わがお散歩仲間の
毒舌夫人が腰をいためたので
あちらの家の牧羊犬ちゃんを
散歩に連れて行こうと
先方のお宅を訪れた
私と愛犬アーシー(黄色大犬)。
(昨日の記事の続きです)
アーシーを車の
トランク部分に乗せて
毒舌夫人のおうちに向かい
その前庭の車寄せに
車を停めようとすると
その音を聞きつけたらしい
牧羊犬ちゃんが
庭の向こうから飛び出てきて
番犬の面目躍如とばかりに
ものすごい吠え声をあげ。
それに応戦してわがアーシーも
車の中から吠え返し、
しかし車のドアを開けて
牧羊犬ちゃんの顔を見てみると
・・・君、そんな笑顔、
今まで私にしたことがないよね、
というくらいのまさに
喜色満面という表情をした
モコモコのむく犬が
そこにはおりまして。
牧羊犬ちゃんとアーシーの
咆哮合戦は素人耳には
野犬猛犬大合戦の様相に
等しい印象だったのですが
彼らの表情を確認した上で
あらためて耳を澄ませてみると
「アーシー!アーシーだ!
来てくれるなんて知らなかった!
いらっしゃい、すごく嬉しい!」
対
「えっ牧羊犬ちゃんそこにいるの?
ここ牧羊犬ちゃんのおうち?
ほんとほんと?
牧羊犬ちゃんそこにいるの?」
車のトランクを開けると
アーシーは脱兎の勢いで
飛び出てきて、それを受けて
牧羊犬ちゃんは
歓喜に飛び跳ねながら
「いらっしゃい!ここ私のうち!
来てくれてすごく嬉しい!」
そして牧羊犬ちゃんは
弾むような足取りで
「ここ、うちの花壇!
お花の匂い嗅いでいいよ!」
「これ、うちの車!
この車のこっち側は
日陰だから涼しいの!」
「ここが私の芝生!
じゃあ一緒に駆け回ろうか!」
牧羊犬ちゃんとアーシーが
あそこまで文字通り肩を並べて
もこもこピョコピョコと
移動するのを目にしたのは
わたくし、初めてでした。
まさに一心同体。
肩だけじゃなく
顔と体もぴったりくっつけて、
牧羊犬ちゃんが見るものを
アーシーも見て、
牧羊犬ちゃんが匂いを
嗅ぐものをアーシーも嗅いで、
まるでとても仲の良い
幼稚園の女の子二人組のよう。
そして牧羊犬ちゃんは
芝生の真ん中に
アーシーを連れて行くと
「あのね、アーシー、ここで
オシッコしていいよ!」
「えー、ありがとう、
じゃあ遠慮なく!」
燦々と降り注ぐ陽光の元
心底幸せそうにいわゆる
『つれしょん』をする二匹と
なすすべなく
その情景を見守る私。
何なんだ君たちは。
いきなり親密の度合いが
あがり過ぎていやしないか。
その後2匹は続けて
芝生一面を使って
鬼ごっこをしていたのですが
ある時ふっとアーシーの
速度が落ちたかと思うと
わが愛犬は庭の隅に行き
体重を軽くする作戦に出て
(間接的婉曲表現)
・・・うむ、奥様が丹精込めて
育てているであろう芝生部分を
避けたのは褒めてあげよう。
用を済ませたアーシーに
牧羊犬ちゃんは
ご自宅の玄関のガラスドアを示して
「いい?このドアのこっち側で
開けてくださーいっていうと
私のママがドアを開けてくれるから。
でもね、その時に後ろ脚で立って
前脚でドアに触るのは駄目なの、
汚れちゃうから。いい子で
お座りしなくちゃいけないの」
言われた通り牧羊犬ちゃんの
隣に腰を下ろして尻尾を振るアーシー。
牧羊犬ちゃんとアーシーは
現在体の大きさが同じくらいで、
さあ皆様ご想像ください、
モコモコ牧羊犬と
黄色いラブラドールが
肩を並べて腰を下ろして
それぞれ尻尾をばさばさ振りながら
同じ一転(ドアの取っ手)を
じっと見つめているその光景の
胸の詰まるような可愛らしさを・・・!
