汐梨、
「眞鍋さん。…初めて会ったけど、はは。好印象だわ。」
耀司、
「はは。…けど、悪かったね。ご馳走してもらって~~。」
その声に汐梨、
「ん~~~???」
バックミラーをチラリとしながら、
「ははは。いいぇ~~。どういたしまして~~。しっかりと~~。返して頂きますから~~。」
そして汐梨、ニッコリと。
耀司、汐梨のその声に、麻沙美を見ながら、
「はいはい。幾らでもお返しいたしますよ~~。」
汐梨、可笑しがりながら、
「そういう意味じゃあ~~。ないんだけどな~~。」
その声に耀司、思わず運転席を見て、
「は、あ…???」
汐梨、可笑しがりながら、
「まっ。兄さんの場合は~~。うんうんうん。…いいかも。」
耀司、汐梨に、
「いや…。何がいいかも…。」
「ん~~~。気にしな~い、気にしない。あ。車、ウチ、持ってくね。明日、車、戻すから。」
耀司、
「あぁ。いいよ。任せます。」
芙美花は既に帰宅、ベッドにバッタリと。そして、
「終わった~~~~~。あぁ~~~~。」
完璧、定期演奏会の余韻が未だに。
「あ、そうだ。おとうさん。今って…。」
そしてラインから。
耀司、ラインの着信音。指をトン。そしてスピーカーに。
「おぅ。帰ったか~~。」
スピーカーから芙美花の声。
「あ~~。うん。さっき帰って今、部屋にいるぅ~~。」
汐梨、
「芙美花~~。お疲れ~~。」
「あは。おばちゃ~~ん。」
汐梨、頭を僅かに後部席に。
「物凄い素敵な演奏会。」
「あは。ありがとう~~。」
耀司、
「泣いてたもんね~~。」
芙美花、
「うそ~~~~。」
「もぅ、最初っからね。ドボルザークの新世界から涙。」
「うそ~~。え~~~。はははは。嬉しい~~~。」
汐梨、
「だって、あなた、いきなりオープニングからとんでもない曲やるからさ~~。ありゃ、自然に涙も出るわ~~。」
「ありがとう~~。」
「相当練習したでしょう~~。」
スマホを持ちながら芙美花、
「うん。かなりね~~。だから、ハードっては言った。…けど、楽しかったのもある。」
叔母の声がスマホから、
「うんうんうん。初めっから、ビンビン伝わってきたからね~~。ラプソデーインブルー。大したもんだわ。かかかかか。まさか、あそこまで行けるとは。」
「きゃ~~。嬉しい~~。」
芙美花、ジャージパンツにTシャツ、カーディガンを重ねて。
父の声がスマホから、
「麻沙美は、ラピュタの曲に、あ、ラピュタって。」
そして今度は芙美花の声がスピーカーから。
「うんうんうん。あの曲は、もぅ、最初っから決まってたから。すんなりとね~~。」
汐梨、運転しながら、
「とにかく、大成功じゃない~~。お客さんも凄かったし、満員みたかったけど…。」
芙美花の声、
「うんうんうん。ステージから見ててもそんな感じだった。ステージに入った瞬間に、凄いお客さんって。物凄い手応え。だから、多分、みんな、ビビるな、ビビるなって。先生も最初っから、そぅ言ってたから。今回、かなりテンション上がってたもん。みんな。」
耀司と汐梨、
「へぇ~~~。」
スピーカーからの芙美花の声、
「ほら。バイオリンの…。」
耀司、
「あぁ。…あの子も凄かったよね。」
「部長の屋舗崇江。3年生。多分、博楼の吹奏楽では、今までに余りないレアな人。…それで、先生も崇江先輩の花道にって、考えたの、アンコール曲。おとうさん、曲のタイトルって知ってた…???」
耀司、
「確か。ロンドンデリーエア。曲は聞いたことはあるけど、タイトルがねぇ~~。」
芙美花の声、
「えっ…???…でも、今、ロンドンデリーエアって。ダニーボーイって別名あるけど。」
耀司、コクリと。
「うんうんうん。ほら。眞鍋さんが教えてくれたから。」
芙美花の声が、
「あ~~~。音楽教室の~~。」
「うん。」
「えっ…???…って、音楽教室のその人も定期演奏会に…???」
「そうだよ。」
汐梨、
「眞鍋さんとその弟さんと一緒。」
「へぇ~~~。そうだったんだ~~。もぅ、夢中だったし、それに集中してたから観客席、見る余裕なんて。」
耀司、可笑しがりながら、
「かかかかか。確かに。あれで緊張も集中もしてなかったら、凄いぞ。心臓に毛が生えてる。」
芙美花の声、
「もぅ~~。最後まで、ミスるな、ミスるな。そればっかり~~。終わった瞬間に、みんな、泣いてたもん。」
耀司、
「うんうんうん。分かる分かる。」
汐梨、
「…でぇ~~。その眞鍋さんたちと~~。さっきまでファミレスで食事してて~~。今、そっち向かってる~~。」
「わ~~お。そうだったんだ~~。へぇ~~~。」
「おとうさんも飲んじゃったから、私が運転して。」
「うんうん。」
「そっちでおとうさん落として、私、そのまま車、持ってく~~。」
「は~~い。お願いしま~~す。」
「芙美花~~。約束、覚えてる~~。」
芙美花の声。
「はいは~~い。しっかりと~~。」
「かかかかか。何食べたいかその日まで選んでな。何でもいいからね~~。」
その声に芙美花、
「ありがとう~~~。」

ママでいい…。 vol,073. スピーカーから芙美花の声。
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