テレビカメラがひっきりなしでスタッフたちを撮影している。
既にテレビカメラがエレガンザ化粧品、マーケティング事業部に入ってから凡そ2週間が経過してる。
最初はぎこちなかったスタッフたちも、この頃になると意識していたカメラにも慣れて、
殆どが通常モードに。しかも、その通常が逆にテレビ局、編成チームにとっては好都合。
スタッフたちの日々の緊張感と能力。そして、スタッフたち個々の心情にも触れる事が出来、
「こうして化粧品は作られる」的な日常に編成チームのディレクターまでもが、
「これは行ける。さすがはプロ。ノンフィクションの世界だ。」と、言って絶賛したのだった。
一切の妥協を許さないスタッフたちのプロ魂。
たまにはトコトン悩み、そしてひとりになって考え込む。誰にも相談できない。
けれども、そんな、相談出来ないところを察して肩を撫でてくれるメンバーたち。
そして、上手く行けばとにかくガッツポーズ。
時には髪を揉みくちゃにもされて。
そして、当然の事ながら、暗いイメージもあるが、それをも凌ぐスタッフたちの笑顔。
そして、何よりも注目すべきなのが、化粧品を扱うプロとしてのスタッフたち、
それぞれが奇麗であると言う事。
そして、これも当然ながら、その密着の間も、スタッフの中から個人的にも取材が行われている。
そんな取材にもスタッフたちは、日々のテレビカメラが自分たちを撮影している事に、
ある種の自信さえ芽生え始めてもいたのだった。
事実、密着取材に関してのミッションは凡そ理江子と愛結美、そして菜帆子、
小埜瀬の4人が担当したのだが、2週間目に入ると、その中から愛結美が抜けて、
佐津香とバトンタッチ。その理由が、コンぺのメンバーが決定したのだった。
そのメンバーが、筆頭に、吉竹武一。柿崎佐津香。
そして盾橋菜帆子、瀧田順平、沼津圭衣子。宇津美励。この6人が選出された。
当然の事ながら、社長の伊縫舞桜の息が掛かっている。
その中でも、励(れい)、
「えっ…???私が…???…うそ。」
真ん丸の目に口をアヒルのように。
部長室で吉竹と小埜瀬、そして愛結美、
「おまえなら。」
「よろしく頼む。」
「励ちゃんでいいって、佐津香さんも、菜帆子も。…特に…。…これはオフレコだけど。励ちゃん、新人ルーキーにも滅茶苦茶教え方が上手いのよ。まっ。確かに、燈子や千優は佐津香さんが子育てのように可愛がって育ててる。…でも、ひとつ言えるのは年齢が違うと言う事。ただ、年齢が違うからと言って、励より若いスタッフは、静歌に耀、そして和津美に結羅がいるけど。…その中でもあなた、ある意味、度胸がある。」
励の目の前で優しい声で訴えかけるように話す愛結美。
励、3人を目の前に、瞬きしながらも、
「ど…、度胸…???」
吉竹、小埜瀬も頷きながら。
小埜瀬、
「だから宇津美さん。頼む。コンペに同行してくれ。」
吉竹、
「まぁ~~。愛結美がそう言うのも当然。その事は事実、部長の俺が認めているし、肝心の佐津香さんも、励でいいよ。あの子なら出来る。と、太鼓判。」
そんな吉竹を見て愛結美、ニッコリと。
「うん。」
そしてまた励を見て、
「お願い。そして、表現を変えれば、今回の事が励、あなたにとっても、チャンスなの。」
「チャンス。」
瞬きしながらの励。
吉竹、腕組みしながらも、
「そうだ~~~。…実は、今回のコンペが切っ掛けで、新たに、プロジェクトチームが編成される事になった~~~。」
励、ますます瞬きをしながら、
「プロジェクトチーム。」
吉竹を見ながら。
小埜瀬もニッコリと、
「そうです。宇津美さん。」
愛結美、
「その中に、あなたの名前も候補に上ってる。」
「うそ。」
「ほんとよ。」
励は未だに信じられなかったが、
3人からの説得で今後の自分の進み方に何かしら自信を持ったような気持になり快諾。
毎日ではなかったが、海外コンペに向けて残すはあと12日。と、刻々と時間は過ぎて行った。
そんな中でも繰り返されるミーティングとリサーチ。そしてプレゼンテーションのリハーサル。
今では週に2回と。最初の時間設定でのリハーサルからホールでのリハーサルも、
ホールの所有者、管理者の方から、こちらも快諾で使わせてもらえるようになったのだった。
そして、ホールでの本番さながらのプレゼンテーションに、コンペ参加メンバーは、その度毎に拍手。
佐津香も菜帆子も順平寧々圭衣子も、口々に、
「さっすが~~課長。」
励だけは、初めての経験で目を真ん丸にして佐津香に、
「か、課長って、こんなに…凄いの…???」
佐津香も菜帆子も、両眉を上下にニッコリと。
圭衣子は圭衣子で、
「初めてのリハで、私なんて、もぅ~~。鳥肌が立ったから、凄いって。はは。」
励、その声に頷いて、
「うんうんうん。分かる分かる。」

好きになれない。 vol,211. テレビカメラがひっきりなしでスタッフたちを撮影している。
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