工場で何杯も試飲した後、近くの茶畑を見て回った。
機械化が進み、通路も通れないほど全面茶だらけはやはり不自然だ。
これではお茶は本来の味を出せるはずもない。
油かす畑はやがて肥料をやらない協生茶畑に変えてしまおう。
石垣のサトウキビ畑のように半分以上は間引きして野菜畑にするのだ。
野人改め「無茶人」は茶の根元の土壌を調べて回った。
指・・突っ込んだり、手にとって見たり・・
そして・・「キッ!」・・っと、茶屋人を見て問い詰めた。
「本当に・・油カス使った? ここ・・」と・・・鋭く茶屋人に迫ると・・・
「ごめんなさい!・・実は・・」と、あせった茶屋人は白状し始めた。
無茶人の、味の追求に続く土の追及に茶屋人は耐えられなくなったのだ。
「使ったのは2年前までで、それからはお金が・・無くて・・」
「・・・ ・・あ~?・・そう・・なかったの・・オカネ」
目が一瞬・・まっちゃ・・になり、やがて紅茶になった。
そして満面の笑みで・・無茶人は言った。
「でかした茶屋人!! こりゃ宝の山じゃ~!」
「ほ・・ほんとに・・?」
茶屋人の顔は・・日没から夜明けに変った。
これまで誰にも言えず、さぞかし辛かっただろう。
確かに有機栽培を掲げJAS認定を受けたなら肥料を使わないと格好悪い。
しかし茶畑はあり余って困っているから立派に育たなくても生産量としては十分だ。
省エネ転じて福となすと言う言葉通り結果的には良かった。
茶屋人に・・肥料買うお金がなくて本当によかった。
茶屋人のお茶の味は限りなく協生農法の産物の味に近い。
だから前回でも味の違いはわからず、何杯でも抵抗なく飲めた。
しかし茶屋人の細々とした生計の中心は今はこの有機JASマークなのだ。
だから・・・ここだけの話だ。
誰にも・・・言うなよ・・茶屋人の名誉の為に・
