汐梨、耀司に、
「何よ、その、とんでもない事って~~。」
耀司と芙美花を見て。
芙美花も父の声に、
「えっ…???…ってか、おとうさん、いきなり何…???…とんでもない事って。」
耀司、すぐさま、自分の言った事に後悔するように、
「あ、いや…。その…。いや…。まぁ…。そんな事は…、有り得ない…と。」
汐梨、
「何よ、それ。そんな事は有り得ないって。」
耀司、思いっきり体を縮こまらせるような…。
「いや。あの…、その…。」
芙美花を頻りに見ながら。
芙美花、そんな父を見て、訝しそうな顔で、
「…ん…???」
瞬間、汐梨、チラチラと芙美花と耀司を見て、
「ぷ。」
そして、
「や~~だ~~。」
右手甲を鼻に。
「兄さん、まさか、芙美花の結婚、考えてたんじゃないでしょうね~~~。」
いきなり芙美花、
「え―――――――――っ!!!」
耀司、しょぼんとして、芙美花と汐梨をチラチラと見ながらも、
「あ、いや…。その…。」
汐梨、
「かっかかかかか。」
両手を叩いて、
「図星。こりゃ図星だわ。…って。…んな事、ある訳ないでしょ。芙美花、まだ高校2年生~~。」
芙美花も、父に、
「おとうさん。もぅ~~~。」
耀司、申し訳なさそうな顔で、
「あ、いや…。…って。…いきなり、どうなのって言うから。…その…。…有り得ないって分かっていても、その…。てっきり。」
汐梨、キッパリと。
「ないないないないない。有り得ない。…ってか、この家から芙美花、嫁に出して、あんた。兄さん、どうするのよ。」
瞬間、芙美花、
「ぷっ。」
耀司、汐梨の前で頭を下げて、
「はいはい。はいはい。その通りです。はい。」
と、そこまで言って、はたと、
「…ん…???」
耀司、
「じゃ。何よ、さっきの、どうなのって…???」
芙美花も、
「あっ。うん。…その…。つまりは~~~。」
「…これ…。最初が肝心。…なんだと思うのよね~~。」
その声に芙美花も耀司も、
「うん…???」
耀司、
「何がだよ。何が最初が肝心って…。」
汐梨、
「ズバリ。再婚。」
いきなり芙美花も耀司も目を見開いて。
耀司、
「さ…、再婚…???」
汐梨、その声に蟹を食べながらも、両眉を上下に、
「うん。」
芙美花、思わず口を噤んで。
耀司、目だけをあちらこちらに。
「さ…。さい…。再婚…って…。い、いや…。え…???…いや…。なんで…???…いきなり…???」
汐梨、
「ま、まぁ…。ねぇ。私も…。職業柄。…。まま。うん。こういう話に、ならざる…、負えないって…。」
耀司、
「ま…、あ。う、うん。」
芙美花、
「おばちゃん。」
そして、父を見て、
「おとうさん…。」
耀司、
「さ。さ、再婚って…。」
顔を傾げて。唇をグニュリと。
「はは。…考えてみた事もない。」
また顔を傾げて。
汐梨、
「だよね~~。確かに。…お義姉さん、亡くなって、まだ…、1年だもん。私、まだ、クッキリと覚えてるの、兄さんとお義姉さんの結婚式。物凄い素敵だったから。私から見たって、兄さん、中々のイケメンだし。」
いきなり芙美花、
「でしょう~~~。」
すぐさま汐梨、
「えっ…???」
芙美花、
「この前の日曜日。」
汐梨、
「うん。」
「久~~し振りにおとうさんと親子デートしたの。」
いきなり汐梨、その、「親子デート」の言葉にクスクスと、
「うんうんうん。」
耀司を見ながら、
「うんうんうん。親子デートね。」
「で…。おとうさんと賭けしたの。」
「賭け…???」
「うん。」
汐梨、芙美花の話を聞きながら、
「へぇ~~~。…で、つまりは、芙美花の勝ち。」
音の出ない拍手の芙美花。
汐梨、
「ふ~~~ん~~~。ま。確かに。兄さん。今もしっかりと、洋服の着こなしはねぇ~~。まっ。…って言うか、子供の頃からセンスは良かったから。」
芙美花、
「うん。それは、アルバム見ても分かる。」
汐梨、
「まぁね。この顔だから、被写体良いから。」
耀司、ブスリとして、
「何だよ、いきなり~~。」
汐梨、
「だから、今も兄さん。イケオジだって言ってるの~~。」
芙美花も、いきなり体を上下に、
「うんうんうん。それそれ。イケオジ。」
汐梨、ノンアルコールビールをゴクリと。
「…ってかさぁ。何故かこの頃、結婚式、多いのよね~~。パンデミックの時は、全く。私なんか、パパに。もし万が一の時になったら、お願い。って、頭を下げたくらいだから~~。全~~然、仕事がなかった。…って言うか、お義姉さんには申し訳なかったけど。看護、激務で、激務で。見てられなくなって、代わってあげたい。とも、思ったくらい。パパも、やばいぞ、あれ~~。いつか倒れるぞって。」
そこまで言って、芙美花と耀司を見て、
「んん。…ごめん。」
そして汐梨、
「兄さん。もう一度、言うけど。最初が肝心。ダラダラ、ダラダラしちゃうと~~。すぐに50、60。…って言うか、芙美花が可哀そう。」
いきなり芙美花、瞬きして、自分に右手人差し指、
「えっ…???…私…???」
汐梨、芙美花を見て、
「そうだよ~~。まっ。我ながら、自慢の姪ではあるんだけど~~。必ずしも、お婿さんに来てくれるなんて、事は有り得ない。から、今の時代。」

ママでいい…。 vol,007. 汐梨、耀司に、「何よ、その、とんでもない事って~~。」
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