「まっ。」
汐梨。
「当日は、多分、その大手製薬メーカーの両親の出席はなしで、執り行う事になるとは思う。本位ではないけどね~~。」
耀司、その声に、
「何でよ。」
「つまりは~~。彼女、新婦さん。誕生日が1月15日。」
いきなり耀司、
「うそ~~~。」
「そう。以前で言えば、成人の日~~。」
耀司、目を真ん丸に、
「何と。」
「そんな。娘の誕生日に結婚式よ~~。それに出席しない両親っている~~???…しかも、大手の製薬会社の社長さんだよ~~。」
耀司、
「いやいやいや。何々何。…って言うか、何ともまぁ~~。拗れてるよね~~。」
その声に汐梨、
「そうなの。ん~~。最初はね。ふたりからこの度、結婚する事になりましたって。まぁ、どこでウチのセレモニー、知ったのかは知らないけど。まっ。後で知った事でもあるんだけど~~。話を聞きながらに、うそって。新婦の両親が未だに結婚を反対…???…なんじゃそりゃって。」
耀司、顔をコクリと。
「まま。うん。」
「なんだけど~~。ふたりの話しを聞いている内に、何かねぇ~~。逆にこっちが、んじゃ、やってやろうじゃないのよ。って。物凄い素敵なふたり。いやいやいや。見事なカップルだわ、あれは。」
「へぇ~~~。」
「…んな訳で~~。ありがと、兄さん。」
「いや。俺に礼を言われても、実際にピアノ弾くのは睦美さんだし。」
汐梨、
「あん。でも、兄さんが睦美さんと知り合わなかったら、この話、上手く行かずに、ズルズルと~~。に、なってたかも~~。」
耀司、スマホに。
「…ってかさ。何で結婚式にピアノの生演奏…???」
「あん。それは簡単。新婦の彼女さん。大手製薬メーカーのご令嬢。」
「うん。」
「でぇ~~。何て言うのかな~~。まま、お嬢様育ち~~。でぇ~~。小さい頃から両親から連れられての観劇やら、リサイタルやら。でぇ~~。自然に、生の演奏を聴くのが好き~~ってね~~。だから~、結婚式には~~。生のピアノ演奏。」
「な~~るほどね~~。」
「まっ。でもね。最初っから、そのプランはなかったの。」
「えっ…???」
「結婚を許してくれただけでもご令嬢は御の字。我儘は言ってられないって。…って言うか~~。そもそも、1月の結婚式って、どこもかしこも新年で、あれやこれやと忙しい。」
耀司、下唇をビロンと。
「確かに。」
「出席してくれる人たちも、もぅ~~、ほんと。数える程度。なんせ、ご令嬢の父親が未だに。だもん。そんな結婚式に出席してみなさ~~い。後々、何が起こるか~~。」
「いやいやいや。恐ぇな~~。」
「だから~~。最初は、ほんと、こじんまりとした結婚式でいいってなったの。」
「うん。」
「なんだ、けど~~。そこに待ったが入った。」
耀司、右目を歪めて、
「はっ…???」
汐梨、
「かかかかか。次男坊の父親、老舗そば屋の主人が、…ってやんでぃ、どうせやるんなら、堂々とやりなって。俺はおめぇさんを信用する。おめぇさんって、新婦のご令嬢ね。」
「ほほぅ~~。」
「おめぇさん、肝が据わっとる。あんだけよ~~。通われちゃあ、こっちだって、そりゃあ、落ちるわ。しかも、全く諦めねぇ。こんな、どこにでもいるようなクソガキを、そりゃあ、何、3年も、諦めずに。慕ってくれてよ~~。おめぇさんの親御さんが何言おうがこっちゃ~~、関係ねぇ。今の世の中、親が反対しても結婚するもんは結婚する。時代は変わったさ。…んなもん、やりたいようにやりゃあねぇ。俺はとにかく、見させてもらうよ。冥途の土産だ~~ね。だってさ。新郎の彼が言うんだけどね。」
耀司、口を開けて、
「はぁ~~~。かかかか。や~~るねぇ~~。そのそば屋の主人。」
「うん。」
汐梨。
「まっ。話は長くなったけど。とにかくありがと。睦美さんによろしく言っといて。明後日、私、迎えに行くから。」
耀司、コクリと。
「おぅ。」
通話は切れる。そして。
「さ~~てと~~。」
再びラインから画面に指をトン。
「はい。睦美です。」
耀司、
「あ、僕です。」
睦美、ニッコリと、
「はい。」
「はいはいはい。入って~~。」
汐梨。お客様を迎い入れるように。
耀司も、
「どうぞ、どうぞ。」
麻沙美が玄関までお迎え。
睦美、初めてのお宅に、
「お邪魔しま~~す。」
勝臣も玄関に。笑顔で、
「どうぞ~~。いらっしゃいませ~~。」
睦美、恐縮しながら、
「すみませ~~ん。お邪魔しま~~す。」
汐梨、睦美、耀司、芙美花の順に。リビングに入って。
睦美、
「わぁ。凄い。アップライトピアノ。」
汐梨、
「ははは。ん~~。もぅ~。古いんだけどね。30年以上…???」
そして汐梨、睦美に。
「あ。一応、調律は問題なし。年季は入っているけど、その辺はぬかりなしで。年に1度は。しっかりと。」
耀司、
「へぇ~~。さすが。」

ママでいい…。 vol,191. 「彼女、新婦さん。誕生日が1月15日。」
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