佐津香、優維香に、
「はいはい。分かった。」
目を閉じて。そして、目を開けて前を見て、
「優維香。おま。…そのリーダーの事、好きだね。」
いきなりの母の言葉に優維香、思わず顔をカクンと傾げて、目を丸く、
「はっ???」
佐津香、優維香を見て、そしてまた前を向いて。そして今度は顔をコクリと、
「うん。あんたはその人、好きなんだ。」
いきなり優維香、両眉を上に、そして母に、
「何々、おかあさん、何言ってんのよ。」
口を尖らせて。
「いやいやいやいや。あのね。私。…いやいやいやいや。おかあさ~~ん。」
今度は顔をクシャリとさせて、そして今度は口を尖らせて、
「んもぅ~~~。おかあさんまで何言い出すかな~~~。」
その声に佐津香、思わず優維香を見て、
「へっ…???…おかあさんまでって…、それ、どういう事…???」
優維香、そんな母の声に、今度は口を横に捩じるように、そして、そのまま黙って。
そんな優維香を見て佐津香、キョトンとして顔を傾げて、
「うん…???」
優維香、今度は両肩をチョコンと上下に。そして、口を尖らせたままで、
「もぅ~~~。」
佐津香、再び優維香を見て、
「ふ~~ん…???」
「会社の人たちもさ…。…まぁ…。全然、全く訳分かんないんだけど~~。いつの間にか…。…って言うか~~。」
佐津香、目をパチクリと、
「…???」
優維香、缶ビールを両手で持ちながら、
そして、前を見ているのだが焦点の合わないような目をして、
「まだね。リーダーに面と向かって、あれこれと、言う人って、いないんだ。…って言うか…。」
チラリと母を見て。そしてまた前を見て、
「ん~~~。…何て言うか~~。逆に…、言えない…???…今まで、海外で…。名の通った…???…まっ。確かに。私程じゃないけど、リーダーに話せるって人は、私の、仕事では、パートナー的な…。」
佐津香、
「あん。確か…、悠里さん。…冴島悠里さん。だっけ。」
優維香、母を見て、また前を…。そして顔をチョコンと、
「うん。…とぉ~~。後は、私と悠里の先輩格の瑛子さん。武蔵野瑛子さん。メンバーの中では最年長。まっ、その同期の阿寿沙さんって人もいるんだけど。その3人…くらい。なんだよね。リーダーに話出来る人って。」
顔を母に。
佐津香、
「うんうんうん。」
「でぇ~~~。その3人も、何かしら…、私とリーダーの事…???」
瞬間、佐津香、
「ほ~~ら、ごらんなさ~~い。」
瞬間、優維香、母に、
「へっ…???」
目をパチクリと。
佐津香、優維香に、
「その人たちも、あんたとそのリーダーの事、内心、どうかな~~って、思ってんじゃないの~~???」
優維香、母に僅かに顔を…。
「…けど。けど、けどさぁ~~。そりゃ、私、一応~~。メンバーの中では。」
佐津香、キッパリと、
「一応~~って、言うのとは、ある意味、違うんじゃない~~~???」
優維香、思わず、
「えっ…???」
佐津香、優維香を見て、
「そのリーダーと~、同等に、仕事出来てるって言うのが、今のあんた。って、みんな、思ってるんじゃないの~~???…だ~~ってさ~~。あんた、あの日本でも、国内規模のスタッフコレクション、金賞受賞しちゃったんだよ、国内規模の。それだって、デザイナーの池辺さん…???」
優維香、顔をコクリと、
「う、うん。ウチの課長~~。」
「うん。」
佐津香。
「スタッフコレクションの出展、その池辺さんのデザインじゃないんでしょ。あんた、おかあさんに言ってたじゃない。私たちに一任させられた~~。かなりハード。…って言うか、とんでもなく、ハード…って~~。それがだよ。何だかんだ言って、しっかりと優維香のデザイン。まっ。確かに、他のメンバーたちのアイディアも加味しての。それで金賞受賞だよ~~。これって、凄い事だよ。それをみんな分かってるんだよ。だからこそ。なんだよ、優維香~~。」
そんな母の話に優維香、まだ口を尖らせたままで…。そして、
「そんな事、言ったって…。」
佐津香、
「まっ。男と女。知らない間に。…それこそ、自分では気づいていない内に、嫌いって思ってはいるんだけど~~。それが…、何れは…、嫌いの裏側に、なっている事も…。あるんじゃ~~ないのかな~~。」
いきなり優維香、母に、
「だ、だ~~ってよ~~。私が幾ら言っても、知らない間に。気づいたら、いなくなっちゃったり…。そして…、いつの間にか戻ってきてたり…。もぅ~~。訳分かんな~~い。」
佐津香、そんな優維香に優しそうに微笑んで、
「ふ~~ん~~。どうして、でしょうかねぇ~~。」
優維香、まだ仏頂面のままで、
「それに~~。それなのに…、課長も…、部長までも、リーダーに対しては、な~~んにも言わないし~~。」
そんな優維香に佐津香、
「まっ。つまりは。」
佐津香も缶ビールを両手で持ちながらも…。
優維香、
「つまりは…???」

好きになれない。 vol,190. 「優維香。おま。…そのリーダーの事、好きだね。」
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