汐梨、麻沙美を負ぶったままで玄関に、チャイムを。そして…。
「ただいま~~っと~~。」
リビングから勝臣、
「おぅ。お帰り~~。はいはいはい。」
汐梨、
「あは。あん。お願い。」
勝臣、
「おぅ。」
麻沙美をそのまま抱き上げて、
「おかえり~~。」
そして、
「定期演奏会、どうだった…???」
その声に汐梨、
「んもぅ~~~。最高。高校生であのレベルにはたまげたわ。」
「へぇ~~え~~。」
勝臣、そのまま麻沙美を布団の中に。
「ゆ~~っくりとおやすみ~~~。」
汐梨、お茶を淹れながら…。
「芙美花のクラリネットも最高~~。」
「かかかかか。例のソロ。」
「うんうんうん。」
「ありゃ、確かに、部屋を防音にしただけの事はあるわ。」
「かかかかか。確かに。芙美花ちゃんの部屋、防音。」
「うんうんうん。」
「…で…???…高井戸家の家事代行、まだまだでしょ。」
その声に汐梨、
「うん。続ける。じゃないとさ~~。このまんまだと芙美花が~~。」
勝臣、
「確かにな~~。はははは。俺がこんな事、言うのも変だけど…。お義兄さん…。…出来ないもんな~~。家事。」
腕組みしながら。そして顔を傾げて、
「あれだけ…。電気も機械もOKなのに。…なんで…???」
汐梨、お茶を飲みながら、
「まっ。私もそれは分かんない。子供の頃からだから。」
そして勝臣、考えながらも、
「そっか~~。芙美花ちゃん。…確かに。大変だよな~~。」
「だからさ。ね。ね。」
そんな汐梨に勝臣、僅かに顔を前に、
「うん…???」
汐梨のスマホにラインの電子音。
汐梨、
「うん…???」
耀司のスマホにもラインの電子音。
耀司、
「うん…???」
芙美花、
「おとうさん…、ライン…???…こんな時間に会社の人…???」
耀司、そして汐梨も、画面を見て、
「あ~~~~。」
晄史から、
「今、帰りました~~。」
睦美からも、
「今日は楽しかったです。そして、ご馳走様でした。」
耀司、画面を見て、
「ほほほほ。」
汐梨も、
「ははは。うんうんうん。」
芙美花、
「うん…???」
勝臣、
「誰から…???」
耀司、汐梨、
「眞鍋さん。」
芙美花、
「あ~~。ライン、友達追加したんだ。」
勝臣、
「な~~るほどね~~。」
耀司も汐梨にも、共に返信。
自宅玄関前の晄史と睦美、互いに、
「あは。返信。来た。」
「うん。」
耀司、
「さ~~てと~~。ひとつの峠は、超えたか~~。芙美花~~。」
芙美花、
「うん。ひとつはね。…でも、まだまだ。」
「かかかかか。確かに。」
けれども芙美花、
「…でも~~。」
その声に耀司、
「うん…???」
「おばちゃん、これからもウチ。私の代わりに家事。」
耀司、思わず口を噤んで。
「う…、うん。ま。あ…。」
芙美花、父を見て、
「おとうさん。頑張ってよね。家事。いつまでも~~。おばちゃん、あぁ言ってくれてるけどさ~~。…そんな~~。」
耀司、口を尖らせながらも、
「わ。分かってるよ~~。」
「毎日、家にいるんだから~~。」
「はいはいはいはい。」
芙美花、
「でも…。」
ニッコリと。
「とにかく、おとうさんが毎日、家にいてくれるっていうのは、嬉しい。」
耀司、口を真一文字にして、
「はい。」
「だ~~って~~。普通なら~~、会社に朝。帰って来るのって夜。私、待たなきゃなんない。」
「確かに。」
「おかあさんがいるんだったらいいけど…。」
耀司、その声に、
「……。」
「まっ。確かに~~。家に帰って来て、おばちゃんがいる。…って言うのは嬉しい。…けどさ~~。気持ち的。…にも、違うじゃん。ウチは~~。高井戸。おばちゃんは~~。木守。」
耀司、芙美花の声に、
「う…、うん。うんうんうんうん。」
「私、確かに、おばちゃんがウチの家事、やってくれるのは嬉しいし、ありがたい。…けどさ~~。そんな…、いつまでも甘えらんないよ~~。」
「た…。…確かに。うんうんうんうん。」
芙美花、椅子に右足を乗せて、
「来年になったら、今より、もっと…。…私、大学。」
いきなり耀司、目をパチリと、
「志望校。」
芙美花、目は下を向きながら、
「まだ。だけどさ~~。…家の中。…来年は…。今より。」
間髪入れずに耀司、
「はいはいは~~い。娘のためならエ~~ンヤコ~ラ~~。」
座りながらに耀司、ポーズを取りながらも。
「うんうんうん。おとうさん。頑張るから。しっかりと大学。大学な。」
芙美花、右脚に両腕を回しながら、
「分かってるよ~~、分かってる~~。」
耀司、芙美花を見てニンマリと。
「ふふ~~~ん。」
そんな父を見て芙美花、右目を歪めて、
「何よ。」
耀司、
「あのね。眞鍋さんがね。」
「うん。」
「芙美花の事、かわいい~~って~~。」
瞬間、芙美花、瞬き、
「えっ…???」
「芙美花の事、かわいいって~~。」
真っすぐに芙美花を見て…。
芙美花、
「はは。…あ、はははははは。」
まだまっすぐ芙美花を見る耀司。
芙美花、思わず可笑しくなって、
「や~~だ~~。…そんな顔で見ないで~~。」

ママでいい…。 vol,075. 「芙美花のクラリネットも最高~~。」
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庄司紗千「おふろ月夜」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
