晄史、「姉さん、子供の頃に、犬に嚙まれたんです。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

ドキドキ 耀司、芙美花を見て、
「うん…???」

芙美花、口を噤んだままで…。
数秒の沈黙。

晄史、高井戸に、
「あ、あのぉ~~。」

バセットは見知らぬ男性の近くを通ってまた自分の指定席に。

その犬を見て晄史、高井戸に、
「実は…。姉さん。」

耀司、晄史に、
「うん…???」

晄史、
「姉さん、子供の頃に、犬に嚙まれたんです。」

瞬間、耀司、芙美花、
「えっ…???」

晄史、犬を見ながら、
「僕はまだ、小さくって、記憶はないんですけど…。」

耀司、怪訝そうな顔で晄史を見ながら、
「犬に噛まれた。」

その声に晄史、頷いて、
「えぇ。」

芙美花、
「そんな…。」

晄史、顔を落として、
「かあさんの話しだと、この辺。」
左腕、肘の近くに右手を。
「ガブリと。…夏の時期、姉さんは、ショートパンツにTシャツ。犬に後ろから噛まれたようです。」

芙美花、また、
「そ、そんな…。」

「多分、野良犬…。」

耀司、そして晄史に、
「それから…、睦美さん。」

晄史、
「かあさん、その時、僕を背中に負ぶって、そして姉さんを抱き抱えて、とにかく走って、誰かに、助けてって。ようやく近くの人を見つけて救急車を…。」

芙美花、小さな声で、
「こわ…。」

耀司、
「もしかして…。狂犬病…。」

晄史、
「すぐに病院に…。」

耀司、頷きながら、
「うんうんうん。」

「幸い、噛まれたすぐ後で…、しかも、すぐに病院に。との事で、医者が手当を。…あと、数時間も遅かったら、取り返しが付かなかったかもと…。」

耀司、ホッとしたような顔で…、
「おぉ~~。」

晄史、
「でも…。その後も、姉さん、高熱で…。」

耀司、また頷きながら、
「うんうんうん。」

芙美花、
「狂犬病って、名前は聞いたこと…。」

耀司、チラリと芙美花を見て、
「あぁ。日本じゃ、昔の事だけど、凄い危険な病気。」

芙美花、
「今はそんな…。」

耀司、
「あぁ。時代じゃない。」

晄史、
「ねえさん。未だに左腕には…。」

耀司、晄史を見て、
「その時、噛まれた傷…。」

「えぇ。…薄~~くは、なってますけど…。…だから…。あれ以来…。犬は…、本人が、確実に、シャットアウト。」



睦美はただ黙って歩いていた。左手には花束を…。
時折、さっきの光景が…。高井戸家のリビングに入った時点での、犬。
見た瞬間だった、意識より、体がすぐさま反応していた。
睦美、歩きながらもガッシリと目を瞑って。顔を小刻みに揺らして。
そして今度は大きく深呼吸。
「ハァ~~~。」
そして…、左手を顔に。その繰り返しだった。


そして…。
「あ~~ん。…どうしよ。」






耀司、
「…って言う事は…。トラウマかぁ~~~。」

晄史、また顔を犬の方に。
「だから姉さん、小さい頃から、とにかく犬を見ると。とにかく誰かの後ろに。…そして、逃げるんです。…だから…、小さい頃から、とにかく、犬…、以外に、猫でも…。」

芙美花、思わず、
「えっ…???…猫でも…。」

耀司、
「同じ、四つ足。」

「あ、あ~~。」

晄史、
「まっ、けど…。猫の方は…。何とか…。友達の家で猫を。」

耀司、コクリと、
「うん。」

「猫の子が産まれたって。…で、ちっちゃな猫に手を。そうしたら、子猫も手を差し出して、姉さんの手を撫でるように。…何とか、それで猫は克服できたと。」

耀司、
「そっかぁ~~~。」
バセットを見て。
「バセットは、中型犬。」

晄史、高井戸を見て、そして犬を見て、
「バセットと言うんですか…???」

芙美花、
「うん。」
バセットに近づいて、そして、バセットの頭を撫でて、体を撫でて。

バセット、芙美花の腕に頬釣りするように…。
「ウチの家族。」

耀司、
「とにかくおとなしい。…けど、こと、不審者には確実に吠える。はは。前ね。ウチのブロック塀を乗り越えてきた不審者がいたんですけど、いきなりバセットが吠えて。物凄い吠え方だったらしくって、その不審者も驚いて、またブロック塀をよじ登って逃げてった。…な~~んて事がありましたね。かかかかか。ウチの用心棒でもあります。」

芙美花、バセットを抱くように、
「バセットは強いもんね~~。」

バセット、芙美花の右方を舐めながら…。

晄史、話を聞いて、
「へぇ~~~。凄いですよね~~。」

耀司、
「人には懐くし、しかも、おとなしい。麻沙美なんて、ウチ来たら、必ずバセットに背中を凭れるように絵本、見てますから。バセットも麻沙美が好きですからね~~。そして、そそは一切しない。必ず自分の定位置で。」
そこまで言って、
「ただ。」
顔を傾げて、
「ん~~~。どうだろうかね~~。いきなりバセットを見た人は、おっきぃ~~って、思うよね。中型犬だから。…今は、座っているから。だけど…。確かに、立ち上がれば大きいよ。」





睦美は、駅に。そして改札を抜けて…。
電車に乗っていた。花束を持ったままで。
そして…。花束を見ながら、
「私…。」
そして、両手で顔を。
「あ~~ん。どうしよ。」
そして、顔から両手を放して、今度は上を見て…。








ママでいい…。   vol,118.   晄史、「姉さん、子供の頃に、犬に嚙まれたんです。」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


《PR》

庄司紗千「海をこえて」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。

アメーバ