「こんな人生もありえたのかな」と
自分の人生の「ルートB」みたいなものを
思い巡らすことがたまにあります。
出産を機に会社を辞め、
東京から北海道に引っ越して1年。
生活はだいぶ落ち着いてきたけれど
うまくいかないことがあるたびに
「会社を辞めず、東京にいたら
違ったのかな・・」という思いが
よぎる瞬間があります。
でもすぐに、
「東京にいたところで
うまくいかないことは絶対ある、
自分が選んだ「ルートA」が最適だと
思えるように過ごすしかない!」と
思うのですが。
そんな悶々としたタイミングで
読んだこの一冊は、
「幸せとは何か?」と
問いかけてくるような物語で、
自分にとっての幸せとは何かを
改めて考えさせられました。
桜木紫乃『蛇行する月』は
6人の女性の視点を通して
1人の「しあわせ」な女性の姿が
映し出される物語です。
6人の女性は北海道出身で、
それぞれが人生のままならなさを
抱えて日常を過ごしています。
ブラック企業で消耗する清美、
海の上で不倫にハマるフェリー乗組員の桃子、
夫に逃げられ和菓子店をひとり支える弥生、
結婚式目前にして夫に不信感を持つ美菜恵、
頼れる親も子もおらず、ひとり暮らしの寒さに耐える静江、
看護師としてキャリアを積んできた日々に変化を求める直子。
彼女たちの人生は
華やかなものではないけれど、
「彼女よりはマシだろう」と思う
共通の人物がいました。
それが須賀順子という女性で
順子は高校時代に
国語教師に恋をして
教師の家に突撃して玉砕し、
その後高校卒業後に
勤めた和菓子屋で
親より年上の店主と惹かれ合い、
店主の妻から逃げるように
駆け落ちしたという
強烈なエピソードを残して
北海道からいなくなったのでした。
高校の同級生同士で
集まったときには
自分たちの話題の合間に
必ず順子の話題がのぼり、
自分より「不幸であろう」彼女の行方を
皆んなが気にしていたのでした。
この物語では各編で
6人の女性が順子と連絡を取ったり
会いに行ったりして
彼女のその後の人生を確かめる姿が
描かれています。
順子は東京に住んでいて、
彼女たちは機会を見つけて
会いに行くのですが、
久しぶりに会った順子の
身なりはみすぼらしく老けて見え、
部屋は狭くて寒々しく、
余裕のなさが滲み出ている暮らしぶりで・・。
順子の暮らしや見た目の変化に
彼女たちは絶句してしまいますが
そんな彼女たちの心配をよそに
順子は「幸せ」だと言い切るのです。
順子の言葉に見栄や嘘はなさそうで、
あんな過去があったのに、
こんなに辛そうな暮らしなのに、
なぜ順子は淀みなく「幸せ」だと
言い切れるのか・・と
彼女たちは困惑します。
困惑しながらも
順子の堂々とした姿に
背中を押されたように
彼女たちは自分の人生の
ままならなさと向き合い
これから自分はどうしたいのか
突き詰めて考えるようになるのです。
わたしも彼女たちと同じように
困惑しながら読み進めました。
順子はなぜ「しあわせ」だと
言い切れるのか・・。
読みながら考えましたが、
それは、順子が自分に「足りないもの」や
人生の「ルートB」など
まったく考えていないから
ではないかと思いました。
順子は高校時代から
自分の思いにまっすぐ突き進む
人物として描かれていて、
そんな彼女のまっすぐさに加えて
「逃げてきた自分たちにはこの生活しかない」
というような罪の意識もあるから
「足りないもの」「ルートB」など考えもせず
「目の前にあるものしか見ない」
のではないかと想像しました。
毎日生活を送るのに必死で
他のことを考える余裕がない
というのもあるかもしれませんが・・
順子には「この人生を生きる」という
「覚悟」が感じられて、
そこが「しあわせ」の
根幹ではないかと感じました。
だから、現実に消耗して
「ありえたかもしれない人生」を
思い浮かべながら迷っていた
6人の女性たちには、
彼女のまっすぐな生き様と覚悟が
ものすごく眩しく見えたのでは
ないかと思います。
この物語を読んで、
順子に再会した6人の女性たちと同じく
自分の覚悟の足りなさを突きつけられ、
ハッとさせられました。
「ルートB」を思い描く
エネルギーがあるのなら、
「ルートA」に集中して
がんばんなさいよ!!と
喝を入れられたような
そんな気持ちになったのです。
うだうだ悩むだけでは
現実は変わらない。
カツカツでも幸せだと
胸を張って生きる順子の姿が
読み終わってしばらくしても
強く胸に残った物語でした・・。
2022年は子どもの成長の嬉しさと
お世話する大変さ、
両立がうまくいかない不自由さを
思いっきり味わった一年で
夫婦喧嘩もあり
弱気になることが多かったのですが
そういうものを「覚悟」して
いまの「ルートA」があることの
ありがたさを噛み締めて
過ごしていかなきゃいけないなと
改めて思わされました。
わたしなりに目の前に集中していた
つもりではあったのですが・・
実はそうではなかったのかも。。
目の前にある日常を少し話すと
子どもがインフルエンザにかかり
大変な日々がはじまりそうでして・・
(幸いわたしにはまだうつっていない)
ブログを書き終えスッキリしたので
余計なことを考えずにいまに集中して
乗り越えたいと思います!!
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