耀司、晄史と睦美を見て、
「…15年。」
汐梨も、
「15年。」
耀司、
「さすがは、日本語、凄いよ。」
その声に晄史も睦美も恥ずかしそうに、
「いえ。」
「いえいえ。」
睦美、ニッコリとして、顔の前で右手をヒラヒラと。
耀司、
「あ。え…???…あ、でも、元々日本語は誰から…。」
語尾を弱めて…。
睦美と晄史を交互に見て。
瞬間、睦美、
「あ。」
口を窄めるが、晄史が…。
晄史、
「母です。」
すぐさま汐梨、
「おかあさん。」
耀司を見て。
耀司、チラリと汐梨を見て、ふたりを見て、
「おかあさん。」
目をパチクリと。
「おかあさん…。…って、でも、おかあさん…韓国の…。」
晄史、
「えぇ。ウチの母、翻訳家なんです。」
瞬間、汐梨、耀司、目を丸く、口を大きく、そして大きく頷いて、
「あぁ~~~~。」
汐梨、
「なるほど。」
耀司を見て。
耀司も汐梨を見て、
「ねぇ~~~。」
そしてまたふたりを見て、
「…って、言うか、翻訳家。かかかか。凄いね~~。韓国語はともかく、じゃあ、日本語。」
晄史、
「そして…、英語ですね。」
耀司、
「わお。」
汐梨、
「はははは。凄~~い。」
耀司、
「何々。」
汐梨を見て、
「んじゃあ、おまえと同じじゃん、英語。」
汐梨、すぐさま、
「いやいやいや。」
晄史を見て、
「韓国語話せて、日本語話せて英語もだよ。全然、レベル違うでしょ。」
睦美、
「えっ…???…木守さん。」
晄史も木守を見て、そして姉を見て、また木守を、
「えっ…???…木守さん…、英語…。」
目を真ん丸にして。
瞬間、汐梨、
「えっ…???…え、え~~。まぁ。」
睦美、
「いやいや。凄いです。英語。」
すぐさま耀司、睦美に右手を。
「いやいや。それを言ってしまえば、おふたりとも~~。韓国語と日本語~~。」
にこやかに。
「僕なんて、日本語しか話せないんですから~~。」
その声に晄史、子供のように、
「そ…う。…ですよね。」
睦美は高井戸の声に唇を口の中に。そして顔をチョコンと。
耀司、
「へぇ~~~。おかあさんが翻訳~~。…えっ…???…でも、まさか…。翻訳の仕事で日本に…。しかも…、家族で…???」
瞬間、晄史、右手を出して、
「いえ。僕たち家族が日本に来たのは、ウチの母の再婚が切っ掛けなんです。」
汐梨、
「あらま。」
耀司、
「へぇ~~~。おかあさんの再婚~~~。…ん…???…待てよ。」
いきなり空を見て。そして目を右左に。すると、頷いて、
「うんうんうん。15年前…。…だもんね~~~。」
すると今度は汐梨、耀司を見て、
「は…???」
耀司、そんな汐梨を見て、
「あ。いや…。…って言うかさ。おかあさんの再婚って聞いて、いきなり、ふたりの今の年齢とダブった訳よ。」
そして晄史と睦美を見て、
「だ~~って~~。…どう見ても、ふたりとも、今、30代でしょ。」
晄史、キョトンとして、
「え…???…えぇ。」
耀司、
「おかあさんが再婚ってなれば~~。今のおかあさんの年齢って…。それなりに。」
そこまで言って耀司、汐梨を見るが…。
汐梨、右目を歪めて…。
そんな汐梨を見て耀司、
「な、何よ、その目ぇ~~。」
晄史と睦美は、
「……。」
汐梨、ゆっくりと瞬き、そして息を吐いて、
「兄さん。」
耀司、
「な。…だから、何よ。」
汐梨、
「言っちゃいますけど。そういうところが、兄さんのおっちょこちょいってとこ。」
「はっ…???」
いきなり睦美、可笑しがりながら、
「ぷっ。」
するとそんな睦美に耀司、
「えっ…???」
汐梨、
「あのね。眞鍋さんが、晄史さんが~~。おかあさんの再婚でって言ってんの。別にかんぐる必要、ないじゃないよ~~。そのまんま、受け止めりゃいいでしょう~~。敢えて、ふたりの年齢をって、普通、それ、失礼だと思わな~い~~???」
その話に耀司、思わずまた目を右左に。
「えっ…???…」
そして、顔を傾げて、
「あ、いや…。…まっ。…ん~~。確かに。」
また顔を傾げて、
「し、失礼…なのか…???」
汐梨、
「絶~~対に失礼でしょう~~。…まま、男性が酒の席で話しているんなら、まぁ。ともかく。眞鍋さん、女性もいるんだから~~。再婚。そして、おかあさんの年齢なんて~~。」
睦美を見て、
「ねぇ~~~。」
いきなり振られて睦美、困ったような笑顔でも顔を左右に振りながら、
「いいえ~~。」
晄史、姉に、
「ちょっと。…どういう意味か、分かんないけど…。」
すると睦美、韓国語で晄史に。
店員が席に。
「失礼致します。」
お皿をトレイに。…そして、
「食後のコーヒー等は。」
耀司、その声にニコリと。
「お願いします。」
「畏まりました。」
姉の話を聞きながらの晄史。瞬きしながらも僅かに顔を傾げて…。そして、
「あ、あ~~、あ~~。はははは。うんうんうん。なるほど。はははは。いえいえいえ。別に、構いませんよ。とにかく15年前の事なんです。僕と姉はその時まだ20代。」
汐梨、
「うんうんうん。」
ニッコリと。
晄史、
「おかあさんの再婚相手って、日本の建設会社の人だったんです。」
汐梨と耀司、同時に、
「へぇ~~~~。」
「韓国に。」
晄史、
「日本の建設会社の自社ビルを建てるために、韓国に。」

ママでいい…。 vol,069. 晄史、「えぇ。ウチの母、翻訳家なんです。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千「3センチの中央線」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
