このバセット。中型犬である。 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

ドキドキ 家に帰って…。

芙美花、玄関にゆっくりと歩いてくるバセットに、
「ただいまバセット。」

耀司も、
「お留守番、ご苦労様。」

そんなふたりにバセット、
「ワン。」

このバセット。中型犬である。

動物大好きの祐里子が生前、
「結婚したらさ。新しい家になるじゃない。そしたら、中型犬、飼おうよ。私、面倒見るから。」
が始まり。

芙美花が産まれる前にはバセットは高井戸家に耀司の会社仲間の、
知り合いのブリーダーからの、
「可愛がってあげてください。」
との言葉に感謝して譲り受けた犬である。

とにかくおとなしい犬で人に懐く。
そして…。人に懐くという他には、飼い主に対しての忠誠心も高く、
されど、もし万が一にも飼い主に被害でもと感じれば容赦なく吠える。

因みに、高井戸家には過去に何度か不審者が庭に侵入した事があるが、
リビングでのんびりしていたバセットがいきなり吠え出した。
その声に慌ててリビングに駆け付けた耀司、すぐにサッシを開けると、
揺れている木の枝。すると、道路側から、「痛ってぇ~~。」の声。
慌てた不審者が犬の吠えた声で驚いたのだろう。

耀司、バセットを抱き抱えながらも、
「ははは。バセット~~。偉いぞ~~。これからも頼む。」
バセットを抱き締めて…。

するとバセットも耀司の頬を舐めながらも、
「クゥ~~ン。」

その日は祐里子も夜勤。寝ていた芙美花が起きて来て、
「どうしたの~~???」

そんな出来事もあったのだった。





そして…。自動掃除機が高井戸家に届いて…。中身を空けて。
当然ながら勝手に動く。

バセット、顔を傾げて、
「クゥ~~ン…???」

耀司も芙美花も、
「ははは。バセット~~。大丈夫だよ~~。」

芙美花、
「掃除をしてくれるの。」

…の声にバセット。一度は自動掃除機に右足を。恐る恐るではあったが、
別に危害はなさそうだと安心して、またいつもの自分の場所に。

耀司、
「さすがに素晴らしい~~。バセット~~。」

芙美花、
「正に、我が家のアイドル。バセット~~。ルンバだよ~~。」

ここに、高井戸家のまたひとつのメンバーが誕生したのであった。





そして…。数時間後。芙美花のスマホにライン。
「おっと~~。」
そして…。
「わは。嬉しい~~~。ねね、おとうさ~~ん。」

自分の部屋で仕事をしていた耀司、部屋から、
「あ~~ん。どうした~~~???」

芙美花、部屋のドアを開けて、
「ねねねね。汐梨(しおり)おばちゃんからライン~~。蟹だって蟹~~。」

いきなり耀司、
「蟹…???」

芙美花、すぐさまラインから。

相手の声。
「はいよ~~。芙美花~~。」

「あん、おばちゃん。蟹蟹蟹~~。きゃはははは。」
スピーカーにして。

「うん。蟹~~~。今、北海道にいる友達がね~~。蟹買ったから送った~~ってライン来てさ~~。…で、タイミング良く、今、その蟹が宅配で届いたのよ~~。すんごい量。ウチじゃあ、食べきれないからさぁ、これから持ってく~~。」

耀司、
「おほほほほ~~。何と、蟹~~。」

「あ、兄さん~~。麻沙美も連れてくから一緒に食べよ~~。今日は蟹~~。」

スマホからの声に耀司、
「…って、勝臣君は~~。」
顔を傾げて、
「あ。…と、言う事は、出張~~???」

スマホから、
「ふん。明後日まで私と麻沙美だけ~~。」

耀司、椅子毎、芙美花に向いて、
「あ~~らら。…けど、勝臣君の分もあるんだろうね~~。」

スマホから汐梨、
「当たり前でしょ~~。だから、ウチじゃあ、食べきれないって~~。」

頻りに芙美花、
「ニシシシシ。」

「今からそっち、行くね~~。食材も買って行くから~~。」

芙美花、
「あ、おばちゃん、食材なら今日、買ってきたけど。」

「な~~に言ってる~~。甘える時は甘えな、芙美花~~。」

その声に芙美花、ペコリと。
「ありがとう~~~。」






1時間後。玄関にチャイム。芙美花、
「来~~た~~~。」
いそいそと玄関に。

そして…。
「ジャ~~~ン。」

芙美花、瞬間、
「やっほぉ~~~。」





そして…、30分後には、4人一斉に、
「いっただっきま~~す。」

麻沙美も、大きな口を開けて汐梨から食べさせてもらって、モグモグと。
そして、目を真ん丸にして。

汐梨、麻沙美に、
「どぉ…???…美味しい…???」

麻沙美、笑顔満面に、
「うん。おいしい~~。」

芙美花、
「かかかかかか。うんうんうん。」

耀司、
「しっかし、とにかく凄い量だね。…って、事は、この量と同じ量が…。」

汐梨、その声に両眉を上下に、
「うん。…って言うか、物凄い激安って。…って言うか、獲り立て。何てったって、港からだも~~ん。」

耀司、訝しそうな目で、
「港から…???」

「うん。友達の兄弟が北海道にいて、漁師なの。久しぶりに会ったからナイスタイミングで持ってけって。まっ。ただで持ってけって言われてもって。1万円渡したら、あいよって気前良く。なんだって。」

耀司、
「うそ~~~。この量の倍を1万円で~~???」

芙美花も、
「凄~~ご~~~。」








ママでいい…。   vol,005.   このバセット。中型犬である。

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庄司紗千「海をこえて」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。

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