発作回数や発作のタイプが重要視されており、現在の薬物療法では良好なコントロールが可能であることが多いからだ。だいたい、てんかんの患者さんは普通に働いている人が多い。ただ、てんかん性精神病などの精神病の要素が増え、その程度が重いと受給可能である。