そして、エンカントに行く当日。
柚香、
「じゃあ、おばあちゃん。」
幸乃、台所で、
「うん。行っといで。ご飯、帰ってから…。」
「うん。…でも、まだ…、ちょっと…、分かんない…かな…。」
その声に幸乃、笑顔で、
「うんうん。そぅかぃ。分かったよ。…でも、気を付けて。」
「うん。ありがと。」
時間は夕方の6時。藪岡に頼んで、開店する1時間前には店に入る。
…と、言う事になっている。その時間ならお客さんもまだ来ておらず店の準備中との事。
駅で真輝と待ち合わせて…。ふたり一緒に歩きながら…。
あらためて柚香、
「こんな風に…。駅の近く、歩くなんて…。何年振り…???」
顔を傾げて。
その声に真輝、柚香を見て、
「えへぇ~~???…って言うか…。ん~~。」
真輝も歩きながら、
「確かに…。僕も…。うんうんうん。ないかぁ~~。」
柚香、オレンジのTシャツにオフホワイトのサマーカーディガン。
アコーディオンプリーツのスカートにパンプスである。
そして真輝は、ホワイトのロゴ入りTシャツに3色のYシャツ。ジーンズと言う恰好。
Yシャツの裾はアウト。
ふたり揃ってあちこちと見ながら。20分程、歩いたろうか。
まだまだ日没には早い。
真輝、
「そろそろだ。」
柚香、
「ふ~~ん。この辺。まっ。確かに、知らない場所…では、ないよね~~。ただ…、どんな店があるのかは…、全く。…まず、立ち寄らない。」
その声に真輝も、
「はは。僕もだ。…って、言うか…、まず、地元で食事自体…、しないか…。」
その声に辺りを見ながらの柚香、
「同感。あっ。あった。エンカント。…へぇ~~。なんとも…、お洒落~~。ロゴにすると、お洒落だよね~~。」
真輝も、
「うんうんうん。まっ。…でも、あの時は、慌ててたから、あんまり…。」
そんな真輝を見て柚香、
「ふふ。」
ドアには、「準備中。」
柚香、ドアに、
「では。」
真輝、
「うん。」
「こんにちは~~。」
「おっと。来たか。うん。」
すぐさま男性の声。
店の中に入って柚香、
「藪岡先生~~。」
藪岡、いつものカウンター席、椅子に座り、
「いらっしゃい。」
瞬間、ルシア、目を真ん丸に。そして、
「陽織…。」
肇も同じように目を…。
そんなルシアを見て藪岡、可笑しがるように、
「だから…、さっきから言っているように、双子なんだから、そっくりで当たり前だろう~~。」
その声にルシア、目をパチクリとさせて。
「あ、あ~~。うん。うんうんうん。…そ、そうね。」
そして真輝も柚香の後ろから…。
「こんにちは~~。」
ルシア、男性にニッコリと、
「こんにちは。この前はありがとね。」
その声に、
「とんでもないです。」
女性にペコリと真輝。
藪岡、
「ささ。ふたりとも、座って。」
柚香を隣に座るように招く藪岡。
柚香、
「すみません。」
肇、目の前の女性に、
「こんにちは。初めまして…。だよね~~。」
優しい笑みを…。そしておしぼり。
柚香も、ペコリと、
「こんにちは~~。汀、柚香と言います。初めまして。」
柚香の隣で真輝、
「勝巳真輝と言います。」
肇、
「うんうんうん。こんにちは。初めまして。顔は、見てないけど、ルシアも言った通り、この間は、ありがとう。」
「…と、そんな訳で、電話でも、そして、さっきからも話している通り。エンカントに来ている陽織ちゃんのお姉さんの柚香さんだ。現在、大学生。」
藪岡。
カウンターの中に入ってルシア、目の前の女性を見て、
「な~~んだよね~~。」
肇も、
「驚きましたね~~。…経験上、双子って、テレビでしか、見た事がないんで…。こうやって目の前で見ると…、正に。」
ルシアも、肇を見て、
「ねぇ~~~。」
そして、
「そっか~~。陽織ちゃんのお姉さん。」
すると、いきなり、
「かかかか。」
そして両手を叩いて、
「さすがに。落ち着いてるね~~。…って、事は、今、二十歳。」
柚香、
「あ、はい。そうです。」
「そっか~~。二十歳か~~。」
そして頷きながら、
「うんうんうん。全然違う。陽織ちゃんと…。」
その声に柚香、
「えっ…???」
藪岡、
「うん…???」
ルシア、肇に、
「ねぇ。」
肇も、一度コクリと、
「確かに。」
柚香、
「全然違う。」
顔を僅かに傾げて。
ルシア、こちらも顔をコクリと、
「うん。全然違う。さすがに同じ双子でも…。陽織ちゃん。とにかく、あどけないもの。」
肇も、
「ふふ。」
柚香、
「あどけない。」
ルシア、ニッコリとしながら、
「うんうん。…つまり、子供っぽいって感じ。」
「あ、あ~~~。」
「う~~ん。確かに、ねぇ~~。」
ルシア。
「とにかく、まっすぐだもん。…でもって、そのまっすぐなところがまた可愛い。そして、素直。まっ。確かに、2歳までの記憶しか…、ないんでしょ。事故で亡くなってるから。」
柚香、目の前の女性に、
「えぇ。」
そして、何かしら感じる物凄い包容力。そして頭の中で、
「…この人…、スペイン人だっけ…???…凄い、奇麗。」

LIBRA~リブラ~ vol,101. 開店する1時間前には店に入る。
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