小埜瀬、フライパンを扱いながらも、
「えぇ~~。ま、簡単なものですけどね~~。今迄の生活とは、訳が違いますから~~。何とか、これからは自分で…。」
智子、いつもの和風ジプシーの恰好で、
お洒落なお菓子箱程度の大きさの籐の籠を両手で持ちながら、ニコニコとしながらも、
「あはは~~ん。そぉ~~???…でも、彼女さんにも、たまには作ってもらうんでしょう~~。」
その声に小埜瀬、チラリと智子を見て、
「えへ…???」
そして、右手をヒラヒラと、
「いえいえいえ。そんな…。滅相もない。」
恐縮するように…。
そんな小埜瀬に智子、口を尖らせたように、
「あら。どうして~~。」
僅かばかり、小埜瀬に擦り寄るような感じで…。
そんな智子に小埜瀬、ニコニコと、
「僕には、その…。彼女さん…。…そういう女性…、おりませんから。」
いきなり智子、口に右手を当て、
「あら。…まぁ~~~。そうだったの~~???…て~っきり私~~。あの…、女性の方、小埜瀬さんの彼女さんだとばかり、思ってたのに~~。ほら、この前、小埜瀬さんと、ここに入居する最初の日に…。いろいろと小埜瀬さんにお手伝いなさっていた方。とても奇麗~~ぃだと思ったのに~~。ふふふん~~???」
その声に小埜瀬、照れるように、まだ炒め物をしながらも、目の前で左手を左右に振りながら、
「いえいえいえ。あの方は…、とんでも…。私なんかとは…。」
「えっ…???」
智子、思わずびっくりしたような表情で、瞬きをして、
「あら。そうなの~~。」
そして右手を口に。目をキョトンと。
「あら、んまぁ~~私、て~~っきり、お似合い~~。彼女さんかと思っちゃったわよ~~。」
ニコニコと。そして小埜瀬に笑いながら右手をクイッと。
「ハッハハハ。うんうんうん。」
小埜瀬に左肩を吊り上げるようにして、
「な~~んて、思っちゃったわよ~~。ハハハハハ。」
そして、口を尖らせて、小埜瀬を真ん丸の目を横目に…。
けれども、いきなり、ソッポを向くように、
「な~~んだ。つまんな~~い。」
右目を歪めて。そして、小埜瀬に、
「ふん。」
そんなつっけんどんな智子に思わず小埜瀬、僅かに体を右に。
「えっ…???」
そして小埜瀬、何かしら申し訳なさそうに…。僅かに顔を傾げて、
「あはははは。…いや。…あ、はい。…すみません。」
すると智子、小埜瀬の傍から立ち去ろうする…、かの、ように見せ掛けて~~。いきなり、
「な~~んてね~~。」
右手を招き猫。そして、意地悪そうな顔をして、
「ははははは。まっ。いろいろとあるますわよね~~。しっかりやんなさ~~い。」
そして、右手で投げキッス。
「うふ~~ん。」
色気を仄めかすように…。
そして…。キッチンを出ていく…。いきなり智子、
「お~~~っと~~。」
「あぁぁぁぁ。ごめんなさい。智子さん。」
男性。
智子、
「あら、宇龍(うりゅう)ちゃん、お帰り~~。えっ…???…今の時間って、まだお店…。」
その声に宇龍、
「いやいやいや。今日は店じまいです。なんとも、いつもより3時間も早く、完売。何だか、客の入りがいつもとは違うのよ~~。」
そんな宇龍に智子、
「へぇ~~~。そぅなんだ~~。」
宇龍、
「うぅ~~ん。芳(かおる)とふたりでびっくりして~~。早じまいで…。お客様にも謝って来ちゃったわよ~~。何だったのかしら、あれって~~。芳とふたりで、なんなの…って。」
「へぇ~~ぇえ~~。」
そんな宇龍、料理中のひとりの男性に、
「あら~~。確か…。小埜瀬さんって言ったかしら。」
ようやくフライパンからお皿に盛り付けようとしている小埜瀬、男性を見て、
「あ、はい。あ~。こんにちは。」
そして、フライパンを戻して、姿勢を正して男性に丁寧にお辞儀をして、
「おかえりなさい。」
そんな小埜瀬に宇龍、両腕で荷物を抱えながらも、ニコニコ、
「あら、やだ。そんな他人行儀な~~。普段と変わらず、お帰り。だけでいいじゃな~~い。ふふ。」
そんな宇龍に小埜瀬、思わず照れ臭そうに、
「あ、あ~~。はは。はい。ありがとうございます。」
宇龍、小埜瀬の作った料理を見て、
「あら、美味しそうねぇ~~。ピラフねぇ~~。ふふ。」
そして、作り上げたピラフを見て、
「う~~ん。中々どうして~~。美味しそうじゃな~~い~~。うん。いい匂い、させてくれてるわよ。」
小埜瀬にニッコリと。
ロングヘァを後ろで束ねている。そして、薄い化粧。
エクステも付けているようではあるが、それほど目立たない。
ナチュラルな感じ。目鼻立ちもクッキリとしている。
殆ど…、周囲から見ても、男性も恋人にしたくなるような色気がある。
名前を八重柴宇龍(やえしばうりゅう)、かしわださん家の住人。
キッチンカーの男性である。そして…、LGBT。

好きになれない。 vol,186. 小埜瀬、フライパンを扱いながらも…。
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