2013.12.22深夜 | 余生庵 カラスの晴耕雨・読ぶろく…クンセイが肴

余生庵 カラスの晴耕雨・読ぶろく…クンセイが肴

残り少ない余生をテキトーにいきていくブログ
◇監修 左上野 老鶴 ◇GM 経田野 横鋤 ◇照明 当代元 蔵志
☆余生を送っている人間が書いている記事ですので、恐縮ですが
 「記事更新頑張りましょう」といったコメントにはお返事できま
  せん。

4人の法衣をまとった剃髪の男たちが、しんしんと降りしきる雪の中、ある者は大きな麻袋を担ぎ、またある者は馬そりをひと廻り小さくしたようなそりに、雪に濡れない始末であろうか、透明なシートのようなものをかぶせた下に、ナニヤラ、農作物や、反物、貴金属などを他の食料品とともに、自分の身長の優に5-6倍はあろうかという高さ迄のせ曳いていた。
そりからロープがのび、一旦その男の肩越しに支えられ、両の素手で捻じるようにして持ち、力を溜めやすくすべく試みてはいるものの、掌からは血が滲み始めており、法衣の肩のあたりもすれて、小さく穴があき始めていた。

残りの二人といえば、一人は、小型の馬そりをうしろから押して手伝う掛り。最後の一人は、長持ちにスキーのようなものをはかせて、やはり重そうに曳いている。中身は見えぬものの、いずれ、大層なものがはいっていると推し量られた。

そこに突如、天空から四頭立ての馬車が・・・とみまごうばかりであったが、西洋の「トナカイ」とかいう鹿の仲間であろうか・・・蒼空の天蓋を舞う大鹿の仲間は、さぞや特に選りすぐりの雲竜のごとき飛翔の才を授かった者たちと見ゆるが、これまた大ぶりのそりに備えられ、一方で、そりの天板上に、布袋様のような白い大袋を担いだ上下赤い衣装、赤い三角帽子を身に着けた、白ひげの恰幅のよい好々爺がおられたが、ほどなく件のそりから降りて参った。
どうやら、剃髪の男たちに註文があるようだ。

「ちょっと、あんたがた、今日まだ12/22でっしゃろ。ワイは12/24の深夜に世界の子供達とのお約束でプレゼントを差し上げている、<三択露・ス>という者だす・・・あんた方のように、そないに早くプレゼントを配ってしまっては、ワイの出番がなくなるやあらへんか・・・」

「いえ、サンタさん。これは抜け駆けでも何でもありません。
冬至にカボチャを食べるという日本の風習にのっとって、各戸にお配りしているものです。」
4人の中のリーダー格と思しき男が言った。
続いてNo2であろうか?、
「リーダーには何か見えるのかい?」
「君辺りなら、雪をバックにすれば、薄く赤いものが見えるだろう?」
「あー、なんとなく、ソーいわれてみれば・・・」
「他の二人はだめみたいだね。」
「それはいーけど。あの赤いものってなんですか?」
「サンタさんだよ。」
「へ?」
「神に近い存在らしいからね。ボクがチームリーダーに選ばれた理由やっと今わかったよ。
こういう人たちと、トラブルをさける目的だったんだね。」

「失礼しました。
今日という日のことは、サンタさんも多分ご存知でしょう。冬至です。
日本では古来、この日にカボチャを食べて、次の年の息災を願う風習があります。
でも最近は、カボチャだけをお買い求めのお客様はおいでになりません。
それから、こういった雪の日は、お客様は外に出たがりませんし、私どもの店では北国のように、冬タイヤを履いた配達車の充分な台数の配置がありません。

そこで、いつ、どこの配送センターで始めたのか知りませんが、日本の民話で「笠地蔵」という<かくかくしかじか>という内容の話がありますが、それにならって、こういった高台にあるお客様の配送を何軒かまとめて、今の我々のこの格好で始めた宅配グループがあったのです。

はじめは、全くのギャグで、面白がってはじめたところ、大受けで、以来、我々は寒い中、毎年の冬至にはこの格好で山登りをさせらるようになったわけです。」

「どーして、みなさん、つらいのに、続けてはりまんのん?」
「そりゃ、ご覧のとおりの悪条件。バイト代が、1.5-2倍高額なんです。
スタッフは1.3-1.7倍ですけど。

このスタイルで配送が始まって、今年で8年目になるそうです。
始めは何事もなく済んでいたのですが、3年前から、赤い服の男に尾行された、とか、何件目かの配送が終わって荷物のところに戻ってきてみると、荷がひっくり返されて、商品を取り替えに店に戻らなければならなかった・・・等といった怪現象の報告がいくつか入ってくるようになりました。
それで、一部の地域では、通常の配送車での配送に戻したところもあれば、会社内でいわゆる<ミエル・感ずる>ヒトをリーダーにするよう・・・これには賛否両論があったそうですが・・・・配達組織を改編していまに至ります。

まさか、過去の我々に対するいたずらは、サンタさんがおやりになったことではないでしょーね?

ま、それはさておき、今申し上げた通り、ここにある品物は、お届け物ですから事前に料金はいただいております。プレゼントではありません。

我々は黒◇ヤ◎ト、世田谷降雪時緊急お届けチーム第7班です」

「いや、たしかに、ワテ、アンサンがおっしゃる通り、クリスマスの前に、日本全国のビショップ(坊様)が金品を配っていると、前任者から引き継ぎを受けていたもんやさかい、これは放っておけば、いずれ大変なことになると考えましたんや。
いや、事情もよう知らんと驚かせてすまんかった。

でもな、昨日、同じような4人組に行きあったが君たちとは明らかに違うたわ。」

「そのメンバー、フンドシ一丁で荷を担ぎ、そりの横に飛脚がついていませんでしたか?」
「えー、ヒキャク、ヒキャク・・・あーそーいえば、肩から棒付きの箱を担いでおったわ。」
「それは、佐△急※のチームと思います。」
「へー、いろいろあるもんでんなー。」

「ところで、サンタさんのお名前ですが、前任者とか言っておいででしたね?やっぱり<一子相伝>ですか?そして、ご本名は、そのそり本体に書かれてある<三択露・ス>なのですか?」
「昔の話ですから、どこまでホンマやら・・・昔のサンタは、金持ちではなく、しかも今のような高齢化社会ではなく子供も比較的多かったので、世界の子供たち全員分のプレゼントは用意できなかった。
そこで「三択問題」を出して、できた子にはプレゼントを上げたと聞いております。
そして、次の「露」と・スは、ワイはロシアのセントペテルブルグ営業所のサンタです、という意味や。以前のスターリングラードの「ス」のままです。」
「え?サンタさんもチームで動いておいでなんですね?」

「そら、アンサン、どー考えたって、こんなしんどい仕事一人でできると思われまっか?
それに、サンタもトナカイも高齢化が進んでどないしよかーって、みなでこの前も相談したばっかでっせ。
いっそのこと、お子達に船賃上げて北極までプレゼントとりにきてもろた方が楽やないか、てな意見まで出る始末でな。
そーなったら、もうサンタやない。お子達に顔向けでけん、思いますンや。かといっていい方法もありませんしなー。」