「瞬間、何なのこの子。…って思ったよね~~。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

ドキドキ 「突然、店に入ってきて。」
ルシア。

柚香、
「えぇ。」

「瞬間、何なのこの子。…って思ったよね~~。…だ~~って。…まっ。確かに、高校生って感じも…、無きにしも非ず…だったけど…。体格と顔から…。判断して…。まっ。ちょっとは…。スウェットにカーディガンだったから。それにスニーカー。…しかも、髪は…、乱れて…たよね。」

黙って話を聞く柚香、そして真輝。藪岡も。

「客も、半分くらいは埋まってたか。」
ルシア、肇に。

肇、
「えぇ。」

「で、そこの隅の椅子に。…で、肇が彼女に、おしぼりを…。そして何になさいますって聞いたら、飲み物くださいって…。」

柚香、頷きながら…。

「…で、ビールでいいですかって聞いたら、頭をコクリと。…で、ビールとお摘まみを…。…で…、確か、30分…くらいだったかな~~。」

肇も、
「ですね。」

「あっと。話の腰を折って申し訳ないけど。ルシアの隣、大越肇と言って、店の店長だ。…で、ルシア。ルシア大越。この店のオーナー。紹介しないで申し訳ない。それと。このふたり。ご夫婦でこの店、営んでいる。」

瞬間、柚香も真輝も、目をパチクリと。
「えっ!!!…ご夫婦。」

その驚きに藪岡、
「あれ…???…言ってなかったっけ…???」

間髪入れずに柚香、頻りに首を振って、左手をヒラヒラと、
「いえいえ。」

そんな女性を見てルシア、ニッコリと、
「ふふ~~ん。」

肇もニッコリと、そしてチョコンとお辞儀を、
「よろしくどうぞ。」

「まっ。柚香さんが陽織になって、陽織がここに来て飲んで、働いて。…けれども、実は陽織は柚香さんだった。ここにきてルシアと肇に世話になっている。陽織と柚香さんの事、いろいろと知っていくためにも、ルシアと肇の事も知っておいた方が…ある意味、フェアかな…って、思って。」
そこまで言って藪岡、
「もちろん、僕の事もそうだけど…。」

その話にルシア、
「おやおやおや。随分と熱が入っている事~~。」
藪岡を、顔を傾げて見ながら…。
「…なんだけど~~。まっ。その通りかも…。」
そしてルシア、ニッコリと。そして、
「ルシア・スアレス。私のスペインの名前。年齢は67。一度、日本に留学してるんだよ。こう見えて。その切っ掛けとなったのが、亮輔の父親~~。」

その声に柚香も真輝も、
「えっ…???」

ルシア、
「私の…。まぁ、実家はスペインの田舎町。私が、大学入りたての時に、妹が突然体調を崩して寝たきり。医者に見せても薬を飲んで療養していれば大丈夫って…。…でも、何日経っても、薬を飲んでも全く…。そんな時、ある旅行客が来て、道を教えてくれって。…それが、結構分かりづらい場所なんで、私も一緒に行くことにしたの。」

柚香と真輝は黙って聞いている。
藪岡は優しそうな顔で聞いている。

ルシア、
「…で、その人と一緒に歩きながら…。そしたらその人、お医者さん。歯科医なの。」

柚香と真輝、
「へぇ~~。」

「大学卒業して、すぐに歯科医の道を…。…で、歯科医専門のクリニック立ち上げるための準備に入る前に旅行なんだって。その人のおばあちゃんの故郷がスペインなんだって。つまりは亮輔の父親の家系ね。」

「僕の叔父貴。つまりは叔父さん。亮輔のおとうさん。染谷彰謙(そめやあきかね)。歯科医だ。東京に数件クリニックを経営している。当然だけど、全部歯科医。」
そこまで言って藪岡、
「因みに、亮輔の母親も医師。こちらは産婦人科医。こちらも東京でクリニックを経営している。」

その話にルシアと肇はニッコリ。

柚香と真輝、またまた目を真ん丸にして、顔を合わせて、
「凄~~~。」

柚香、真輝に、
「ねぇ~~。」

真輝も驚いた顔で、
「うんうんうん。あの…、亮輔の両親が…ふたりとも医師。凄ぇや。全く想像…付かない。」

その声に藪岡、笑いながら、
「はははは。確かに。」

ルシアは、
「まぁ…、あの子は…。」
そこまで言って顔を傾げて、
「…なんて言うか…。自由奔放…???…好きな事やって生きてくって感じ…かな…。ふたりの兄貴が、まっ、両親の道を継いでくれたって感じ…???…それだけでも両親は御の字。…って、言うか、両親共々。亮輔の事はまずお構いなし。子供の頃から遊び好き。ほっといても、育った子だから。必要なものは家にはあった。ただ。」
そこでルシアの声が止まる。

柚香、真輝、そんなルシアを見て、
「ただ。」

藪岡もルシアに顔をコクリと。

ルシア、
「ただ。亮輔の両親の考え方。亮輔がどんな遊びをしても、他人に迷惑を掛けた…と、しても…。その理由をとことん調べて。…そういう意味では、亮輔、一度も落ち度がなかったんだよね~~。間違った事は、していなかった。そういう意味では、亮輔の両親は、完璧なまでに、亮輔を愛した。お前は何をやっても構わない。けれども、とうさんとかあさんの元には必ず帰ってこい。」








LIBRA~リブラ~   vol,102.  「瞬間、何なのこの子。…って思ったよね~~。」

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