そして柚香、指でトン。
コールしても、相手は出ない。
柚香、少し口を尖らせて、
「出ない…かぁ~~。」
顔を傾げて、
「仕方ない。また後…。」
その時、
「もしも~~し。誰…???」
瞬間、柚香、
「あ。もしもし。私、柚香です。」
その声に、虚ろな目で、
「ゆずか~~???」
いきなり体を。
「柚香っ!!!…って、へっ…???…おぃおぃおぃ。マジで、俺に…???…電話って…???」
亮輔である。
柚香、スマホに、
「はい。私、柚香です。亮輔さん。折り入ってお願い。」
柚香、愛実と祖母を見て…。
いきなり亮輔、今度はベッド上で胡坐を掻いて、
「何々~~???…あ。…けど…。…もしかして…、その、お願いって、大学の事…???」
柚香、その声に、
「へっ…???」
目をパチクリと。そして、
「えぇ~~。そぅ~~。大学の…事…、なんですけど…。」
亮輔、スマホに、
「昨日の夜、真輝から電話があったんだ。もしかしたら、今度また、柚香さん陽織になったら。…でもその時は、大学に行くって。僕も何とかフォローするけど、亮輔、おまえも頼むって。」
その声に柚香、目を真ん丸に、
「へぇ~~~。凄~~い。もぅ…そんな話。」
亮輔、
「あぁ。…で、それから俺、阿須賀にも電話して、その事。」
「うそ。阿須賀さんにも…???」
「あぁ。」
亮輔。そして笑いながら、
「阿須賀のヤツ、おんもしろそぅ~~って、楽しんでた。あいつの事だから、何しでかすか、分かんねぇけど…。」
柚香、スマホを胸に、愛実に、そして祖母に、
「私の知らないところで、もぅ~~、計画、進んでる。」
その声に愛実、
「へっ…???」
幸乃も、
「うん…???」
愛実を見て。
愛実、幸乃を見て顔を傾げて…。
柚香、スマホに、
「凄~~い。私より前に…。そんな話が…。」
亮輔、ニコニコと、
「あぁ。…まっ、とにかく、柚香さんが、もしも万が一にでも、また陽織ちゃんになった場合。なっ。真輝の話からすると、陽織ちゃん、かなり記憶力いいって言うから。」
「うんうん。…らしい。…で、昨日も、もっと何か覚えたいって思ったんじゃないかな。真輝君にどっか連れてけって、言ったらしく…。」
「新宿で、柚香さんに戻った。…けど…、どうやって戻ったかは…、分からないまま。」
柚香、スマホに、
「うん。」
「まっ。ここまで来たら…。…で、大学に行くなんて話になったら。とにかく、丸ごと、受け入れるしか、ねぇだろ。」
そして亮輔、一瞬、藪岡の病院で柚香が言った事を思い出して、
「このまんまじゃ、やなんだろ…???…柚香さん、藪さんの病院で言ってた。」
思わず柚香、スマホ越しで舌をチロリ。
「へへ。まっ。その通りなんだけど~~。」
「とにかく。」
亮輔、
「こっちも、こっちで、来るなら来い。で…。ある意味、待ってるさ。阿須賀も、なんだかんだで陽織ちゃん、気に入ってるから。」
「阿須賀さんが…???」
「あぁ。陽織ちゃんが、おばあさんから連れられて大学に来た時、陽織ちゃん、俺と阿須賀の手を握って、思いっ切り空に向かって、イェ~~~イって。気~~持ちいい~~って。…あれからだよな。何か陽織ちゃんといると、楽しいって。…なんか、あったのかな…???」
そんな話に柚香、頭を傾げて、
「いや…。…私にはちょっと、分かんないけど…。」
すぐさま祖母を見て、
「おばあちゃん、阿須賀さんと何か、話した…???」
いきなり振られて幸乃、目をパチクリと、
「おばあちゃんが…???…阿須賀さんと…???」
柚香、ニコニコと、
「いやいやいや。大学に行った時に、陽織、何か阿須賀さんと。」
幸乃、口を窄めて、思い出すように、
「あぁ~~。確か、実家はお寿司屋。…なんだか…、中学、高校の時は、結構~~グレてた…みたい。でも、必死に勉強して慶稜に。…そんな風に、話してた…ような…。」
柚香、
「ふ~~~ん。」
そして、柚香、スマホに。
「あぁ~~ゴメン。イマイチ、ちょっと、ピンとは来ないけど…。阿須賀さんに、よろしく。」
その声に亮輔、
「おぅ。分かった。とにかく。万が一に。だな。」
柚香、亮輔の声に、
「うん。」
「ルシアたちも…、店で、陽織ちゃん、待ってるかも~~。」
柚香、
「あ、あ~~~~。ははは。…ただ、そればっかりは~~。私の意思にも、全く…、反映…してなくって~~。」
「分かってるって。陽織ちゃんじゃないと、こればっかりはね~~。…とにかく。大学の事は任せな。何とかなるって。」
柚香、口を真一文字に。そしてニッコリと、
「うん。分かった。ありがと。…そして…、お願い。」
「おぅ。…んじゃ。またな。俺は、もう少し、寝る。」
柚香、スマホに、
「うん。じゃ。また。」
通話は切れる。
愛実、
「なんて…???」
柚香、スマホを見ながら、
「何とかしてみるって。」
「へぇ~~~。」
亮輔、通話を終えて、
「ふぅ~~~。まさかね~~。」
そしてまたベッドに背中から。
凡そ10数秒…。
「…って。寝れねぇよ。目ぇ~~。覚めちまったぃ。」

LIBRA~リブラ~ vol,143. 柚香、少し口を尖らせて、「出ない…かぁ~~。」
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
