この企画もいよいよフィナーレです。
皆さまありがとうございました。
ワタクシも楽しかったです。
元々はワタクシが推しとの旅行計画を立てる企画でしたが、お話が膨らんでストーリー仕立てになっております。
これまでのお話は以下。
■宇髄天元様と行くエジプト新婚旅行
■宇髄天元様と行く新婚旅行★エジプト編その3
カイロのホテルの場所は、カイロの西のはずれギザ地区だった。
ギザというとクフ王のピラミッド至近なのだが、到着は夜だったので何も見えなかった。
新婚旅行も終盤、ここぞという豪華でロマンチックなホテルだったが、昼間歩き回ったこともあり、それまでの疲れの蓄積もありで、二人ともすっかりくたくたになっていた。
ホテルは、今までで一番いい部屋だったが、シャワーを浴びてから二人してキングサイズのベッドに倒れ込むように寝落ちていた。
「天元さま」
天元は妻まっすんの声で目を覚ました。
「外、外を見てください。」
「なんだ。」
部屋の窓から、のぼる朝日に照らされたギザのピラミッドが見えた。
風景には朝もやがかかって、刻刻とピラミッドの色がかわっていく。
「これは・・・これは、素晴らしいな」
バルコニーでピラミッドに見入る二人。
宇髄天元はまっすんを後ろから抱擁した。
「すごいよな、4000年前に作られたものを4000年後の俺達が今ここで見ているんだ。」
「4000年の間、どれだけの人がこの光景を見ただろうか。」
「・・・・・」
重い。重い4000年がのしかかっている。
絵面はロマンチックだが夫の天元は重かった。
重さでふと我に帰った妻まっすんは
縄文時代って言わないんだ。
と、思った。
朝食後、地上からギザのピラミッド観光だ。
ピラミッドはこれまで以上に気合いを入れなければならない観光の山場だった。
入口でラクダの客引きがうるさかったが、馬車の客引きはもっとしつこかった。
敷地に入っても客引きがいる。
日本人にしては上背も肩幅もある宇髄天元だが、自分だけ気をつけていればいいという状況ではない。
「おい、離れないようにしていろ。客引きに囲まれてるぞ。」
宇髄は妻まっすんの手を取った。
「しっかり手を繋いでいろ。」
ところが、大人の客引きにノーを言いながら歩いていても子供達がついてくる。
何人もだ。
「ミスター、コーク?」
「ノー!」
「キャメル!」
「ノー」
「フォト?」
「ノー」
「バクシーシ!」
「バクシーシ!」
「これか!バクシーシ小僧ってのは!」
バクシーシを要求する大人はこれまでもいた。
勝手に観光案内などをして「バクシーシ」と言われるエジプト観光地につきもののあれだ。
しかし、これほどしつこく子供達に囲まれたのはギザのピラミッド観光が初めてだった。
「ええい、面倒臭い!」
天元は妻まっすんを抱えて走った。
走った。
ただ、少年が一人、しつこく食い下がってきた。
「オー、ミスター!サムライ?ニンジャ?」
「うっせーわ!ニンジャじゃ、このガキやー!」
「オー!ニンジャ?ユー ハブ ガッツ!」
ガッツがあると子供から褒められても、そこは日陰のない墓地遺跡だ。
気温は上がるし、息も上がる。
天元は走るのを諦めた。
地面に降ろされた妻まっすんが少年に話し掛けた。
ま「ユー ハブ コーク?」
少「イエス、マダム。」
ま「プリーズ ツーボトルス、ハウマッチ?」
少「トゥエンティポンド」
ま「ツーボトルス?」
少「ワンボトル トゥエンティポンド」
天元が口を挟んだ「おい、こいつ1本を倍の値段で売りつけるつもりだぞ。それじゃ日本と同じ値段だ。」
ま「いいのよ。観光地価格で。脱水するよりはいいでしょう?」