そして続けてご想像ください、
そんな素晴らしい2匹から
20秒ほど目を離して
アーシーの落し物を片付けた私が
再び目線を犬に戻そうとした時
連中(大型犬2匹)の姿が
庭のどこにも
見えなかった時の驚愕を・・・!
犬たちはさっきまで座り込んでいた
玄関のドアの前にもいないし
車の後ろにもいないし
芝生の反対側にもいない。
どうしよう、この家の庭、
どこかに抜け道でもあるのかな、と
周辺の探索に出ようとした私は
その時軽快な地響きに気が付きました。
その音は家の中から
聞こえてきていて
だんだんと私に近づいてくる・・・
次の瞬間に私が見たものは
玄関のガラスドアの向こうで
揃って舌を出して
楽しそうに尻尾を振る
大犬二匹の姿でした。
つまりこの2匹は
私が少し目を離したすきに
裏口から家屋に
侵入を果たした、という・・・
「アーシー!君は何を・・・
おうちの人、人間の
大人の許可がない限り
他人のお宅に勝手に
あがりこんではいけません!」
ドア越しに叱る私にアーシーは
「えー、でも
牧羊犬ちゃんがいいって言ったし」
みたいな顔をして見せ、
牧羊犬ちゃんも牧羊犬ちゃんで
「いいのいいの!
私が裏口を教えたんだし!」
君たちは本当に目を離すと
悪いことをする可愛らしい
幼稚園児二人組のようだよ!
しばらくしてやっとそこに
毒舌夫人がご登場。
「あらアーシーは
どこからうちに・・・それで
Norizo、アナタはどうして
外にいるままなの?鍵は
開いているんだから
入ってくれたらよかったのに」
「いえ、そうは申しましても・・・
こら!アーシー!よそのお宅で
全速力で走るんじゃありません!」
アーシーは私をちらりと振り返ると
「でも牧羊犬ちゃんが家の中を
案内してくれるって言ったから」
みたいな顔をしてそのまま走り去り
数秒後、台所のあたりから
威勢よく犬が水を飲む音と
何かを食べる音が聞こえ
・・・牧羊犬ちゃんの
朝ごはんの残りをわが愛犬は
一飲みにしたらしく・・・
まあでも本当に2匹とも
びっくりするくらい楽しそうで
おかげさまで私の叱責は
甘くなったかと思われます。
いや、アーシーが浮かれるのは
いつものことなので
特に驚きはしなかったのですが
牧羊犬ちゃんがあんなに我々を
歓迎してくれるとは思わなくてですね。
「だってうちの子はさっき
『今日はお散歩なし』ってことを
納得したところだったから。
不満を我慢していたところに
アーシーが来てくれて
本当に嬉しかったのよ、ね?」
そういう毒舌夫人の言葉に
牧羊犬ちゃんはぶんぶんと
尻尾を振って応え、
そして我々は2匹と1人で
散歩に出かけたのでした。
またも、続く。
牧羊犬ちゃんは当初常に
私のことを半眼で
横目に眺めてきてですね
口角は常に下がり
何かあると
さりげなく歯を見せてきて
尻尾なんて滅多に
振ってくれませんでしたし
ズバリ不機嫌そうな犬だったんです
最近は割と柔らかい表情を
見せてくれることも
多くなっていたんですが
ここまで手放しの好意を
私とアーシーに
示してくれる日が来るとは
予期していませんでした
牧羊犬ちゃん、ずっと小さく
跳ね続けていたんですよ
「ああ、喜びが体に出るのを
抑えきれない隠しきれない!」
みたいな幸福そうな笑顔で
・・・幸せな犬はいいものだ
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