「ないです。」
芙美花。
その声に宮前、
「えっ…???」
そして耀司を見て、また芙美花を見て、
「ないです。…って、それ…。どういう…???」
芙美花、体を縮こまらせながらも、
「じ、実は…。」
耀司、恐縮しながらも、そして頭を掻きながら宮前に、
「へへ。実はね師長。」
宮前、耀司を見て、
「うん…???」
「祐里子がさ、亡くなったでしょ。」
宮前、コクリと。
「うん。」
耀司、
「まぁ…。それからとはいうもの、ほら。俺って家事一切だめ。仮にやったとしても、滅茶苦茶で怒られる。」
瞬間麻友、眉間に皺を。そして僅かに顔を傾げて…。
宮前は即、
「うんうん。」
今度は麻友、恵津子を見て眉間に皺を。
耀司、
「…でね。祐里子が亡くなった後は、もぅ…。必然的に…。」
芙美花を見て、
「芙美花が家事を。…って言うか。…そうなってしまう。」
宮前、その話にもコクリと。
「うんうんうん。そうなっちゃうよね~~。」
麻友、またまた恵津子に眉間に皺を。
耀司、口をおちょぼにしながらも、
「…でぇ~~。この1年は~~。芙美花が家事全般。」
宮前、またまた、
「うんうんうん。そうなる。…って言うか~~。」
今度は宮前、麻友に。
「この人ね。高井戸耀司。家事は一切ダメ。ダメダメのダメ人間。」
その声に麻友、目を見開いて。
「耀司が自分でも言うように、料理なんてさせたらキッチンは大戦争、何がどうなっているのか。…でぇ、掃除、洗濯、全くダメ。洗濯物の畳み方なんてまずどうしようもない。…って言うかぁ~~。元々耀司の実家が男子台所に入るべからず。の家系。一切家事は実家のおかあさんの取り仕切。男はすっこんでな。と、言う家系。だからって言うか、耀司自体、家事なんて子供の頃からやってきてない。即ち、出来るはずがない。…なんだけど~~。何故か、どういう訳か~~。亡くなった祐里ちゃん。高井戸祐里子。旧姓、宇喜多祐里子。岡山出身。この家事出来ない人間をトコトン好きになった。耀司は仕事に専念。私が家事するから。って。でぇ~~。ふたりは結婚。そして。」
芙美花に両手を。
「この子、芙美花が誕生。…でぇ~~。この子がまた凄い。とにかく祐里ちゃん、手塩に育てた娘。…って、言うか、手塩に育ててないかぁ~~。ねっ。芙美花~~。かかかか。」
話を聞きながら芙美花、ニコニコと恐縮しながらも。
宮前、
「芙美花の場合、もぅ、自分から進んで祐里ちゃんに付き纏ってたからね~~。2歳で家事のお手伝い。自分から進んでね~~。でぇ、5歳ではもぅ、しっかりと、一般家庭の料理は作れて当たり前状態。」
宮前続ける。
「…てな訳で~~。芙美花が小学生時代にはもぅ~~、祐里ちゃん、芙美花いるからおかあさん、夜勤するねぇ~~って。」
麻友、恵津子を見て、
「小学生で…???」
宮前、麻友に目をパチクリと、
「そうよ。凄いでしょ。それに。夜にはしっかりと。」
後ろに体を反転させて、
「バセットいるし~~。ねぇ、バセット~~。とにかく、このバセットが賢い。まっ。玄関はしっかりと施錠してあるから~~。でぇ~~。もし仮に~~。庭になんて不審者が入って来たら~~。物凄い声で吠える。吠える、吠え捲る~~。…でぇ~~。その吠えに驚いて不審者は逃げると。とにかく、尋常じゃない吠え方するから。…ってか、ご近所さんにも聞こえるわな。」
耀司、コクリと。
「その通りで。」
宮前、
「いつだったか、余りのバセットの吠える声に驚いて近所のおじさんが、玄関のチャイムを押して、大丈夫かい。ってねぇ~~。芙美花~~。」
芙美花、照れるようにして、
「あ、はい。」
耀司、芙美花を見て、
「確かに。そんな時もあったな~~。俺だって、祐里子が夜勤の時に、深夜に大声で吠えられて、バセットのところに。そしたら庭の枝が揺れて、遠くから、痛って~~って。はははは。バセット、ナイスってね~~。」
宮前、
「そういう家庭が高井戸家。…でぇ~~。どういう訳…???」
ふたりを見て、
「さっきの芙美花の、ないです。ってのは。」
耀司、
「要は…、今、汐梨がウチの家事、やってくれてんの。俺の妹。」
瞬間、宮前、目を真ん丸に、
「はっ…???」
「…って言うか~~。ほら。芙美花、高2で修学旅行~~。…でぇ~~。祐里子、亡くなってからとはいうもの、芙美花が家の家事全般。しかも、友達との交流も削って。まっ。芙美花が好きでやっている事だから~~。俺はとにかく仕事に専念。…と、言うか、俺、リモートになっちゃったから、芙美花、家に朝から晩までいる父親がいるほうがよっぽど助かるし、嬉しいって。」
宮前、
「ま、まぁ~~。確かに。」
芙美花を見ながら、
「芙美花にしてみれば。」
「けど…。」
耀司。
「修学旅行、3泊4日。家の事が心配。…と言う事で。とどのつまりが、妹が家事をする事に。」
いきなり宮前、
「うっそ~~~~。」

ママでいい…。 vol,210. 「家事は一切ダメ。ダメダメのダメ人間。」
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