その父の声に芙美花、
「おとうさん。」
「けど。」
耀司。ご飯を一口。
「おまえの場合は。芙美花、おまえの思う通りの気持ちで構わない。おとうさんは、そんな芙美花に、何て言うか、あれはダメ。これはダメ。なんてジャッジはしない。いろんな考え方、気持ち、持っても構わないって、思うから。坂下さん…???…麻友さん。おかあさんとそっくり。おまえの思う通りに、おとうさんはそれでいいし。正しい選択だとも思う。」
そして耀司、
「けど、おとうさんは…。おまえの、芙美花のおかあさん。芙美花を産んでくれたおかあさんとの思い出を大事にしたい。まっ。確かに。祐里子とそっくりな人が師長の従妹だって事は事実だけどね~~。まっ。その人と友達になってくれってったら、ん~~。友達、くらいなら…。っては、思う。…別に、それ以上の、何物でも、ないけどね。」
そんな父を見て芙美花、
「おとうさん。」
静かに、朝食は続く。
食べながらの芙美花を見て耀司、ポツリと。
「ごめんな芙美花。こんな話をして。」
芙美花、僅かに下を向いてご飯を食べながら、
「ううん。」
学校のお昼休み。教室から離れた廊下でひとり、窓の外を眺めながらの芙美花。
そこに景織子と千愛、
「よっ。」
「どしたの。朝から何か浮かない顔だし。お昼、食べてても上の空。何かあった…???」
そんなふたりに芙美花、
「ふ~~ん、ちょっとね~~。」
景織子、
「芙美花のその、ふ~~ん、ちょっとね~~、は、結構ヤバイ奴だって気がするんだけど~~。」
千愛も、
「うんうんうん。」
景織子、芙美花を見て、
「まっ。話したくなったら話してくれたらいい。」
千愛も、
「まっ。そういう事~~。…それに~~。芙美花が話してくれる時って、大概は、あんたが、あんたで気持ちの整理が、着いた時だからさぁ~~。はははは。」
そんな話を聞きながら芙美花、クルリと振り返って、
「私、そんな、強くないよ。」
景織子、芙美花を見て、
「おやおやおや。」
「…ってかさぁ~~。」
芙美花。
千愛、
「うん…???…どしたぁ~~???」
そこに、担任の清水。
すぐさま芙美花、
「あ、先生。」
清水、芙美花に、
「うん…???…芙美花さん…???」
芙美花、僅かに下を向いたままで、
「あのぉ~~。」
学校の渡り廊下で。
景織子と千愛、
「えっ…???」
「うそ。」
清水は、
「へぇ~~。そんな事が。しかも…。」
芙美花、話を進める。
景織子と千愛も、
「あ、あ~~~。芙美花~~。」
清水、
「ふ~~~ん。なるほどね~~。確かに芙美花さん、悩むよね~~。おかあさんとそっくりな人か~~。」
景織子、
「なんか、凄い。」
千愛も、
「うんうんうん。私が芙美花だったら、マジ、学校にも来れない。何か、ドッキン、ドッキンが止まらない。」
清水、
「…で…???…芙美花さんはどうしたいの…???」
芙美花、
「物凄い、頭の中が、それでいっぱいで、夜、眠れなくって。…で、今朝、おとうさんにこの事、話したら。何か、私は私の思うがままに。私の考えに従うって。その人と友達になって、おかあさんのようにその人に甘えてもおとうさんは構わない。それが本当の私の考え、そして気持ちだからって。けど、おとうさんは、その人を友達としてなら、そうなるかもしれないけど、それ以上の何物でもないよって。…って。…おとうさんは死んだおかあさんとの事はおまえとの思い出として大事にしたいから。って。…でも、もし、仮に~~おとうさんが~~。おかあさんと恋人の時に~~。私がまだ生まれてなくって。おとうさんとおかあさんが結婚する前。」
清水、
「うん。」
「そういう時に~、おかあさんがおっきな病気で死んじゃった場合~~。今みたいな事があったら話は別。おとうさんはその人とお付き合いはするだろうねって。」
景織子、
「何か、映画やドラマみたい。」
清水、芙美花に、
「ふ~~ん。」
そう言って目をキョロキョロと。
「なるほどね~~~。」
そして清水、
「ふん。先生には~~。今、小学2年と~~。幼稚園の子供がいます。ふたりとも女の子。」
景織子と千愛、
「うんうんうん。」
「その子たちが~~、今の芙美花さんと同じような状況だったら、もぅ~~。迷わず、ママ~~、に、なっちゃうよね~~。死んだ私とそっくりな人が目の前に現れたんだから。…で、父親にも多分、泣いてすがると思う。ママ、ママ。絶対にママだよ。ママが帰って来た~~って。」
景織子も千愛も、
「あ~~~。」
「でもね。」
清水。
「子供が小学、中学、高校と。段々成長する。その成長に従って、考え方や気持ちだって成長してくるんだよ。勉強して、好きな事して、そうしながらに何かしら、自然に、知らない内に、人と人を見て、考える事を学んでいく。当然、悩んだりする。…でも。まっ。確かに、小さな子供たちにだって悩みって言うのはある。けれども、成長するに連れてその悩みが大きくなる。」

ママでいい…。 vol,225. 「芙美花を産んでくれたおかあさんとの思い出を大事にしたい。」
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