「ひとの感情なんて、そんな…、簡単なもんじゃないでしょ。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

ドキドキ 佐津香、
「つまりは…。…多分。」

優維香、母を見て、
「多分…???」

佐津香、優しく優維香を見て、
「多分、その人の~~。感性、壊したく、ないんだよ。」

優維香、目をキョロキョロと…。
「感性…。壊したく…、ない。」

「優維香、あんた。」
佐津香、優維香を見て、
「いつもおかあさんに言ってるじゃない。新しい人が入っても、辞めてく~~。ちょっと失敗したくらいで…。悩んで、苦しんで、誰にも相談できなくって…。…で、仕舞には、ごめんなさい、この仕事~~、私にはって…。私、そういうのやだから、だから、何でも話してって言う~~。…って。何でも、頼ってくれて良いんだよ。昔みたいに、がんじがらめの…。自分の事は自分で責任もって。」

優維香、母を見て、
「……。」

佐津香、前を見て、
「そんな…。息の詰まるような職場じゃないからって。だから…。ほら、あんた、いつも言ってるでしょ、亘夢ちゃんの事。もぅ~~。物凄い、可愛い、正にアイドル。しっかりと、育ててあげたいじゃな~~い。って。」

いきなり亘夢の名前が出て来て優維香、ニッコリと。
「うん。あの子は凄い。完璧にトラディショナル事業部のアイドル。…もしかして、亘夢がいなかったら、スタッフコレクションも…。」

佐津香、優維香を見て、
「トラディショナル事業部、今、凄いオープンでしょ。みんなの意見、堂々と言える。」

優維香、母に、
「うんうんうん。そんな感じ。」

「でしょ。だからよ~~。」

優維香、眉間に皺を。
「だから…???」

佐津香、顔をコクリと。
「うん。だから~~。そういう…、何て言うかな、雰囲気をそのままにしておいて~~。それでいて、今度の新しいリーダー…???…世界を歩いてきた。」

優維香、
「……。」

「今までの社員とは正に、異端。会社の枠には囚われれない、嵌らない。正に自分勝手。」

優維香、いきなり右人差し指で母に、
「そぅそぅ、それ~~。」

佐津香、キッパリ、
「なん、だけど~~。それが、その人のスタイル。」

瞬間、優維香、口を尖らせて、
「ぶ~~~。」

「そのスタイルで。今迄、それが世界には通用していた。」
佐津香。
「そんな人をだよ。」
優維香を見て、
「そんな人を…。会社組織の枠に、なんて…、そんな、簡単に、染まると思う…???」

途端に優維香、グシャリとした顔で、
「そ、それは~~。そ…。そぅ…。」

「逆によ。」
佐津香。
「そんな…、世界を股にしてきたその人。…じゃ、何故、社長が…???…七瀬社長が…???…どうして見染めちゃって、引っ張って~~。…それこそ、ヘッドハンティングみたいな事、したと思ってんの~~。」

優維香、また口を尖らせて、
「そ、それは…。え…とぉ~~。」

「優維香~~。あんた、いつも言ってるでしょう~~。ウチの社長、いつも思うけど。何考えてんのかさっぱり分かんない。それこそが、その…、リーダーなんじゃな~~い、日本社会の枠に囚われない、嵌らない。…って、言うか、逆に、囚われたら困る。嵌ってもらっては困る。とにかく、その人の好きなように。…そんな風に思ってるんじゃ…、ないのかな~~???…とぉ~~。おかあさんは、思うんだけど…。」
その時、佐津香の頭に浮かんだ、ひとりの顔。

佐津香、頭の中で、いきなり、
「…えっ…???」


優維香、口を尖らせたままで…。そして今度は、唇を頻りに動かして、
「囚われない、嵌らない。」

佐津香、瞬間、その顔の事は忘れて優維香に、
「うん。」

そして…。佐津香、
「もし、仮に~~。そういう人が、我が部署、マーケティング事業に、入ってきたら、おかあさん、だったら~~。大歓迎~~。」
するとまた、佐津香の頭の中にひとりの顔。けれどもまたすぐに消し去り、
「するんだけどな~~~。」
そして優維香に、ニコリとして、顔を傾げて、
「うん…???」

優維香、数秒、黙ったままで。
「ん~~~~。」
顔をクシャリとさせて…。
「ん~~。…でもぉ~~~。」
顔を傾げて、
「どうしたって~~。私は嫌。…好きになれない。」

佐津香、そんな優維香にまたまたニッコリとして、
「はは。はははは。うんうんうん。」
そして、
「まっ。いいんじゃない…???…今は、そんな感じでも…。…誰も悪いなんて、言わないよ。好きになれなくって結構~~。はいはい。ご飯にしよ。」
椅子から立ち上がり、
「そんな…。ひとの感情なんて、そんな…、簡単なもんじゃないでしょ。ひとから言われて、はい。分かりました。なんていうものでもないしね~~。嫌いなら、嫌いで、それはそれで結構~~。トコトン嫌い。…でもさ。その、トコトン嫌いって言うのが、いつかは…、いないと困る。トコトン好きになってやる。…な~~んて言う事も、あるしさ。」

流し台に入っていく母を目で追いながらの優維香。

佐津香、
「不思議なもんだよ。男と女。」








好きになれない。   vol,191.  「ひとの感情なんて、そんな…、簡単なもんじゃないでしょ。」

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