「…ったくもぅ~~。」
恵津子。
「まぁ、確かに。あんたに会うのも、ね。今迄に、そんな、なかったから、あんたの事、あんまり~~。と、言うより…???」
首を傾げるように。
「正直、全然、分かんなかったけど~~。」
そして恵津子、
「前のあんたの事、いろいろとね~~。聞いて歩きましたよ。」
恵津子、両手の平を上げて、
「だ~~って~~。何もあんたの交友関係、情報~~。全くないんですもの~~。姉さんや顕さん…。」
…ここで言う姉さんと言うのが、麻友の母親の坂下凌子(さかしたりょうこ)の事である。
顕(あきら)と言うのは凌子の夫。つまりは麻友の父親。
「…に、聞いても、大学でひとり暮らしを始めた途端に全く家に寄り付かない。まぁ、生きていてくれれば御の字。な~~んて、暢気な事を~~。んじゃ、逆に直弥なら…。」
…と、直弥(なおや)と言うのが麻友の弟の事。
「…と、思えば、今度は、姉貴…???…いや、全然。全く。たま~~に、帰って来る事もあるけど、すぐにまた出てくけど。そんな感じ~~。…で、全く。優紀さんにしてみれば…。」
優紀(ゆき)とは、直弥の妻である。
「直弥、よろしく、全く。朋子…。」
朋子(ともこ)。こちらはそのふたりの娘、長女である。22歳。
「…なら、と思って。夢樹(ゆめき)出版の編集者だから、何かしら…。と、思ったけど、こちらもアウト。無理無理無理。麻友おばちゃん。全然。会う事すらない。ま。正月かおばあちゃんとおじいちゃんの誕生日くらいしか、帰って来ないひとだから。って。」
事実。坂下麻友と言う女性は、ある意味、サバサバとしている女性。
結構…男性からも視線を浴びそうな…。そんな女性でもあり、どこかしら、凛としている女性。
でも、あり。…で、何かしら、「Going my way」的な感じも…、秘めながらも…。
…けれども、母親と父親の誕生日だけは忘れない。
何かしらプレゼントを手に実家にお祝いに駆け付ける。
…そういう女性。
「ね、麻友~~。聞いてるの…???…このまま50よ~~。」
その声に麻友、不敵にラーメンを食べながら、
「…って、ラーメン、伸びちゃうもん。」
恵津子、
「結~~っ局、あんたの履歴、辿るしかなくって~~。…で、何とか、収穫はあったものの~~。…って何…???…しかも、聞くところによると趣味が将棋や麻雀って言うし~~。それに、その趣味の相手も、もぅ~~。結構な年齢の医師ばっかり~~。…って、履歴の趣味の欄に将棋、麻雀って、書いてないんですけど。」
麻友、おかずを食べながら、
「あ、言っておきますけど、出世街道まっしぐらの頭でっかちドクターは興味なし。冗談じゃない。」
左手で、「あっちいけ」ポーズ。
「はいはい。…ってか、履歴の趣味、特技に、女だてらに馬鹿正直に将棋、麻雀なんて書く奴、いるぅ~~???」
恵津子、
「もぅ~~~。あんたを知っている看護師たちからも~~。こんな風に言われたから~~。麻友さん。…の、交友関係~~。ん~~。…あぁ、確か。どちらかと言えばお茶ら気で~~、冗談好きなベテランドクターから可愛がられているようでした~~。それも、かなりのご年代。」
麻友、その話にニコニコと、
「ふふ。美味しいもの、奢ってくれるからね~~。シシシシ。おじさま、大~ぃ好き~~。」
途端に恵津子、ぶすっとした顔して、
「もぅ~~。あんたの年齢で、60や70の年代の男性好きになってどうすんのよ~~。たく~~。折角、耀司を紹介してあげたって言うのに~~。」
麻友、ようやくラーメンを食べ終えて。そして、その他のおかずもパクパクと。そして叔母に、
「ふふ~~ん。ここの職員食堂、中々どうして、美味しいよね。うん。」
そしてまたニッコリ。
その顔に恵津子、
「んもぅ~~~。」
「…って言うか、おばさん。」
口を真一文字に。そして、微笑むように。
そんな顔の麻友に恵津子、ツンとして、
「何よ。」
麻友、
「殊のほか、私の事をいろいろと調べてくれてありがとう。」
「…そ、そりゃ、そうでしょ。何よりあんた、今、45。このまま行ったら~~。」
麻友、またまたニッコリと。
「ふふ~~ん。」
笑顔のままで麻友、顔を傾げながらもニコニコと。
「まね~~。」
今度は顔を上げて、
「まぁ、私、このまま行ったら、ほんとに、50はあっという間。…なんだけど~~。…別に、結婚、焦ってもないから。…って、言うか~~。まぁ…。50になっても、60になっても、もし万が一にでも、そんな男性、目の前に現れたら。その時は。…年齢、関係なく。…って、とこかな~~。」
そして…。僅かに目をキョロキョロと。
「それに…。」
そして今度は目を落として、
「何だね。…もし、仮に。昨日の…。その、高井戸さん…???」
恵津子、
「う、うん。」
「まっ。」
目をギッシリと、瞑って、
「ど~~~しても、私。…って。」

ママでいい…。 vol,227. 「出世街道まっしぐらの頭でっかちドクターは興味なし。冗談じゃない。」
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
