「つまりは。」
汐梨。
「いつの間にか、好きになっている。まっ。一言、恋愛って言っても、いろんな形があるから。最初のインスピレーションで、この人だ。…って~~感じちゃう人もいれば~~。知り合いや友達から紹介されて~~。どうかな…???感覚で付き合ってみたり。ひょんな偶然で、あ。あの時の。…でぇ~~。食事でも…???…で、始まるパターンも。いろいろあんのよぉ~。」
耀司、汐梨に、
「だから。俺に睦美さんには恋愛感情ないって~~。」
汐梨、サラリと。
「その内、来るんじゃない~~???…その時が来れば、機が熟すって言うじゃない。」
「…ってぇ~~。」
耀司。
「来なかったら~~。」
間髪入れずに汐梨、
「来るよ。」
「何で~~。」
「兄さん。」
汐梨。
「今、兄さん、何で~~。来なかったら~~って、言ったよね。」
耀司、目をパチクリと。
「あ、あ~~。うん。言ったけど。」
「つまりは~~。兄さん。もぅ、知らず知らずの内に、意識は、してるって事。」
耀司、いきなり、
「はい…???」
クスクスと笑いながら汐梨。
「大~~~い丈夫だって~~。」
今度は耀司から、
「何が大丈夫なんだよ。」
「だ~~って~~。もぅ兄さん、睦美さんとは何でもかんでも話、出来てるし~~。しかも、コンサートまで行って~~。それに眞鍋家にまで招待。それに、ここにまで。…でぇ~~。食事まで~~。兄さんを迷惑と思っている人が、ここにまで来る…???…しかも。しかもよ、自分のトラウマだった犬から噛まれたの。そんなトラウマ、克服してんのよ~~。」
耀司、ぶすっとした顔で、
「い。いや…。そんな事、言われても。…ってか、そもそも、それは~~。ほら。晄史さんと~~。その、友達になったから~~???」
瞬間、汐梨。思わずフィンガースナップ。
「あ、そっか。」
汐梨、瞳だけを右左に。口を噤んで。左人差し指を鼻の下に。そして頷いて、
「ふふ~~ん。…そういう事~~。」
耀司、
「何がそういう事だよ。」
汐梨、頷きながらも、
「うんうんうん。そういう事~~。つまりは。晄史さんも~~。私と同じ事、考えてるって事。」
いきなり耀司、
「は・あ…???」
「じゃないと、説明つかないのよ。」
「何でよ。」
汐梨、クスクスと。
「だ~~って~~。兄さんと友達になったって言うんなら、何で晄史さんひとりで兄さんと会えばいいでしょうよ。でも、晄史さんはそういう事はしない。いっつも睦美さんを連れて。そして、誓さんも連れて。まっ。誓さんも連れてって言うのは、それだけご夫婦、仲が良いって事なんだけど~~。…そんな…、引っ込み思案なお姉さんの睦美さんまで一緒に…???…って、それ、普通、有り得ないでしょ。…しかも、それにはまず間違いなく、睦美さんも着いて来る。」
一拍置いて汐梨、
「つまりは、晄史さんも~~。自分のお姉さんの睦美さん、兄さんとなら、どうかな~~って~~。」
耀司、途端に、有り得なさそうな顔をして、
「いやいやいやいや。」
顔を左右に、
「それはないねぇ。」
いきなり汐梨、
「何で、そう言い切れる…???」
「いや。言い切れるって、言われても。」
ぶすっとした顔で耀司。
汐梨、
「まっ。私の想像でもあるけどね~~。…でも。今、兄さんが言ったように、それはないねぇ。が、実は、有り得るってなったら…???」
耀司、半ば、馬鹿にしたような顔で、
「…んな…。都合よく、そんな…。」
汐梨、口を尖らせて、
「その、都合よくが、都合よく有り得るってなる時もあんのよ~~。」
そして。
「まま。どうなるかは…。とにかく、これから。私の、この、ある意味、当てずっぽうな…。…って言うかぁ。予感みたいなものが、もし仮に、ヒットになったとしたら~~。御の字。つまり、兄さんも、睦美さんも、そんなつもりは全くないんだ、けど~~。いつの間にか、そんな風になっている。てぇ~~、事~~。」
にやけた顔をして耀司、
「…んな、都合よく~~。」
「…って言うか。」
汐梨。
「本人同士はそんなつもりはないにしても、周りからそう…、自然に、そうさせられている。…って言うのも、ひとつの、恋愛の対象でもあるからね~~。そういう人たちが、正に、結婚。なんて事、あるんだから~~。恋愛に正解はない。100の恋愛があれば、1000の恋愛の形もある。」
またまたにやけた顔をして耀司、
「そんなもんですかね~~。」
汐梨、
「一言言っておく~~。さっき、私が言ったように~~。もし、睦美さんを意識、しないんなら、私、ここにはもぅ来ないから。つまりは、芙美花、またまた家事に逆戻り~~。」
その声に耀司、
「そんな~~。」
「いやいやいや。それもこれも、つまりは兄さんが悪いんだから~~。その煮え切らない性分~~。」
「いや。…って言うか~~。」
「芙美花に、怒られるぞぉ~~。…その代わり、私からこの事は芙美花には言いませ~~ん。」

ママでいい…。 vol,148. 「兄さん。もぅ、知らず知らずの内に、意識は、してるって事。」
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