そんなわけで

わがお散歩仲間の毒舌奥様は

今は亡き愛犬(元牧羊犬)に

『人間の食べ物』を

時々与えていたことが

発覚したのですが

まあこぼしたミルクを

嘆いても仕方ない

(英語のイディオムで

高校時代に習った言い回し)。

 

奥様がそんなことを

する・していたのは

今は亡き愛犬に

限ってだけのことで

わが愛犬アーシー

(黄色大犬)には

いつもちゃんとした

『犬用お菓子』のみを

与えてくれているし、

やはりなんのかんので

そこはしっかりと

線引きがあるというか

節度を保たれた人。

 

 

 

 

そんな風に

考えていた時期が・・・

 

私にもありました・・・

 

 

 

 

あれは牧羊犬ちゃんの喪中。

 

犬の看病疲れやら何やらが

一気に出てしまった奥様が

ちょっと風邪っぽいというので

私とアーシーで

お見舞いに伺った時のこと。

 

まあ直接お目にかかってみれば

奥様のお加減は

それほど悪そうでもなく

私と奥様とアーシーは

奥様自慢の庭など歩いて

元牧羊犬ちゃんの

思い出話などに

花を咲かせておりました。

 

そうなると人間たちは

どうしても涙がちになり・・・

 

「ごめんなさいね、そうだ、

お飲み物を出すのを

忘れていたわね、

コーヒーか紅茶か、どちら?」

 

「奥様は何を飲まれますか?

コーヒー?では私もコーヒーで」

 

二人と一匹は

そのまま台所に移動し、

奥様の台所は広く明るく

清潔でありながら温かみがあって

本当に居心地のいい

空間なのですが、そこで

奥様はまずコーヒーを作り

そして台所の奥の棚に行き

お菓子の入った容器を取り出し

・・・容器に入っていたのは

奥様お手製のメレンゲ。

 

このメレンゲはですね!

 

いわば奥様の

シグネイチャー・スイーツ、

近隣の関係者には

その評判がとどろく名菓、

で、そのメレンゲを

奥様は一つ容器から取り上げると

「アーシー!」

 

止める間もなく

奥様に駆け寄るアーシー、

そして!アーシーの口に!

躊躇なくメレンゲを

差し入れる奥様!

 

犬が森で散歩している様子

 

うわああああーっ!」と

叫びながら(人間

本気で驚くと言葉が

出てこないものです)

アーシーを羽交い絞めにするも

アーシーは満面の笑み

すでにメレンゲを飲み下しており

(くちどけが良いんです、

奥様の特製メレンゲは)

「奥様!奥様アンタ

何てことすんですか

うちのアーシーに!」

 

奥様は白々しく怪訝そうに

「・・えっ、ヤダ、

何をそんなに興奮しているの」

 

「今!今うちの犬に

メレンゲを!人間のお菓子を

与えたでしょう!

何てことをするんです!」

 

「あら嫌だわNorizo、

これはメレンゲよお~、

メレンゲっていうのはね、

たまごの!卵白!

いわば純粋健康食・・・」

 

 

「メレンゲの原材料に

砂糖が含まれていることを

私が知らないとでも思いか!

おいコラ何故そこでまた

メレンゲ容器に手を入れる!」

 

「アーシーを御覧なさいよ、

メレンゲを食べて

とても幸せそうでしょ、

アーシーこっち来なさい、

もう一つあげるから!」

 

「させるか!そんなこと!」

 

・・・私と奥様は

素敵なキッチンの片隅で

絵に描いたような

『揉みあい』を演じたのですが

ふと思い返すに私も奥様も

実は結構上背があるほう

(双方170センチ超)、

何も知らない人があれを見たら

結構迫力があったよな、と。

 

ともあれ私は奥様が

アーシーに二つ目のメレンゲを

食べさせることを

無事に阻止したのですが

「・・・アーシー、

ごめんなさいね、アナタの

飼い主が意固地だからね、

今度こっそり

一人で遊びに来なさい」

 

「遊びに来させる

わけないでしょ!

もうこの家ではアーシーは

基本飲食厳禁です!」

 

私の剣幕に奥様は作戦を変え

いきなり弱々しい声音

「・・・ごめんなさいね、

ほら、私は自分の犬を

喪ったばかりだから・・・

こんなことして・・・

やっぱりちょっと心が

弱くなっているのかも・・・」

 

「そう言われると

これ以上怒りを持続できない、

それは卑怯でございますぞ」

 

「私ね、思うのよ、

自分の年齢的にもあの子が

私の最後の犬だったなって」

 

「いやそんなことないですよ、

次もいけますよ、次こそは

犬用フードだけで育てれば

それで大団円じゃないですか」

 

「いいの、犬のいない

生活っていうのも・・・

やっぱりあれね、楽だけど

ハリがない感じよね」

 

「奥様に必要なのは犬ですよ!」

 

「そうよね、だから

アーシーのことはいつでも

預かってあげますからね、

犬の面倒を見る人が必要な時は

いつでも声をかけてね」

 

「何言っているんですか、

奥様にだけは

アーシーは預けませんよ」

 

奥様は心底驚いた様子で

「どうしてそんな

ひどいこと言うのよ!」

 

「逆にどうして私が奥様に

愛犬を預けると思うんです!

あれでしょう、絶対に

午前と午後のおやつに

メレンゲを与えるでしょ?」

 

「・・・メレンゲは絶対駄目、と

言われたらメレンゲは与えません」

 

「でもメレンゲ以外の

人間用お菓子を

『Norizoはこれは

禁止しなかったからねえ~』

とかなんとかおっしゃって

脱法スイーツ的に

与えるつもりでしょう」

 

「・・・あなたちょっと

最近私のことを

理解し過ぎていない?」

 

「本当ですね、まあだから

奥様にだけは私は犬を預けません。

奥様に預けるくらいなら

ペットホテルを利用します」

 

「ペットホテルなんて

よくないわよ!本当に!」

 

「奥様よりはマシです」

 

「アナタ!愛犬を

亡くしたばかりの

体調のすぐれない高齢女性に

どうしてまたそんな

無慈悲なことが言えるの!」

 

なおこれだけわかりやすい

対話をしたにもかかわらず

奥様は私がいつか

アーシーを奥様に

預けるものと信じこんでいらして

・・・今度私と夫(英国人)は

犬抜きで出かける予定なんですよ、

それでアーシーをその間

余所に預ける手はずを

整えたんですけど、それを聞いて

奥様は本気で立腹なさったらしく、

現在私と奥様は

冷戦状態にあるらしいです。

 

その話はまた後日。

 

 

奥様もこの流れで

どうして私がアーシーを

奥様に預けると思うんだ

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