兆候はイチゴでした・・・
1週間ほど前、
庭の草むしりを始める前に
地面と同じ高さに置いてある
イチゴの鉢植えを見て
「あ、あとで収穫しないとな」と
思ったのに数時間後に
同じ鉢を見るとあら不思議、
さっきまであんなに赤く色づいて
存在を主張していた
イチゴの姿がどこにも見えない。
野鳥に齧られたか、とも
思ったんですが、その場合は
ヘタのあたりにクチバシで
つつかれた跡が残るもので、
それに私が草むしりをしている間
愛犬アーシーが
イチゴ鉢の近くにいて
なにやらあたりを
嗅ぎまわっていたし、
野鳥がそんなところで
好き勝手をできるとも思えない。
じゃあ私の勘違いだったか、と
自分を納得させたその翌日。
私は今度は畑の
手入れをしておりました。
予定していた間引き作業を終え
さて庭仕事の相棒に連れて出ていた
アーシーにボールでも投げて
少しは一緒に遊ぶか、と
腰を伸ばしたところ、普段なら
尻尾を振って駆け寄ってくる
アーシーの姿が近くになく。
あれ?と周囲を見回すと
アーシーは私の位置からは
ちょうど野菜の陰になって
見えなかった箇所の
ラズベリー株に
鼻を押し付けていて、
何をやっているんだうちの犬は、と
私が思った次の瞬間、
アーシーはペロリと舌を出し
見事に茎を折ることなく
ラズベリーの実だけを
口に入れたのです。
そして普段の『犬食い』からは
想像もできないような
音を立てない、お口を開けない
非常におしとやかなお作法で
ラズベリーの実を咀嚼し、
で、そこで初めてわが名犬は
さっと私の方向に目を走らせ、
そして私の姿を見つけて
「あっ、まずい」という表情を
一瞬眼に浮かべたものの
あの賢い犬ったら
そこでまったくあわてず騒がず
さりげなーくラズベリーを飲み込んで
「あら!ボールで遊んでくれるの?」
みたいな顔をして無邪気に
尻尾を振って
私の元に走り寄って来て・・・
こいつ・・・!
初めから
完全犯罪を狙っていたな・・・!
さてはイチゴもこやつめか・・・!
当然私はわが夫(英国人)に
今回のわれらの犬の不埒を報告。
「しかし犬って果物を食べるんだな」
「犬というのは雑食ですし、
その中でもラブラドールは
何でも食べるので有名ですし、
さらにアーシーは
アーシーですからねえ」
そしてその翌日、
犬を連れた庭仕事から
帰ってきた夫は開口一番
「妻ちゃん、僕たちの大事な
グースベリーとブラックカラント
(クロスグリ)を盗み食いした
狼藉者がいるんですけど
それが誰だと思いますか」
「・・・クロスグリはともかく
グースベリーは茎に
トゲトゲがついていて
かなり痛いはずなのに
それでも食べに行った
悪い奴がいたというのか」
「僕は一部始終を目撃しましたが
うちの犬はすごいですよ、
時間をかけて丹念にトゲトゲが
刺さらない位置を見つけて
滑るような動きで
実を口に入れていました」
ブラックカラントに関しては
アーシーは基本的に
地面に落ちた実だけを
食べていたそうでございます・・・
「でもああいう時の犬の心理って
どういうものなんでしょうね?
ほら、君は以前雄鶏閣下(故鳥)が
君の後ろでブラックカラントを
盗み食いしていた時、何故か
『しーっ!静かに!』みたいな
態度を取っていた、と
言っていたでしょう?
アーシーも同じで、
果物を盗み食いする時は
懸命にその気配を
消そうとしている様子でした」
わが犬のこの夏の
新たな悪癖でございます。
問題はわが夫が
アーシーのこの態度を
矯正しようとまったく
思っていない点にある気が・・・
いや、可愛いんですよ、
可愛いんですけどさ
しかし果物って犬にとって
そこまで美味しいものなんでしょうか
自分は果物よりも
肉ですね、なあなたも
旬の果物は別格ですから、と
つい頷いてしまったアナタも
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