森の駐車場で

アストンマーティンの

スーパーカー(クラシック)を

わがお散歩仲間の

毒舌夫人と眺めておりましたら

 

 

 

 

時々散歩中に顔を見かける

犬連れの高齢女性(超健脚)が

遊歩道のほうから出てきました。

 

「おはようございます」

 

「あらおはよう」

 

「おはよう、ねえ、

この車を見て頂戴」

 

健脚夫人は車を見るなり

「あらアストンマーティン」

 

「それも『認証済み

クラシックカー』ですって」

 

「あらあらまあまあ」

 

「それでこのNorizoが

色々心配してるのよ、

こんな山奥に車を停めて

誰かにいたずらされたら

どうするんだって」

 

「杞憂かもしれませんが

私はこの国の

ヴァンダリズム

(他人の所有物を

破壊する行為)問題を

存じておりますので」

 

健脚夫人は

私の言葉を聞いて

少し考えてから

「・・・いえ、それは大丈夫よ。

今は5月でしょ?

5月って皆忙しいから・・・

破壊行為とか過激なデモとかが

英国で問題になるのは

もっと暑くなってからよ!」

 

「・・・わが夫も常々

英国人が暴力沙汰を起こすのは

暑さ負けの結果だ

申しておりますが・・・

やはり気温は大事なんですかね」

 

ここで毒舌夫人が二の矢を放ち

「それでね、Norizoはね!

この車高の低さも

不安なんですって!ほら、

駐車場入り口の段差とか!」

 

健脚夫人は真面目な顔で

ああ成程、というように頷いてから

「でもそれはきっと大丈夫よ、

この車は特殊サスペンションで

そういうのに対応できると思う」

 

「ほほう、奥様は

スポーツカーに造詣が

深くていらっしゃる?」

 

横から毒舌夫人が

「違うわよNorizo、

だからボンドよ、『007』、

嫌だあなたもしかして本当に

ボンドカーの秘密を知らないの?」

 

 

・・・いやボンドカーは

知っていますよ、

知っていますけど!

 

 

この持って行き場のない気持ちを

どうすればいいのだろう、と

心の地団太を

踏んでおりましたら

そこに電動自転車に乗った

高齢男性が登場。

 

礼儀正しく挨拶を交わした後

話題はまたアストン

マーティンのことになり

「・・・それでこのNorizoが

車高の低さを心配していて」

 

ここは先手を取ろう、と

「この奥様方は

スイッチ一つで車高が

変わるから安心、とか

おっしゃるんですけどね、

真面目な話として

こういう車は段差に

弱いと私は思うんですよ」

 

高齢男性は私の意見に

何度も首を縦に振りながら

「そうだそうだ、

スイッチがあるから簡単、

とかそれは

そういう話じゃない」

 

「ですよね!」

 

「スイッチを

押し間違えた場合

車高じゃなくて

ヘッドライト部分が反応し

そこから機関銃が出て

射撃を開始してしまう、

だから気を付けて

スイッチを押さないと・・・」

 

 

 

 

「ええいもういい!

もうたくさんだ!

なんなんですかこの

『007』ネタのテンドンは!」

 

英国人の間に

一般教養として浸透している

ボンド映画の恐ろしさを

垣間見た瞬間でした・・・

 

 

一般教養というか強迫観念?

 

「アストンマーチンを見たら

30秒以内にボンドネタで

ボケないと処罰対象」みたいな

秘密の法律が英国には

存在するのかもしれません。

 

恐ろしい国です・・・!

 

 

また皆さんさー

「ここが、ボケ部分ですよ!」

みたいなネタの

繰り出し方はしないんですよ

 

いわゆる『デッドパン』、

無表情に面白いことを言って

笑いを取りに来る、流石

ブリティッシュ・ジョークの

本場は違いますね

 

思えばわが関西系の知人友人の

「いま笑うところや!」

という二の矢は

あれは聞き手への

優しさだったのですね

 

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