耀司と、芙美花、頭の中で、
「…どう見ても、祐里子…だよな~~。」
「…何か、おかあさん、見てるみたい。…って、どう接していいか…。」
僅かに…、数秒の沈黙。
そして…。宮前から口火を。耀司と芙美花を見ながら、
「…って言うかぁ~~。…まま。一番は…。」
隣の麻友を見て、
「麻友、この人。驚くほどに、祐里ちゃんにそっくり。」
その声に耀司も芙美花も、ドキン。
麻友も一度だけ、瞬き。
宮前、
「それこそ、私なんて、杉並に入ってきた新人の高井戸祐里子って、写真見ていきなりビックリしたほどなんだから~~。うそっ。って。」
耀司、目を真ん丸に。
「え…???…あ。」
芙美花は目をしばたたかせて、
「え…???…へ…???…どういう…。」
宮前、
「あん。芙美花は分かんないかも。つまりは~~、芙美花が産まれる前の事だから~~。」
耀司、
「要は…、俺も祐里子に出会う前の話し。祐里子が看護師、初めての勤務の時。…って言うか~~。その前に宮さん、祐里子の履歴。」
宮前、コクリと。
「えぇ。その時ね。…って、言うか。…だからこそ、今まで一度も、祐里ちゃんにすら、この事は話した事はない。…と、言うか~~。私すら、麻友と会う機会なんて…。まず滅多に。」
麻友を見ながら、
「とにかく、仕事一筋人間だから~~。その甲斐あって。…って言うのも変だけど~~。まずキャリアは充分、申し分なし。ないのはコミュ力と男女関係。…とは言え、患者さんにはもぅ~~。すこぶる人気。…じゃなきゃ~~。…けど、その反面、他の看護師とは、話が…、合わない。常に、仕事の事ばかり。…って言うかぁ~~。」
宮前、いきなり麻友の方に左手を。
「何で私ばっかり喋ってんのよ~~。」
いきなり肩に手をされ、そして話を振られての麻友、
ぎこちなく恵津子を見て、前の親子を見て、
「あ、あ、あ、あ~~。」
そして、クスリと笑顔で。
その瞬間、耀司も芙美花も目を真ん丸に。頭の中で、
「…祐里子。」
「…おかあさん。」
確かに。麻友がクスリと笑った笑顔が、亡き妻、亡き母のニコニコと笑う笑顔、そのものだった。
麻友、笑顔のままで、深くお辞儀をしながら、
「よろしく、お願い致します。」
顔を戻しても笑顔のままで。
思わず顔が綻ぶ耀司と芙美花。
芙美花、頭の中で、
「…あ~~~。おかあさ~~ん。」
宮前もニコニコと。
「まっ。そんな訳で。…って言うか、私と耀司と芙美花の間柄。私からのお願いが、利けないというのは…。」
耀司を見て。
耀司、いきなり右手をヒラヒラと。
「いやいやいや。そんな…、滅相な…。はい。お世話になりっぱなしで。」
「…と、言う事で~~。はい。ふたりとも、スマホ。」
その声に耀司と芙美花、
「あ。」
「え。」
宮前、
「あん。つまりは、ライン。…って言うか~~。」
麻友を見て、
「前に、耀司の電話番号はメモに書いて渡してはおいたんだけど~~。」
耀司、いきなり、
「えっ…???…うそ。」
「どうせ、この人の事だから~~。電話なんて、してこなかったでしょ~~???」
耀司、目を斜め上に、何かしら思い出すように、そして顔を傾げて、
「…ん…???…あ。はい…???」
宮前、
「な~~んか、この人ね~~。最近、何故か上の空って事、多いのよ~~。まっ。仕事の事で上の空。なら良いんだけど~~。それ以外に…???…って言うのが耀司、ホラ、スーパーで耀司とバッタリ遭った時から。」
その声に瞬間、耀司、
「はっ…???」
芙美花はいきなり、
「おとうさん…???」
耀司、芙美花に、
「えっ…???…あ。…って。」
何とか思い出すように、
「え…と…。…ん…???」
両目をキョロキョロと。数秒…。そして、目を丸く、
「あ、あ、あ~~~。はいはいはい。あん時~~。」
芙美花に、
「ほらほらほら。マヨネーズ切れそうになってスーパーに。」
芙美花、右目を歪めて、
「マヨネーズ…???…スーパー???」
芙美花も思い出そう…。
「あ。うんうんうん。あった、あった。」
宮前、
「あの時から、みたいなのよ~~。な~~んか、この人、妙に上の空みたいな…。」
そして宮前、
「だから、はいはい。ふたりとも、スマホ。」
耀司、
「あ。」
椅子から立ち上がり。僅かに上体を前に、そして右手を前に、
「ちょっと待って下さいね。」
芙美花はスウェットパンツのポケットからスマホをテーブルの上に。
耀司、部屋に戻って、そしてリビングに、
「お待たせ。」
宮前、麻友にも、
「麻~~友っ。あんたもよ。」
目をパチクリとさせながらの麻友、仕方なさそうにバッグから自分のスマホを。
ふたりを見て微笑みながら。
耀司と芙美花、またまた頭の中で、
「…祐里子~~。」
「…おかあさん。」
宮前、ふたりに、
「はいはい。ライン。」
芙美花、
「あ、はい。」
耀司、
「おっと。」
宮前、麻友のスマホを持って。耀司と芙美花のラインのバーコードの上に。そして、
「はい、OK~~。あん。取り合えず、今後、共によろしく。と、言う事で~~。」

ママでいい…。 vol,213. 「ないのはコミュ力と男女関係。」
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