それから、数日後の事だった。
夕方、高井戸家のチャイムが…。
汐梨は仕事で遅くなると。耀司は麻沙美を保育園から連れて来て自室で仕事中。
麻沙美はいつものようにバセットに凭れ乍ら。
キッチンには芙美花が。芙美花がモニターに出る。
その途端、瞬く目。
「宮さん。」
そして、
「は~~い。開いてます~~。どうぞ~~~。」
芙美花、頭の中で、
「…何ヶ月ぶり…???」
高井戸家の玄関には、宮前。そして…、もうひとり。
宮前、
「はははは。芙美花~~。」
そして、もうひとりの…に、
「耀司の一人娘。芙美花って言うの。」
芙美花、キッチンから出て、父の部屋に向かって、
「おとうさ~~ん、宮さ~~ん。」
その声に部屋で耀司、
「はっ…???…宮さん。…って、師長~~???」
ドアを開けて宮前。
「お邪魔しま~~す。」
そして、その後ろから、
「入って、いいの…???」
宮前、
「あ、いいの、いいの、うん。どうぞ、どうぞ。」
芙美花、玄関に。そして、
「あは。宮さ~~ん。」
宮前、芙美花にニコニコと、
「芙美花~~。元気だったぁ~~。ははははは。久し振り~~。」
芙美花に抱き着く。
芙美花もニコニコと、
「うん。ははははは。久し振り~~。」
と、目の前にいる女性を見て、瞬間、
「!!!」
そして、
「おかあさん。」
既に鼓動が…。そして芙美花、いきなり顔を小刻みに左右に。
「うそ。おかあさん…???」
女性、そんな女子にニッコリと。
「こんにちは。」
宮前、芙美花を抱き締めながら、
「お邪魔するわね~~。祐里ちゃんにお線香~~。」
芙美花、リビングに入って宮前と離れて。
一緒に来た女性も、丁寧にお辞儀をして、
「お邪魔します。」
部屋から出て来た耀司、リビングに。
「おっと、師長~~。…って。え…???」
宮前と一緒にいる女性を見て、
「……。」
宮前と女性、祐里子の祭壇に正座をして、ひとりひとり、線香を。
女性、祭壇の写真を見て、ドキン。
そして…。両手を合わせるふたり。
耀司、黙って立ったままでふたりを。けれども、絨毯に腰を下ろして正座して、お辞儀をして、
「ありがとうございます。」
芙美花はキッチンの前に立ち尽くして、父と同じように、お辞儀をして、
「ありがとうございます。」
そして宮前、祭壇からクルリと体を。
「さてと。」
そのまま立ち上がり、女性を進めるようにリビングのテーブルに。
ポカ~~ンとしている女の子に宮前、
「こんにちは~~。麻沙美ちゃんだっけ~~。おっきくなって~~。」
麻沙美、まだまだポカ~~ンと、しながらも、
「こんにちは~~。」
宮前、そして、バセットにも、近づいて頭を撫でて、
「バセット~~。ははは。元気してる~~。」
バセット、その声に応えるように、
「ワン。」
そして、宮前の右手を優しく舐める。
宮前、そんなバセットに、笑顔で、
「うんうんうん。」
キッチンの傍で茫然と立ち尽くしている芙美花に宮前。
「ははは。芙美花~~。何、立ちっぱなしで~~。ははは。座って~~。」
そして、
「耀司も~~。」
そう言われて耀司、
「あ、あ~~~。」
芙美花、目をパチクリとさせながら、ゆるゆると椅子に。頭の中で、
「…おかあさん…???」
僅かに瞼は熱く。
耀司、ようやく我が身に戻ったように。
「い、いきなりだから、びっくり~~~。」
その声に宮前も、
「うんうんうん。ごめんね~~。驚かせて~~。」
そして宮前、降り向いてバセットの方を見て、
「バセット、元気で何より。」
耀司、その声に、ニコニコと、
「え、え~~~。」
いきなり芙美花、ようやく我に返ったように、
「あ、ごめんなさい。」
すぐさま椅子から立ち上がり、
「お茶。宮さん、コーヒーで。」
宮前、
「あん。芙美花~~。いいよ、いいよ、お構いなく~~。」
芙美花、そのままキッチンに。
宮前、耀司と芙美花に、
「ごめんね~~。中々、来れなくって~~。」
その声に耀司、右手を振って、
「いえいえ。師長、病院、忙しいから、当然。」
芙美花も、コーヒーを淹れながら、
「うんうん。」
宮前、耀司に、
「あ。でも、耀司。」
耀司、瞬きをして、
「うん…???」
宮前、目だけ僅かに後ろの方に。
「麻沙美ちゃん、どうして…???」
耀司、思わず、
「あ、あ~~。はははは。はぁ~~。実は~~。…妹に、頼まれちゃって~~。」
その声に宮前、
「へっ…???」
耀司、恐縮しながら、
「今、俺…。仕事、リモートで…。」
瞬間、宮前、両手をパン。
「あ、そっか~~。うんうんうん。コロナでね~~。そう言えば…。うんうんうん。家で仕事~~。確かに。保育園、近いって言ってたもんね~~。」
そして宮前、隣の女性にも、
「汐梨さん。この子のおかあさん。つまりは耀司の妹。近くに旦那さんと住んでるのよ。」
女性、その声に静かに頷く。
芙美花、コーヒーを淹れながら、頭の中で、
「…何…???…おかあさんとそっくりなんですけど…。こういうの世の中で、あり…???」
宮前、耀司に、そして芙美花に、
「あ。ごめんね。紹介遅れて~~。」
そして、女性に手を。
「この人。私の従妹の坂下麻友(さかしたまゆ)。」
ニコニコと。

ママでいい…。 vol,208. 芙美花、その途端、瞬く目。「宮さん。」
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