まっすんは「ワンボトル」と言って20ポンド出して1本受け取り、「ワンモア」と言ってまた20ポンド出して1本受け取った。
少年は「サンキュー、マダム。エンジョイサイッシーン!」と言って去って行った。
妻まっすんは少年に手を振ってから、コーラを天元に差し出した
「はい、天元さま。」
「参ったね。奥様は大物だよ。」
「走ったから、すぐに開けると炭酸吹きこぼれるわよ」
妻まっすんは笑った。
そして、ギザの3つのピラミッドはどこから撮っても人がわんさか写り込んだが素晴らしかったし、
ギザのスフィンクスは日本で思っていたよりずっと小さかったが、大きさは気にならなかった。
「スフィンクスはエジプトではそこらじゅうにいる、だな。」
午後からカイロ市内に移動してスークで買い物。
香水瓶など色々あったが、妻まっすんは靴下を買っていた。
エジプトに来てからホテルの部屋に入ったらすぐにシャワーで埃を落とすのが日課となっていた。
どうせなので、その夜はホテルで夕食をとる事にした。
スーツケースの底で出番がなかった上着とワンピースが役に立つ時が来たのだ。
天元は恐る恐る妻の足元を見た。
やはり先程スークで買っていた靴下を履いていた。
靴下柱と呼ばれていた人だからなあ。
天元は妻のネタ靴下を見て見ぬ振りをした。
「そろそろ行こうか」
レストランではエジプト産ワインなども楽しんだ。
飲酒は禁じられているがワインは何千年と作っている。
エジプトはそういう国なのだ。
カイロ二日目の朝。
エジプト最終日だ。
今日もカイロで一日か、砂ぼこりと4000年前の遺跡と客引きはもうお腹いっぱいだ。
せっかくいいホテルに泊まってるんだから、時間延長してホテルで過ごすかな?
と天元は考えていた。
ふと、旅行のしおりを手に取った。
「む、カイロからアレキサンドリアに行けるのか。」
「旅のしおりの与太話がやっと役に立ったな。まっすん支度しろ、アレキサンドリアに行くぞ!」
カイロのラムセス駅からアレキサンドリアのマスル駅へ。
アレキサンドリアは地中海に面した港町だ。
カイロから2時間半程度で行ける距離にある。
定番の観光地、
アレキサンドリア国立博物館
円形劇場
セラペウムとポンペイの柱(スフィンクスつき)
カイトベイ要塞などを見て
シーフードレストランで食事。
「地中海だな。」
久々に見たナイル川以外の水辺だった。
「スケブ持って来れば良かったよ。」
絵心が刺激された宇髄天元だった。
いよいよ帰国だ。
カイロに戻り荷物を受け取り、カイロ国際空港にチェックイン。
出国検査を済ませ、空港でお土産の買い物などしたが、まだ時間は余っていたので、帰国時はカイロ空港のエミレーツラウンジを目一杯利用した。
カイロを1:30出発、ドバイ着は7:10。
日本では寝ている時間だ。
そのまま乗り換えで ドバイ現地時間8:20出発、
帰りはビジネスクラスの面目躍如。
約10時間のフライトで、ビジネスクラスの機内サービスをゆっくり楽しんだ。
羽田空港には22:30到着。
ターンテーブルから出てきた荷物を受け取り、税関を通り、入管でパスポートを出した。
一つ一つの関門が、これから戻る日常へののゲートのように感じられた。
「おつかれさま。」まっすんは声を掛けた。
「旅行に出掛けて、同じ家に帰るっていいな。」
東京の海辺の湿度がしっとり感じられた。
これから、同じ家に帰るのだ。
これまでとは違う日常がこの先にある。
二人は顔を見合わせた。
「明日は天丼食うぞ!」
やはりそうきたか。
と妻まっすんは思った。
【完】
この物語は、鬼滅の刃を下敷きにした旅行計画に肉付けしたフィクションです。
現実とは関係ない、ワタクシの妄想です。
やっぱり推し問題ってありますね。
