室内は開演前、まだ明るい。
麻沙美、母と叔父の手をしっかりと掴んで。
「…と、言うか~~。」
耀司。
「麻沙美~~。」
麻沙美の目線まで下りて。そして、麻沙美の前に背中を見せて。
「麻沙美~、肩車だ。」
麻沙美、ニッコリと。
「うん。」
そして耀司、立ち上がる。
麻沙美、
「はは。高~~い。」
誓、
「はは。麻沙美ちゃん、良かったね。」
麻沙美、その声に、
「うん。」
晄史、高井戸に、
「疲れたら、代わりますね。」
耀司、晄史にニッコリと、
「おぅ。頼む。はは。」
晄史もニッコリと。
眞鍋、望月に、
「弟に確認してもらったら、ここ、今日は立見席なんですって。でも、指定席もあるらしいんですけど…。ジャンルによって…。」
その声に望月、ゆっくりと頷いて、
「あ~~、う~~ん。…なるほどね~~。…って言うか、私、ライブハウスって、初めて。」
眞鍋もその声ににこやかに、
「はは。そっか~~。」
未だに戸惑っている望月。けれども笑顔の眞鍋の顔を見て微笑みながら…。
眞鍋、そんな望月に、
「ごめんなさいねぇ~~。何も話さないでいて。」
望月、その声に顔を左右に。そして右手を振り、
「あ、いえ…。」
芙美花、父に肩車されている麻沙美を見て叔母に、
「はは。麻沙美がおとうさんに肩車されているなんて初めてじゃない…???」
汐梨、そんな声にニッコリと、
「うん。はは。」
開演まではまだ30分弱、ある。
眞鍋、
「矢島さんに、ライブ見せて欲しいって言ったら今日の事、連絡してくれて、入り口のスタッフに俺の名前言ったらいいよ。って。子供もいるんだけど大丈夫って聞いたら、大丈夫ですって。」
望月、頷きながら…。けれども高井戸を見て、
「……。」
そして…、高井戸の傍のふたりの男女を見て…。
眞鍋、
「それに~~。矢島さんに作曲を頼まれて…。でも…、結局は…、矢島さんのライブを直に見た方が良いって、弟から…。」
望月、眞鍋に、
「弟さんって…。」
眞鍋、その声に、
「弟は…。あ。お嫁さんもそうなんですけど、レコード会社に勤めてるんです。」
いきなり望月、驚いたような顔で、
「レコード会社。」
「あ、はい。」
望月、思わず、
「凄っ。」
望月、
「それに…。」
顔を傾げて、
「高井戸さん…て。」
「ふふ。…そこ、気になるでしょう~~。」
いきなり後ろから汐梨。
望月、いきなり後ろに顔を。
汐梨、
「あん。ごめんなさい。」
望月、その声に、
「あ、いいえ~~。」
誓と晄史。そして麻沙美を肩車している耀司。
その後ろに芙美花と汐梨。その僅か前に睦美と望月の順で並んでいる。
汐梨、するりと望月の右側に。
「睦美さんと~、兄の高井戸耀司、実は~~、付き合っておりますぅ~~、はははは。」
いきなりのその声に望月、女性を見て、瞬きして、
「は…???」
そして、
「え…???…えへ…???」
眞鍋を見て、女性を見て、
「は…???…うそ。マジ…???…ほんと…???」
そう言いながら眞鍋を見て。
睦美、そんな望月にニッコリと微笑んで、
「はい。」
顔をコクリと。
望月、そんな反応に、口に手を、
「えへ~~~。ほんと。うそ。凄い。眞鍋さん、高井戸さんと。」
そして高井戸が肩車している麻沙美を見て、
「麻沙美ちゃんのおじさまと~~。」
眞鍋、ニッコリと。
「はい。」
望月、そして今度は傍にいる高校生らしい女子を見て、
「確か…。高井戸さんの…、娘さん。」
汐梨が、
「そういう事です。」
そして汐梨、
「私が~~、くっつけちゃいました~~。…って言うか~~。晄史さんも、かな~~、はははは。」
望月、またまた驚いたような顔で、
「へぇ~~~。わお。ほんと~~???…凄い。」
瞬きして。
「あ、でも…。…事務局じゃ、そんな話…、全然。」
眞鍋、
「まだ、誰にも話してません。」
汐梨、
「はは。そっか~~。な~~るほどね~~。道理で、何も聞こえてこない。」
望月、コクリと。
「うんうんうん。ですよね~~。だって、麻沙美ちゃんと高井戸さんが来ても、何も…。」
そして、また口に手を。
「え~~ぇえ~~~???」
そして望月、眞鍋を見て、女性を見て、
「じゃあ…、事務局長も、珠里さんや有紀さんも。」
眞鍋、にっこりとして顔を振って、
「知らないです。」
けれども、僅かに顔を顰めた風にして、
「ん~~~。でも、私に、誰か好きな人がいる…???…と、言うのは、感じては、いるようですけど…。」
「…へぇ~~ぇえ~~。」
汐梨、望月の隣で、
「睦美さん。私たちの家族になる人です。はい。」
そして、睦美の左隣にいる芙美花に、
「ねぇ~、芙美花~~。」
その声に芙美花、
「え…???…はは。うん。睦美さん、私のおとうさんと、一緒に。」
睦美の左腕に右腕を回して、
「ね。」
睦美、ニッコリと。
「はははは。」
望月、顔を揺らして、
「何と。」
眞鍋、
「ほんとうは。ライブを見た方が良いって提案してくれたのが耀司さん。それに同じ事を言ったのが弟。」
望月、頷きながら、
「そういう事~~。」

ママでいい…。 vol,274. 「睦美さんと~、兄の高井戸耀司、実は~~、付き合っておりますぅ~~…。」
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