まねき猫ホスピタル院長 獣医師・石井万寿美 ペットのいる暮らし

まねき猫ホスピタル院長 獣医師・石井万寿美 ペットのいる暮らし

小動物臨床をしている獣医師です。書くことが好きで本も書いています。自分の勉強したことを伝えて、少しでも世の中に還元できれば、こんな嬉しいことはありません。

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人のように、犬や猫はあまり鼻血を出しません。

18歳と10カ月生きていったラッキーも鼻血が出てことはありません。

 

犬や猫で鼻血(鼻出血)が見られた場合、単なる外傷や乾燥だけでなく、腫瘍(がん)の可能性も念頭に置く必要があります。

特に片側だけから繰り返し出血する場合や、くしゃみ・鼻水に血が混じる状態が続く場合は注意が必要です。

 

【原因】

犬では鼻腔内腫瘍(腺癌や扁平上皮癌など)

猫ではリンパ腫など

 

これらは初期には軽い症状でも、進行すると出血量が増えたり、顔の変形や食欲低下を伴うこともあります。

また、歯周病や異物、真菌感染などでも鼻血は起こります。

 

【飼い主さんができること】

 

見た目だけでの判断は難しく、画像検査(レントゲンやCT)や内視鏡検査が重要になります。

特に高齢の動物で原因不明の鼻血が続く場合は、早期に動物病院で精査することが大切です。

 

鼻血を「様子見」で済ませず、重大な病気のサインとして捉えることが、早期発見・治療につながります。

 

がんや慢性腎不全などになると、貧血になりやすいです。

貧血というと鉄分不足が注目されがちですが、実際にはタンパク質の状態も非常に重要です。

 

赤血球やヘモグロビンは鉄だけでなく、タンパク質を材料として作られるため、体内に十分なタンパク質がなければ、いくら鉄剤を補っても効率よく造血は進みません。

 

【どこを見ればいいのか】

 

その指標のひとつがアルブミンです。

 

アルブミンは血液中に最も多く存在するタンパク質で、栄養状態を反映します。アルブミン値が低い場合、体全体のタンパク質不足が疑われ、骨髄での赤血球産生も低下しやすくなります。

 

また、アルブミンは鉄の運搬や体内環境の維持にも関与しているため、低下すると鉄の利用効率も悪くなります。

つまり、貧血の改善には鉄剤だけでなく、良質なタンパク質の摂取が不可欠です。

 

【飼い主さんができること】

 

肉や魚、卵、大豆製品などをバランスよく取り入れ、アルブミンを維持することが、根本的な改善につながります。

なかなか食べることができないので、その場合はアミノ酸のサプリメントやアミノ酸の静脈点滴などもおすすめです。

 

 

 

岩手大の研究で、猫が餌を残す理由に「におい」が深く関与していることが明らかになりました。

猫は同じ餌を続けると食べる量が減るが、異なる餌や別のにおいを与えると食欲が回復することが確認されました。

同一の刺激に慣れる「順応」と、新しい刺激で回復する「脱順応」によるものと考えられます。

従来「気まぐれ」とされていた行動の背景に科学的根拠が示され、高齢猫や食欲低下時の給餌法への応用が期待されています。

猫の平均寿命が15歳となっている現在、「におい」を考慮しながら、どのように餌を与えるのがよいかを考えてみましょう。

 

なぜ猫は餌を食べ残すのか? 「におい」と習性から考える理由 #エキスパートトピ(石井万寿美) - エキスパート - Yahoo!ニュース

 

フィラリア検査で血液検査をしている子も多いと思います。

 

気をつけてほしいのは、リンパ球の数です。

 

今日はリンパ球とがんに関係を見ていきましょう。

 

【リンパ球とがん】

 

がんとリンパ球の関係は、体の「免疫監視機構」を理解する上で非常に重要です。

 

リンパ球は白血球の一種で、主にT細胞、B細胞、NK細胞に分かれます。

このうちT細胞は、体内で異常に増殖したがん細胞を認識し、攻撃する役割を担います。またNK細胞は、がん細胞を非特異的に直接攻撃する自然免疫の中心的存在です。

 

しかし、がん細胞は巧妙で、免疫から逃れる仕組みを持っています。例えば、T細胞の働きを抑えるシグナルを発したり、自分を「正常な細胞」に見せかけたりします。

 

その結果、本来排除されるべきがん細胞が生き残り、増殖してしまいます。

近年では、この免疫の仕組みを利用した免疫療法が注目されています。代表的なものが免疫チェックポイント阻害薬で、抑えられていたT細胞の働きを再び活性化し、がん細胞への攻撃力を高めます。

 

一方で、リンパ球の数や機能が低下すると、がんの進行や感染症のリスクも高まります。したがって、栄養状態やストレス管理、適度な運動などにより免疫機能を維持することも重要です。

 

がん治療は単に腫瘍を攻撃するだけでなく、体の免疫力、とくにリンパ球の働きをどう保つかが大きな鍵となっています。

 

 

【飼い主さんにできること】

 

血液検査でリンパ球の数を確認することは重要ですが、単に数値が多いだけでリンパ腫になるとは限りません。数値が基準範囲内にあるかどうか、またその変化を継続的に見ることが大切です。

定期的な健康診断でリンパ球を含む血液検査を受け、異常があれば早めに獣医師へ相談するようにしましょう。

 

 

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今日は、ラッキーの命日です。

5年前の夜中の2時過ぎに亡くなったので、もう、いまの時間はこの世にいませんでした。

 

ラッキーの看病をしている間は、寒いのか温かいを感じることを忘れていました。

もちろん、飼い主さんとの会話では「温かくなりましたね」「桜が咲きましたね」とお話はしていたのですが、言葉が意味を持たないで体の中を通り抜けていったような感覚です。

 

ラッキーは、がんではなくほぼ老衰で18年と10カ月生きてくれました。

 

そんな愛犬の世話をしていても、こんな感覚なのでがんのもふもふちゃんをお世話されている飼い主さんもそんなところがあるのかな、と思い返したりしています。

 

愛するものを亡くすことは、喪失感がずっと続きますが、それでも豊な時間を持てたと思います。

 

もちろん、いわゆわるペットロスをもう経験したくないので、新しい犬や猫を迎えいれないと考える人もいるでしょう。

 

私は、19年近くもずっと私の傍らにいてくれたラッキーに感謝しています。

 

オムツの生活が続きましたが、それでもラッキーの夜鳴きなども全て私の宝物です。

 

ラッキーがいなくなって時間が流れますが、いつも話しながら仕事をしています。