耀司、睦美に、
「珍しいんだよ。」
その声に睦美、
「え…???」
高井戸を見て。
汐梨も、
「うんうんうん。確かに。バセット、私たちの匂いはもう。…けど、睦美さんの匂いは…。」
芙美花、
「あ。でも…、この前の…、晄史さんの時はバセット、特に何も…。」
耀司、
「あ、そう言えば…。」
顔を傾げて、
「何かしら…、犬にも、あるのかな~~。分かんないけど…。」
そして耀司、
「でも、睦美さん、安心だよ。そんな風に誰かも分かんないのにそういう仕草をするのって、バセット、何かしら、甘えたい証拠だから。」
睦美、
「え、え~~。」
すると睦美、自然にバセットの頭に右手を。頭を撫でて…。
するとバセット、嬉しいような顔をして、
「クゥ~~ン。」
また睦美の右大腿を顔で撫でてくるりと体の向きを変えて、自分の定位置に。
汐梨、バセットを見て、
「へぇ~~ぇえ~~。」
耀司も、
「どうやら、睦美さん。」
睦美を見て、
「バセットから気に入られたみたい。」
その声に睦美、
「えっ…???…本当…???」
耀司、ニッコリと、
「う~~ん。じゃないと、あんな仕草はしないよ。」
芙美花、
「だ~~ね。」
麻沙美、ナポリタンを食べ終えて、すぐさまバセットに。
「はは、バセット~~。」
バセット、麻沙美のホッペタを舌でペロペロと。
「はは。くすぐった~~い~~。」
耀司、
「とにかくこれで、一安心って感じかな…???」
その声に汐梨と芙美花、
「ふふ。」
「うん。」
睦美、強張っていた体が…。何かしら、解れて行くような。自然に力が…。
そして…、次第に目が潤み、涙が頬を伝って…。瞬間、鼻をシュンと。
「あ。私…。」
耀司、睦美のそんな涙を見て、
「おや。」
汐梨は、微笑みながら、
「うん。」
睦美、思わず頬を手で…。
「私…。」
顔をコクリと。
「ご、ごめんなさい。食事の最中に。」
汐梨、ゆっくりと瞬きをして、
「ううん。いいのよ~~。はは。頑張った~~。」
耀司、
「これで…。クリア…、かな~~~。」
高井戸家の玄関で。
芙美花と麻沙美の間にはバセット。
芙美花、バセットに、
「ほら、バセット~~。おやすみなさいって~~。」
睦美、バセットまで腰を落として、
「おやすみ。」
バセット、そんな女性に一歩、二歩近づいて右前足を。
睦美、その右前足を左手で。するとバセット、上体を起こして女性に抱き着くように。
睦美、思わず、
「わぁ~~。はははは。」
耀司、
「おやおや。」
汐梨も、
「はははは。」
芙美花、
「凄~~~い。」
僅かに2秒程度だったが、バセットのハグ。
そしてバセット、体を戻して再び芙美花の右脚にまとわりつくように。
芙美花、バセットに、
「バセット、さっすが~~。」
バセットの頭を撫でる。
耀司、
「こりゃ、完璧だね~~。はははは。」
睦美、丁寧に頭を下げて、
「ご馳走様でした。」
汐梨、
「またいらっしゃい。…って言うか~~。」
芙美花、バセット、麻沙美、耀司を見て、
「ここには、私たちしか、いないから。…と言っても、私と麻沙美は別だけど、いつでもどうぞ~~。」
その声に睦美、思わず顔を赤らめて。
「あ、はい。」
けれども、
「あ、でも…。」
ひとりひとりを見ながら、
「ご迷惑じゃ…。」
間髪入れずに、
「ないないない。迷惑だなんて、はは。そんなの全然。」
芙美花。
「一番喜んでいるのはおとうさんかも。」
いきなり芙美花を見て耀司、
「はい~~???」
芙美花、父にニコリと、
「ははははは。」
そして、
「あ。じゃあ~~。私、眞鍋さん、送ってくよ。」
耀司、
「おぅ。」
いきなり汐梨、両手をパン。
「あ、それなら、私、車で駅まで。」
耀司、
「あ。その手が。」
睦美、
「あ、でも、そんな…。」
汐梨、右手をヒラヒラと、
「いいの、いいの。そろそろ帰んなきゃって。麻沙美ももうすぐ、寝る時間だから。」
耀司、睦美に、
「甘えてください。」
既に汐梨は帰る準備を。
「はいはい、麻沙美~~。お姉さんと一緒に帰るよ~~。」
麻沙美、
「うん。」
耀司も芙美花も外に。そして…、3人を見送りながら…。
車の中で睦美、
「高井戸さん、歩き方…。松葉杖でも上手に。」
その声に汐梨、
「うん。もぅ…大丈夫だろうって本人も。足首回しても前と変わらないし。…けど、用心には用心を。名前が、耀司だからね。高井戸耀司ん。」
睦美、助手席で、
「たかいどようじ…。ようじ。…あ、そっか。ようじだから、ようじん。」
思わず、
「ぷっ。」
汐梨、チラリと睦美を見て変顔、
「かかかか。何、真に受けてんのよ。ダジャレよダジャレ。」
クスクスと笑いながら睦美、
「ははは。すみません。」
そして…。
「はい、着いた~~。」
睦美、木守に、
「本当にありがとうございました。そして…。」
頭をコクリと。
「ご馳走様でした。」
運転席から汐梨、
「うんうんうん。ふふ。気を付けて。」
睦美、ニッコリと。
「はい。」
「また、遊びに来て。絶対よ。ホント。私たちしか、いないんだから。ねっ。」
睦美、ニコニコと。
「あ、はい。うん。ありがとうございます。」
汐梨、左手をヒラヒラと。
「うんうんうん。じゃ、おやすみ。」

ママでいい…。 vol,129. 耀司、睦美に、「珍しいんだよ。」
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