今からちょうど80年前の今日・1945(昭和20)年10月11日、戦後初の邦画・『そよかぜ』が封切られました。
レビュー劇場の照明係をしながら歌手の道を志す少女みちが、楽団員に励まされ、遂にはデビューする・・・というストーリー。
街に登場した広告看板
ですが、この作品を実際に観た方は今殆どいらっしゃらないかもしれません。
かく言う私もその一人ですが、ではなぜこの作品を取り上げたのか?
それは、この映画の(実質的な)主題歌
リンゴの唄
が、殆どの方が聴き覚えあるであろう戦後初の大ヒット歌謡曲だから。
タイトルを聞いただけで、〝赤い リンゴに 唇寄せて・・・〟という歌い出しを思い出せる方が多いでしょう。
作詞は、映画の佐々木康監督に依頼されたサトウハチローさん。
撮影が始まっても完成せず、万城目正さんはロケ地・秋田に向かう汽車の中で作曲したそうな。
主役を演じこの曲も歌った並木路子さんは父と次兄を戦地で亡くし、東京大空襲で母をも亡くして失意のどん底・・・当初は明るく歌えなかったとか。

そこで作曲した万城目さんが「君ひとりだけが不幸じゃないんだょ」と諭して並木さんを励まし、彼女は気を取り直して見事に歌い切りました。
またこの曲のヒットを予感していた霧島昇さんは、万城目さんに「並木さんと共に歌わせて欲しい」と直談判し、急遽並木さんとのデュエットという形になったそうな。
そんな経緯で誕生した同曲は、敗戦に打ちひしがれた人々の心に沁み入り、戦後初の大ヒットとなりました。
では、その懐かしい名曲を、レコード盤にてお聴きください。
封切りから2ヶ月後に発売されたレコードは、2年間で12万5千枚以上という、当時としては異例の大ヒット。
また当時リンゴはまだ貴重品で、レコード発売直前に行われたラジオ公開番組で並木さんが歌いながら客席に降りてリンゴを配ったところ、観客がその奪い合いで大混乱になったというエピソードも。😯
その後並木さんがこの曲を歌う際には、リンゴを投げるパフォーマンスが定番になったそうな。
そして1995年に阪神淡路大震災が起きた際、並木さんは避難所を慰問し仮説ステージでこの曲を熱唱し、人々を勇気づけたそうな。
残念ながら彼女は2001年に亡くなりましたが、東日本大震災ではその遺志を継ぎ現地のコミュニティFMが〝りんごラジオ〟と命名されています。
名曲は、時代を超えて人々を勇気づけてくれますネ。😊

